効率よく物事を学習するための便利な技術「ファインマン・テクニック」とは?
by Thomas Mueller
「ものの名前を知っている」ことも知識の1つではありますが、名前だけではなくその中身を知っていてこそ本物の知識。知識を増やすにはいろいろな方法がありますが、その中でも、ノーベル物理学賞を受賞している物理学者のリチャード・ファインマン氏の名を冠した「ファインマン・テクニック」は、いろいろなことに応用の利く学習方法として知られています。
The Feynman Technique: The Most Efficient Way to Learn Anything
https://www.farnamstreetblog.com/2012/04/learn-anything-faster-with-the-feynman-technique/
ファインマン氏は優れた物理学者であり、朝永振一郎氏、ジュリアン・シュウィンガー氏とともに1965年にノーベル物理学賞を受賞しています。そして、1961年から1963年にかけてカリフォルニア工科大学で行った講義をもとにした書籍「ファインマン物理学」、およびユーモラスなエピソードを集めた自伝「ご冗談でしょう、ファインマンさん」でも知られています。
このファインマン氏がよりよく理解するために使っていたという「公式」が、「ファインマン・テクニック」と呼ばれるものです。テクニックは4段階から成り立っています。
1:「概念」を選ぶ
まず、自分が学習したい概念が何なのかを設定します。その中身は「重力」でも「世界史」でも何でもOKで、とにかく「これを学びたい」というものを設定。設定したら、白紙の冒頭に書き付けます。
2:その「概念」について「人に教える」
次に、白紙の冒頭に書いた「概念」について、「誰かに教えるときのように」自分が知っていることを紙に書き出していきます。ただしこのとき、教える対象は生徒、あるいは子どもを想定します。これはなぜかというと「専門用語や複雑な語句を用いれば説明できる」という状態では、自分が理解できているかできていないかがはっきりしないためです。平易な言葉で説明しようと心がけることで、自分がどこまで概念を理解できているのかがわかります。
3:教科書(元の資料)に戻る
人に教えようと知っていることを書き出していくと「自分が知っている範囲」というのが見えてきて、知識の欠如に気付くことができます。これこそが価値のある点で、欠如しているとわかったら、改めて教科書や資料に戻って「再学習」し、改めてわかったことをノートに書き込んでいきます。
4:再検討と単純化
これで、冒頭に「学習したい概念」、その後に「自分が知っていたこと、知ったこと」が書かれたノートが完成しました。最後に、このノートを読み返して、自分が専門用語や複雑な用語を使っていないかを再確認、必要があれば音読します。もしも、ここで説明が複雑だったり、不明瞭な説明が残っていれば、それは「自分がまだ理解しきっていない」「理解するためにやるべきことがある」ということなので、さらに学習・理解を深めることができます。
by Andrew Bowden
ファインマン氏の父親はセールスマンで、特別な科学的知識は持っていなかったはずですが、ファインマン氏と妹・ジョーンさんからの「なぜ?」という質問に、わかりやすい答えを返してくれたそうです。また、前述の通り、ファインマン氏は世界を代表する物理学者となったほか、ジョーンさんも同じように物理学者になっています。ファインマン・テクニックを活用すれば、新たなファインマンになることも夢ではないのかもしれません。
・関連記事
あなたにとって当たり前のことが他人にとっては驚くべき事である - GIGAZINE
「世界崩壊で科学知識が崩壊、次世代にひとつだけ何か伝えられるなら?」と12人の科学者に質問した結果とは? - GIGAZINE
「パーソナルコンピューティングの父」アラン・ケイ氏が薦める「読書リスト」99選 - GIGAZINE
・関連コンテンツ