任天堂がローカライズで炎上した女性スタッフを解雇したことが判明


海外のゲームを日本で発売するとき、または日本のゲームを海外で発売する時に、現地の言葉や文化にあわせて翻訳やゲーム内の表現を変更する作業のことをローカライズと呼びます。原作の表現をそのまま落とし込んだようなローカライズがあれば、描写やセリフを大幅に改変するローカライズもあるわけで、それはゲームによって賛否両論があるところなのですが、ローカライズが原因でインターネットで炎上してしまった任天堂の社員であるアリソン・ラップさんが、会社から解雇されたとツイートして話題になっています。

Nintendo Employee 'Terminated' After Smear Campaign Over Censorship, Company Denies Harassment Was Factor [UPDATED]
http://kotaku.com/nintendo-employee-terminated-after-smear-campaign-over-1768100368

Nintendo fires staffer who faced sustained harassment | The Verge
http://www.theverge.com/2016/3/30/11335284/nintendo-alison-rapp-fired-harassment-denial

Wii Uの「XenobladeX(ゼノブレイドクロス)」やニンテンドー3DSの「ファイアーエムブレムif」の海外版が規制されまくりで、日本版とはかなり違う内容になっているのではないかということが、海外ゲーマーの間で大きな話題になりました。実際にゼノブレイドクロスでは、キャラクターの着せ替えが可能なのですが、その中の1つである「極小のビキニ」のデザインが変更され、さらに、胸の大きさを調節する機能がまるごと削除されていたそうです。また、ファイアーエムブレムifでもキャラクターの頭をなでて機嫌をとるシーンが削除されており、海外のゲーマーから「規制のしすぎでは?」と批判の対象になっています。

ゼノブレイドクロスの規制された部分について、日本版と海外版を比較したムービーが公開されています。

Xenoblade Chronicles X - Japanese to English Changes & Differences (Character Creator) - YouTube


ファイアーエムブレムifの海外版で削除されたキャラクターの頭をなでて機嫌をとるシーンは以下のムービーから確認可能です。

Petting Shara - Fire Emblem if - YouTube


その批判のターゲットとなったのが、任天堂のアメリカ支社「Nintendo of America」で翻訳などのローカライズに特化した「Treehouse」という部署でマーケティング関係の仕事をしていたラップさんでした。マーケティングの仕事はゼノブレイドクロスやファイアーエムブレムifで問題になったローカライズに直接関わっていませんが、ラップさんがE3で行われたイベントに登壇したという事実と、Twitterでフェミニズム思想を掲げるツイートをしていたことから、「ラップさんが表現規制を指図した張本人」とインターネット上で名前が上がり炎上していまいました。

炎上はとどまることを知らず、ローカライズに対して怒り狂った人たちが、なんとラップさんを任天堂からクビにしようとする運動まで起こしたそうです。さらに、ゲーマーだけでなく、ネオナチのグループがラップさんを「我々の社会に対するユダヤ人とフェミニズムの悪い影響だ。彼女は子どもとの性行為を推奨している」とコメントし、グループに属するネオナチのメンバーたちがラップさんを批判する抗議の電話を任天堂にしたとのこと。電話の際には「ラップさんを批判する時は、『子どものことが心配で……』と親のフリをしろ」という細かな指示まであったというから驚きです。ラップさんによると、過去の発言や個人情報がSNSを通して拡散されまくったとのこと。

こういった経緯があった中で、ラップさんは任天堂から解雇されたことをツイートで発表しました。

任天堂はラップさんを解雇したことについて「社内文化に反する兼職により解任した」と説明し、解雇と炎上の一件は何の関係もないとしています。しかし、ラップさんは「副業は任天堂のポリシーで許可されています」とツイートで反論。

また、炎上騒動の後にスポークスマンとしての地位を剥奪されたことや、話題になることを理由に「Rape cultureに関してツイートしないように」と指示されたことを暴露しています。Rape cultureとは、レイプを正当化し被害者に罪があるとするフェミニズムの用語のことです。

任天堂は「社内文化に反する兼職により解任した」と説明している副業のアルバイトについて、ラップさんが「偽名を使っていた」と説明していますが、解雇の根本的な理由となった「副業の詳細」については公表しておらず、副業の何が社内文化に反したのかは不明のままです。

日本のゲームが海外で販売されるときや、海外のゲームが日本に上陸するときはローカライゼーションが話題になります。海外のゲームが日本で発売されるときに規制されるのは、主に残酷性や性描写についてで、日本のゲームが海外で販売されるときに規制の対象になるのは、特に若い女性キャラクターに関する描写の部分。直近では、2016年2月25日に日本で発売されたセクシー美女が多数登場する「DEAD OR ALIVE Xtreme 3」の欧米での販売が見送られたケースもありました。

ゲームや映画に登場する女性が性的な対象として見られることに関する議論が海外で多くなっているのは事実です。販売される地域の文化に添うようにローカライズするのが当たり前ですが、規制しすぎるとゲームの内容が変わってしまったり、表現の自由が制限されてしまったりするので、なかなか難しい問題です。

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