F1「レッドブル・レーシングチーム」のタイヤ交換作業をメカニック視点でみるとこんな感じ
制限速度いっぱいのスピードでピットに飛び込んでくるF1マシンを待ち構え、あっという間に4本のタイヤを交換して再びコースに送り出すピットクルーの手際の良さは何度見ても「見事!」と思わず声に出してしまいそうになるものです。そんな作業の様子をピットクルーのヘルメットに取り付けたGoProで捉えたクルー目線の映像を見てみても、やっぱりいったい何がどうなっているのか理解できないほどの早業でした。
Red Bull Racing - Formula One Pit Stop Explained - YouTube
ピットからクルーが出陣して、タイヤ交換に備えて所定の位置につくところ。
上から見ると「コ」の字に並ぶピットクルー。左から走ってきたF1マシンがこの空間にピタッと止まり、一瞬にしてタイヤが交換されてしまいます。
ドライバー目線からみるとこんな感じ。
迫り来るレッドブルのF1マシン。今回はタイヤ交換の練習風景が収められているようです。
レッドブル・レーシングチームのチームマネージャー、ジョナサン・ウィートリー氏は「タイヤ交換は、最も初期の段階からモータースポーツの一部でした。ピットクルーに重要なのは、それぞれがきちんと仕事をすることによって2秒間でマシンを送り出せる、ということを理解することです」と、ピットクルーの仕事について語ります。
迅速なタイヤ交換を可能にするために、作業ごとに専門のスタッフが用意されています。左フロントタイヤの新品を装着するだけのスタッフや……
ホイールガンと呼ばれる専用の工具で、タイヤの取り付けナットを外して再び締める専門の人も。
「前輪をここで止める」という意味のボードを持つ専門のスタッフまで。
レッドブルのピットクルーは総勢18名体制です。
マシンがピットイン。迅速な作業のためには、ピットクルーだけでなくドライバーが所定の位置にピッタリとマシンを止めることも非常に重要です。
フロントウィングにジャッキを当て、マシンをグイッとリフトアップ。ピット交換には前後で2つのジャッキが用いられますが、フロントはエアーの力で持ち上げる「エアージャッキ」が使われています。
リアは昔ながらの人力のジャッキが使われています。よく見れば、1つめのジャッキにトラブルがあったときのために、バックアップのジャッキがすぐ横でスタンバイしていることがわかります。
ホイールガンが「バラララ」という音をたてて一瞬でホイールナットを外し……
タイヤを外す人、取り付ける人がタイミングを合わせて一瞬でタイヤを新品に交換。
そして今度は「バラララ」とナットを取り付けて作業完了。
フロントのジャッキは、ハンドルバーが大きく回転するようになっています。ジャッキ担当のクルーが脇へよけることで、ドライバーが真っすぐピットアウトしやすいようにするための工夫です。
ドライバーの目の前には、小さな信号機。これはピットアウトできるタイミングをわかりやすく表示するためのもので、これも迅速なタイヤ交換を実現するための工夫です。ちなみに、この信号を切り替える作業だけを行う担当クルーも存在しています。
18人のクルーとドライバーが力をあわせることで、あっという間に新しいタイヤを装着してドライバーがピットを後にしました。
目にも留まらぬF1のタイヤ交換は「弾丸に着せ替えする」と表現されることもあるほどで、2秒台前半のピットストップが当たり前というレベルになっています。そんな中でも、2016年シーズンのF1グランプリ第8戦のヨーロッパGPでウィリアムズチームが記録した「1.92秒」というタイムは、記事作成時点で世界最速のピットストップとなっています。
DHL Fastest Pit Stop Award: 2016 FORMULA 1 GRAND PRIX OF EUROPE - YouTube
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