スペイン最大級のアパレル企業「ZARA」の知られざる秘密の内部
スペイン発祥のファストファッションブランド「ZARA」は、1975年の創業以来、世界中に2000店以上を出店しています。そんなZARAの成功要因について、海外メディアのBloombergが解説しています。
Inside the Secret World of Zara - YouTube
世界200以上の市場で事業展開するアパレルメーカー「Inditex」の中核を担うZARAは、1975年の創業以来世界中で人気を集め、2024年時点でInditexの売上高の約70%を占めています。
こうしたZARAの成功要因には、ZARA独自の物流戦略があるとのこと。ZARAはアジアに生産拠点を置く多くのアパレル企業と異なり、生産拠点の大部分をポルトガルやモロッコ、トルコなど、スペインを中心とした近隣諸国に置いています。こうした「近接地生産」により、店舗への迅速な商品配送を実現し、約80%の店舗で4~5日ごとに新たな商品を展開することが可能になっているそうです。
また、すべての商品は一度スペインの物流センターに集められ、世界中の店舗のニーズに合わせて再梱包、発送されます。こうした柔軟な物流システムは、競争の激しい小売業界におけるZARAの大きな強みとなっているとのこと。
広告費をほとんどかけないZARAは、スペイン王妃のような著名人が着用することでブランド認知度を高めているほか、顧客が服を着た際の感情を捉えた斬新なイメージ写真で消費者の購買意欲を刺激しています。さらに、積極的に大型店舗を出店することで顧客が商品を実際に試着できる機会を増やし、オンラインショッピングとの差別化を図っています。
加えて、ZARAは各地域の店舗責任者として、各地域の店舗状況をリアルタイムで把握する「プロダクトマネージャー」を配置しており、最新のトレンドや需要を分析しているとのこと。こうしたプロダクトマネージャーが集めた情報はデザイナーやバイヤーに伝えられ、商品開発が行われます。ZARAでは流行の変化や天候の変化に迅速に対応するため、わずか6週間という限られた時間でデザインから商品展開まで行われます。
しかし、ZARAはファストファッションブランドという特性上、大量生産や大量消費、大量廃棄のサイクルを生み出し、水やエネルギー消費量の増加、マイクロプラスチック問題など、さまざまな環境への影響を指摘されています。
また、中国発のファストファッションブランドであるSheinやTemuの台頭もZARAにとって大きな脅威になっており、特にアメリカ市場においてZARAのシェアを奪っているとのこと。SheinやTemuは、徹底した低価格戦略や環境規制の緩さを武器に、若者を中心として顧客獲得に取り組んでいます。
こうした競合ブランドに対抗するため、ZARAは環境への取り組みを強化する必要性に直面しています。実際にアメリカだけでも年間100億kgの衣料廃棄物が発生しているほか、年間3億トンのプラスチック生産量の約20%をZARAなどのファッション産業が占めています。そこで、ZARAは2040年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げているとのこと。
さらに、ZARAは衣料品の修理サービスを提供することで、衣料品の寿命を伸ばし、廃棄される衣料品の削減に取り組んでいるほか、環境負荷の低い素材の利用を拡大しています。また、ZARAはサプライチェーンの透明性を向上させ、さらなる環境・社会問題への取り組みを強化しているそうです。
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