Microsoftが人工知能でGoogleに勝てる理由とは?
By GLAS-8
スマートフォンの登場によって生み出されたモバイル分野ではAppleやGoogleが市場の主導権を握っておりそれまでOS分野で圧倒的な力を見せていたMicrosoftは目立った活躍を見せていません。しかし、近年巨大IT企業の注目を集めている「チャットボット」の分野に関しては、MicrosoftはAppleやGoogleといったライバル企業と比べてアドバンテージがあると自信を見せており、その理由にIT関連メディアのThe Vergeが迫っています。
Exclusive: Why Microsoft is betting its future on AI | The Verge
http://www.theverge.com/2016/7/7/12111028/microsoft-bot-framework-artificial-intelligence-satya-nadella-interview
FacebookがFacebook Messengerを利用したチャットボットのプラットフォームを発表したり、Googleが人工知能によりアシスタントしてくれるチャットボットを搭載したメッセージアプリ「Allo」を発表したりなど、巨大IT企業の間ではチャットボットの開発が盛んに行われています。Microsoftも2016年3月31日に開催された「Microsoft Build 2016」で、人工知能を使った自動応答システムとしてボットを活用する計画や、Skypeなどのチャットアプリと連携して利用できるチャットボットのフレームワーク「Bot Framework」を発表しました。
そもそもチャットボットとは、ユーザーのメッセージに自動応答するプログラムのことですが、近年の人工知能技術の発展により学習機能を備え、機械的な返答ではなく、実在する人と話しているような対応ができるようになっています。チャットボットが進化すると、ユーザーはメッセージアプリから直接レストランや美容院を予約できるなど、今まではブラウザやアプリから行っていたことをチャットベースの会話で済ませられるようになり、チャットボットは今後大きく進化するであろう分野として注目を集めています。
この人工知能を利用したチャットボットに大きな自信を持っているのがMicrosoftです。あまり知られていませんが、GoogleやFacebookよりも早い時期からMicrosoftはチャットボットの開発に取り組んできました。2014年7月には中国でチャットボットの「Xiaoice」をリリースし、それから1年後の2015年7月には日本で女子高生チャットボット「りんな」をリリース。りんなはLINEやTwitterなどでサービスが展開されており、LINEでは約370万人のユーザーがりんなを友達に登録しています。
そして、Microsoftは2016年3月23日に待望の英語のチャットボット「Tay」をリリースしましたが、ユーザーとの会話から学習した人種差別や暴力表現を使うようになってしまいサービス開始から数時間で停止するという事態に。英語を使用するチャットボットは失敗に終わってしまいましたが、「Xiaoiceやりんなから今後に活用できる多くのことを得た」と述べるMicrosoftは英語向けチャットボットの再開に自信を見せています。
Microsoftがチャットボットの分野で主導権を握ることに自信を持っているのは、他の企業よりも早い時期にサービスを開始していたからだけではありません。Microsoftのアプリケーション&サービス担当のエグゼクティブバイスプレジデントのチー・リュー氏はMicrosoftがチャットボット分野で勝つためには「会話やチャットベースのサービス」「人工知能」「ソーシャルグラフ」「人工知能向けのプラットフォーム」「デベロッパーのネットワーク」という5つの資産が必要だと語っています。
リュー氏が挙げた5つの資産を一つ一つ個別にみると、例えば人工知能においてはGoogleがMicrosoftに勝るかもしれません。ウェブ上における人間の相関関係を意味するソーシャルグラフではFacebookに分があるのは明白です。しかし、リュー氏は5つの資産を総合的に判断すると「Microsoftは未来を率いるのに必要なものを全て有している」と話しています。MicrosoftはSkypeやCortanaを展開していて、人工知能の研究も20年以上前から着手。さらに、ビジネス系SNSのLinkedInを2兆8000億円で買収し、人工知能向けのプラットフォームにはWindowsを持っています。リュー氏が主張するチャットボット分野でリードするために必要な5つの要素をMicrosoftは全て持っているというわけです。
しかし、先述のTayの失敗があったり、音声認識と機械学習を組み合わせたSkypeの同時通訳機能が不評だったりなど、まだ乗り越えなければいけない壁はあるのも事実です。
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