インタビュー映像で目線を着実に捉える画期的なエロール・モリス監督の秘密の撮影技法
By canburak
映画「フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白」で2003年にアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞するなど、インタビューを中心としたドキュメンタリー映画を手がけるのがエロール・モリス監督です。モリス監督の作品では、インタビュイーがしっかりとカメラ目線で質問に答える様子が映し出されているのですが、それには秘密の撮影技法が取り入れられています。
Errol Morris's Secret Weapon for Unsettling Interviews: The Interrotron | Co.Design | business + design
http://www.fastcodesign.com/1663105/errol-morriss-secret-weapon-for-unsettling-interviews-the-interrotron
モリス監督が手がけたアカデミー賞受賞作品の映画「フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白」の予告編は以下のムービーから確認できます。
The Fog of War - Trailer - YouTube
映画「フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白」の予告編では、マクナマラ元米国防長官がしっかりとカメラを見つめながらインタビューを受けている様子が収められています。
出演者がしっかりとカメラ目線でインタビューに答えるという構図はモリス監督が得意とするところで、IBMのドキュメンタリーやAppleのCMなどでも同じ構図が使われています。
インタビューを行う場合はインタビュアーとインタビュイーが向き合って話すのが通例ですが、モリス監督の作品ではインタビュイーの目の前にカメラが設置されているにもかかわらず、インタビュイーはしっかりとカメラ目線で話しています。つまり、インタビュイーはカメラを見つめつつ、モリス監督の顔も見ながら話しているという、物理的には不可能な状況にいることがわかります。
もしインタビュイーがカメラのレンズだけを見つめていれば、インタビュアーはインタビュイーと打ち解けることが難しくなるはず。しかし、モリス監督は映画の中で貴重な情報をインタビュイーから引き出しています。つまり、モリス監督は何らかの方法を使ってインタビュイーを真っ正面から撮影しつつも、対面で話しているということになります。
モリス監督がインタビュイーの目線をカメラと自分の両方に向けられるのは、テレプロンプターという装置を使っているからです。テレプロンプターは公演やコンサートなどで使われる装置で、原稿や歌詞などを表示することができます。具体的に言うと、カメラと90度になるようにレンズの前に液晶が配置されていて、この液晶に原稿や歌詞を表示。さらに、レンズと液晶の間に斜めに鏡を置くことで、出演者は原稿や歌詞を読めるというわけ。カメラマンからは鏡に何が写っていようが見えない仕組みになっています。
By ptwo
以下の図のように、モリス監督はテレプロンプターを自分自身とインタビュイーの前にそれぞれ設置し、2つのカメラで撮影している映像をテレプロンプターの液晶に表示させることで、あたかも向かい合ってインタビューしているような映像を撮影しているとのこと。この方法はモリス監督が発案したものではなく、モリス氏と何度も仕事をしたことがあるスティーブ・ハーディー氏が発案したそうです。
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