不調あり&すっかり黄ばんだ「Apple IIc」を真っ白に復活させて使えるようにするレストアムービー
Appleが1984年に発表した「Apple IIc」は発売から30年以上が経過するレトロなコンピューターです。その本体は長年の歴史を感じさせるように黄ばんでおり、映像を出力するビデオ端子は不調を抱えているのですが、古いコンピューターをレストアしてコレクションしているThe 8-Bit Guyは、そんな古びたApple IIcをまるで新品同様なピカピカの状態に復元させるムービーを公開しています。
Apple IIc Restoration and video jack repair - YouTube
手に入れたApple IIcはすっかり黄色くなっており、いかにも古さを感じさせる状態。
本体にはシールを剥がしたノリの跡が残っていたり……
Appleマークの真下にも汚れが残っていたり。
持ち運び用ハンドルの部分にも、黒いシミのような汚れが残っています。
さらに、黄色いビデオケーブルでブラウン管モニタに接続してみると、映像が点いたり消えたりする状態。
使い込まれてきたためか、本体側の端子がグラグラになっています。このままではとても使えない状態。
こんなApple IIcを復活させるべく、The 8-Bit Guyがレストアに挑みます。
まずは、エタノール(変性アルコール)を使って落とせる汚れをキレイにしてしまいます。
クロスにエタノールを付けてごしごし。
表面の汚れがきれいになりました。
ハンドル部分にあった黒いシミも……
すっかりキレイに。
次は歯ブラシで溝の汚れを落とします。
ある程度の汚れが落ちたら、次は本格的な洗浄に。まずはケースを開けて分解。
天板を外し……
キーボード、電源部、フロッピードライブを取りはずし。
全ての部品を取り外すと、ロジックボードが表れました。
右下には、当時のコンピューターによく使われた8ビットCPU「65C02」が実装されています。
ズラリと並んだこのLSIはメモリ素子で、合計でもたった128KBという容量。しかしこれでも8ビットコンピューターとしては大容量と呼べるものだったとのこと。
分解を続けます。ネジ類は混ざってしまわないように、このように小分けできるボックスに入れておけば安心。
ロジックボードを外し……
メタル製のパネルも取り外して徹底的に分解。
スピーカーはマイナスドライバーで外します。
全てのパーツを外したケースを流し台に置き、水をかけて汚れを落とします。
ロジックボードはエアダスターを使ってホコリを除去。
次に、水洗いが済んだプラスチックケースの黄ばみを取る作業へ。サランラップのようなプラスチックフィルムをテーブルに敷き……
洗剤をその上に流して広げます。この洗剤は過酸化水素水溶液をベースにしたもので、プラスチックの黄ばみを除去する際に良く用いられるもの。いわゆる酸素系の漂白剤と同じものです。
漂白剤をブラシでまんべんなく広げ……
プラスチックのパネルをその上に置き、プラスチックフィルムを巻き付けて漂白剤が表面に密着するようにします。
そして屋外に持ち出し、太陽の光が当たるように設置。
これは、太陽光に含まれる紫外線を利用して、漂白剤を反応させるため。紫外線であれば何でもOKなので、ブラックライトなどでも代用が可能。
漂白させている間に、不調をきたしたビデオ端子の修理。このように指でつまむとグラグラの状態になっているので……
ハンダを使って再び固定。
取り付け台の金属パーツにもハンダ付けして、さらにガッチリと固定しておきます。
続いて、キーボードも分解して洗浄。
保護用のゴムシートを取りはずし。
水でザバーッと洗ってみたものの……
経年変化でボロボロに。もうどうしようもないので、ゴムシートの再利用は断念したとのこと。
キーボードを分解すると、なぜかスペースキーだけが真っ黄色に変色。
そのため、スペースキーだけ単独で袋に入れて漂白剤と日光による処理を行います。
残りのキーはまとめて袋に入れて漂白剤で処理。
処理が完了した本体を水でザバーッと洗い流すと……
このように、真っ白の状態に復活。
しかしよく見ると、漂白剤がうまくつかなかったのか、黄色いしみが残っている場所が。
さらに、ディスクドライブのパーツにも黄色いしみが残っている状態だったことが判明。
そのため、ディスクドライブを分解して処理することに。
ディスクドライブを裏返してみると、駆動用のベルトはまだまだ使える状態。
未処理のプラスチックパーツを漂白処理。さらに、シミが残った部分に入念に漂白剤を塗って再び処理を実施。
このように、真っ白な状態に戻りました。
洗浄が終わったら、再びロジックボードを組み付け。
モニタを繋ぎ、再び電源を入れると画面にはテストパターンが表示され、正常に動作していることが判明。
次に、キーボードを元どおりに。
そして電源を投入すると……
画面に「Apple IIc」の文字が表示され、正常に起動したことがわかりました。
フロッピードライブを装着して……
新品同様になった本体カバーを装着。
洗浄前はこのような状態だったApple IIcが……
真っ白に輝く新品同様の状態に元どおりに。
正常に動作することが分かったので、フロッピーを挿入してソフトウェアを立ち上げると……
アドベンチャーゲーム「マニアックマンション」が無事起動しました。モニタの映像にも乱れはなく、問題なく遊べる様子でした。
このように、Apple IIcは新品同様の状態に復活しました。ただし、過酸化水素水溶液を使った処理は恒久的なものではないため、再び黄色く変色してしまう可能性もあるとのこと。今後は日光にさらさないようにするなど、気をつける必要があるとのことです。
・関連記事
Apple IIのDOSソースコードが30年以上の時を経て公開される - GIGAZINE
「Apple II Watch」は往年の名機をすごいレベルでスマートウォッチ化 - GIGAZINE
Apple IIをマイコンボード「Arduino Uno」で再現した強者が現れる - GIGAZINE
「Apple II」や「IBM 5100」といった名機の中で世界最初のPCは何なのか? - GIGAZINE
「Appleはガレージで創業していない」「ジョブズはApple IIで変わった」など、Appleの真実をウォズニアック氏が語る - GIGAZINE
2500万円の価値があるApple Iがリサイクル会社に寄付される - GIGAZINE
Apple Iの動作品がオークションにかけられ5000万円以上で落札 - GIGAZINE
世界でわずか6台のみ現存する「動くApple I」が実際に動作するムービー - GIGAZINE
Apple社の製品の進化を一つにまとめた画像 - GIGAZINE
・関連コンテンツ