Outlook 2016でメールがサーバーから勝手に消去されるバグが判明

Microsoftのメール・スケジュール管理ソフト「Outlook 2016」に、「メールを受信すると同時に勝手にサーバーから削除される」という深刻な問題が生じていることが明らかになりました。このバグは皮肉なことにも、サーバーからメールを削除するタイミングをコントロールしたい人に限って発生していることから、実害が生じていると言えそうです。

Outlook 2016’s New POP3 Bug Deletes Your Emails! | josh.com
http://wp.josh.com/2016/02/24/outlook-2016s-new-pop3-bug-deletes-your-emails/

Email is deleted from server or duplicated in Outlook 2016 when downloaded using POP3
https://support.microsoft.com/en-us/kb/3145116

ブログjosh.comを運営するbigjosh2さんは、Outlook 2016で受信したメールがサーバーの受信ボックスから勝手に消去されていることに気づきました。bigjosh2氏は、メール受信から一定期間後にサーバーから受信メールを自動消去するOutlookのオプション機能を使っていたことから、受信直後にメールが消去された異変に気づいたとのこと。

この不具合について調査するためにbigjosh2さんは仮想マシン環境でOutlook 2016のみをインストールしたテスト環境を作り、新たにメールアカウントを登録して試したところ、受信メールがサーバーの受信ボックスから勝手に消去されることを確認しました。なお、そのときの挙動については、以下のGithubページで詳細なログデータが公開されています。

Log file showing Outlook 2016 new version POP3 bug. See http://wp.josh.com/2016/02/24/outlook-2016s-buggy-pop3/ for details. · GitHub
https://gist.github.com/bigjosh/0f6a08f52d7f8584f360

bigjosh2さんによるとこの不具合は、「POP3を使っている」場合で、かつ「『サーバから削除する ○○日後』というオプションがONになっている」ときに生じるとのこと。なお、このサーバから一定期間後にメールを削除する機能を使っていないときには勝手にメールが消去されることはなくなるものの、今度は同じメールが何度も手元の受信箱に届くという不具合が生じており、根本的な解決にはなっていないそうです。

この不具合については、すでにMicrosoftもバグを確認しています。

Email is deleted from server or duplicated in Outlook 2016 when downloaded using POP3
https://support.microsoft.com/en-us/kb/3145116

Microsoftによると、不具合が生じるのは「version 16.0.6568.2025」のOutlook 2016で、POP3環境下でのみ生じているとのこと。そのためバグを修復したバージョンが出るまでは、メールをPOP3ではなくIMAPで受信することや、16.0.6568.2025以前のバージョンのOutlook 2016を利用することを推奨しています。

また、日本のユーザーからも同種の不具合の報告がMicrosoftコミュニティに報告されています。

outlook2016で同一メールの重複受信及びメール閲覧でサーバーからメールが削除される - マイクロソフト コミュニティ
http://answers.microsoft.com/ja-jp/office/forum/office_2016-outlook/outlook2016%E3%81%A7%E5%90%8C%E4%B8%80%E3%83%A1/830a4e41-72b1-4766-bf85-98483769b8e0

ddrjzz30さんによると、マイクロソフトサポートは「Microsoftでも事象を確認していて先週水曜日(2016年2月24日)から配信された更新プログラムの不具合の可能性が高い」と考えているとのことです。