アメリカ人が「寿司」の秘密を解説するムービー
日本食である寿司がアメリカにわたって以来、クリームチーズやアボカドなど本来の寿司にはない材料を使ったアメリカ独特の「Sushi(スシ)」が生まれています。Voxが公開した「The real secret to sushi isn't fish(寿司の本当の秘密は魚じゃない)」では、寿司の発祥からアメリカでどのようにして寿司が有名になっていたのか、ということが解説されています。
The real secret to sushi isn't fish - YouTube
アメリカのスーパーマーケット・チェーンであるWhole Foods Marketに行くと……
パック詰めの寿司コーナーがあります。
セブンイレブンのようなコンビニでも……
パック寿司の取り扱いがあります。いまやアメリカでは至るところで寿司が手に入るようになっています。
生の魚が印象的な「寿司」ですが、「生魚」という意味ではなく……
魚を長期保存するために使われた「酢飯」や、酢飯の酸味による「酸し(すし)」から生まれた言葉と言われています。
寿司に関する古い文献をさかのぼると、その起源は数千年前の東南アジアにあるとされています。
あまり魚がとれない山間部において、雨期になると水田に魚が流されてきます。
東南アジアの農民は、なかなかとれない貴重な魚を長期保存するべく塩漬けにして……
酢飯で包んでタルに密閉していました。
タルの中の細菌は米に含まれる糖分を乳酸に変換するため、魚が腐ることなく数カ月間の長期保存を可能にしました。ただし、食べるのは酢飯漬けの魚だけで、酢飯自体は食べずに捨てられていたそうです。
この保存方法は8世紀ごろに日本に伝わったとされています。
当時の日本人はこの保存方法を改良し、発酵時間を短くして魚と一緒に酢飯も食べる「なれずし」になりました。
米酢が誕生したのは1600年ごろとされています。米酢はご飯に混ぜることで、ご飯を傷ませず風味をつける調味料として使われていたとのこと。
19世紀ごろにのりと酢飯が結びついた結果、「巻き寿司」が誕生しました。
江戸時代では寿司が屋台で売られていました。巻き寿司のサイズも現代のものより3~4倍も大きく、直径は7.6cm~10.1cmほどあったとのこと。
この頃に酢飯にネタをのせる「にぎり寿司」も誕生しました。にぎり寿司のことを初めて示した文献には、「妖術と いう身で握る 鮓の飯」という川柳が書かれており、妖術を唱えるように手を動かしていると、魔法のように寿司が完成する様子を表わしたものと考えられます。
20世紀に入ると冷蔵庫・冷凍庫の発明により、生魚を使った寿司はますます一般的になりました。
初めてアメリカに寿司料理店が上陸したのは1960年代のこと。
ロサンゼルスの日本人町リトル・トーキョーに店を構えた「Kawafuku(川福)」がアメリカ初の寿司料理店です。その後、1980年代までに寿司はアメリカ全土で認知されるようになりました。
アメリカの巻き寿司は独特な進化を遂げており、見た目も米が外側でのりが内側に来るように裏返しで巻かれることが多いとのこと。これは多くのアメリカ人に海草を食べる習慣がなかったためで、のりが隠れるようにして改良されたからです。
ネタも日本にはない食材を使ったアレンジ寿司がいくつも登場しており、最も有名な寿司は「フィラデルフィア・ロール」とのこと。
フィラデルフィア・ロールはスモークサーモンとクリームチーズを使った巻き寿司。
「カリフォルニア・ロール」も海外で有名な寿司のひとつ。
アボカド・きゅうり・カニカマを使った巻き寿司です。
ほかにもアメリカの寿司ネタにはルッコラ、牛肉、にんじん、鶏肉、唐辛子などがあり、日本の伝統的な寿司とは違った進化を遂げています。
場合によっては、アメリカで一般的な料理である「ブリトー」と寿司を合体させた「ブリトー寿司」や……
バターを油で揚げてしまうアメリカ人ならではの「揚げ寿司」なるものまで存在しているようです。
カナダでは海老天を巻き寿司にした「ダイナマイト・ロール」も有名。
このように日本の伝統食がそれぞれの口に合うよう変化し続けていますが、酢飯を使うのはいずれも同じ。「生魚」の印象が強い寿司ですが、はるか以前から、寿司で最も重要な部分は「酢飯」だということは変わっていないようです。
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