映画

Appleの創設者スティーブ・ジョブズのドキュメンタリー映画が批判された理由とは?

By guccio@文房具社

Appleの創設者であるスティーブ・ジョブズのドキュメンタリー映画「Steve Jobs:The Man in the Machine」のワールドプレミアが、アメリカのテキサス州で開催された音楽と映画の祭典SXSWで行われました。本作は、映画「「闇」へ」で第89回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞したアレックス・ギブニーが監督を務めることもあり注目を集めていましたが、ジョブズを応援していた人や、Appleの関係者が鑑賞後に作品を批判するコメントを残しています。

The new Steve Jobs documentary is an unforgiving look at tech's most complicated man | The Verge
http://www.theverge.com/2015/3/16/8219073/steve-jobs-man-in-the-machine-movie-review-sxsw-2015

ジョブズが亡くなった2011年10月5日の翌日、多くの人がApple Storeに詰めかけメッセージや花束をジョブズにささげ、その様子はニュースで報道され大きな話題を呼びました。ジョブズのドキュメンタリー映画「Steve Jobs:The Man in the Machine」を鑑賞したブライアン・ビショップさんは、Apple Storeで献花した人の1人で、Appleはもとよりジョブズの大ファンであり、IT関連メディアのThe Vergeで記者を務めています。そんなジョブズを愛してやまないビショップさんですが、同映画を鑑賞した後に「なんとも言い表せない気持ちになった」と感想を述べました。

By Glenn Fleishman

ビショップさんによると、映画はジョブズの人生を時間軸に沿って描いたものではなく、映画冒頭で「ギブニー監督がどれくらいAppleやiPhoneを好きか」という部分が描かれたように、ギブニー監督の視点で進行するとのこと。また、ジョブズの高校時代のガールフレンドで、ジョブズの長女の母親であるクリスアン・ブレナンやAppleの創業社員であるダニエル・コトキ、iPodの開発に大きく貢献したジョン・ルビンスタインに行ったインタビューが映画に収録されている一方で、インタビューの内容は「ジョブズが長女の認知を拒んでいたこと」「Appleの従業員が長時間労働を強いられていたこと」「東芝のハードディスクがiPod誕生のきっかけになったこと」など、ジョブズファンなら誰でも知っている話ばかりだったそうです。

また、Macのエンジニアチームを率いていたボブ・ベルヴィールも映画に登場するのですが、ジョブズにゼロックスから引き抜かれた時のことや、Appleで働いたことで家族の関係を壊されたことを話し、その後にジョブズを褒めたたえて最後には泣き出してしまいます。こういったインタビューのシーンを見たビショップさんは「映画がジョブズのどこに焦点を当てているか全くわかりません。インタビューのシーンは、ただただ混乱させられただけです」と意見を述べました。


映画はAppleやジョブズの魅力ではなく、どちらかと言えば問題点に焦点を当てていて、Foxconn従業員の自殺の話や、Appleの工場の汚染問題といった話も登場。

ドキュメンタリー映画が、題材であるAppleやジョブズの問題点ばかりを取り上げることについて、ビショップさんは「取り上げられた問題点が今まで誰も知らなかった新事実でない限り、ギブニー監督がとった表現方法は、Appleやジョブズを攻撃しているだけに過ぎません。ギブニー監督は、ジョブズが亡くなった時に、なぜ多くの人がApple Storeを訪れたのか、その心情を全く理解していません」と批判しました。

ビショップさんだけではなく、Appleのエディー・キュー上級副社長も「Steve Jobs:The Man in the Machine」を批判しています。キュー上級副社長はワールドプレミア上映の鑑賞後に「映画にはガッカリさせられました。不正確で卑劣に描写された私の友人は、私が知っているスティーブ・ジョブズではありません」とツイートしました。

Very disappointed in SJ:Man in the Machine. An inaccurate and mean-spirited view of my friend. It's not a reflection of the Steve I knew.

— Eddy Cue (@cue)

2013年に公開されたジョブズの伝記映画「スティーブ・ジョブズ」は、Appleの共同創設者であるスティーブ・ウォズニアックにより「映画は間違いだらけです」と批判されたことがありました。ジョブズを愛していたり、知っている人全てを納得させられるドキュメンタリー映画を作るのは難しいことのようです。

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in 映画, Posted by darkhorse_log

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