ハリポタを3時間で読めるようになる画期的な速読技術「Spritz」の効果とは?

by Jayel Aheram

文章読解方法論の専門家やソフト開発のエンジニアらによって約3年間の期間を経て開発した画期的な速読技術が「Spritz」です。これまでにない全く新しい方法で読書スピードを上げられるとのことですが、実際に効果はどれほどのものなのか、ある教師が自分や生徒を対象に実験を行った結果を公開しています。

Finding My Optimum Reading Speed by Kyrill Potapov | Quantified SelfQuantified Self
http://quantifiedself.com/2016/01/finding-my-optimum-reading-speed/

Spritzとは一体どんなものなのか?ということは、以下の記事を読むとよくわかります。

単語が目に飛び込んできてすごい速度で文章を読めるようになる「Spritz」 - GIGAZINE


Spritzは既存の速読とはまったく違ったアプローチで、より効率的に文章を読むために開発された技術。人間は文章を読んでいる時間の80%を物理的に眼球を動かすことに費やしており、実際に脳が読解処理を行っている時間は20%であることから、単語を次々に表示させては消していくことで、視線を全く動かすことなく文章を読めるようにしています。以下は1分あたり250ワード(250wpm)というスピードで文章を表示させています。


さらに慣れてくると、1分あたり500ワード(500wpm)という速いスピードで文章が読めるようになるわけです。


この技術の核となっているのはORP(Optimal Recognition Position:最適認識位置)と呼ばれるもの。人は単語を目にした時に無意識のうちに一部分に焦点を当てています。この焦点となる位置をORPと呼ぶのですが、高速で表示される単語のORPを赤く表示し、かつ一定の位置を保つことで、より視線の移動を少なくしています。


Spritzを使えば本当に高速で読めるようになるのか?そしてSpritzは読書の役に立つのか?と気になるところですが、実際に、ある教師が自分や生徒たちを対象に実験した結果を発表しています。

Kyrill Potapov: Finding My Optimum Reading Speed on Vimeo


Kyrill Potapovさんはイギリス在住の英語教師で、現在は12歳の子どもたちを相手に教鞭をとっています。


Spritzが高速で文章を読めるようになる技術だということは上記の通りですが、例としてあげると、Spritzを使えばハリー・ポッターが3時間で読めるようになるとのこと。


ただし、実際に経験してみないと「ハリー・ポッターを3時間は言い過ぎでは?」と思ってしまうもの。また、内容をちゃんと理解できているのか?そもそも速読はいいことなのか?という点が気になってきます。そこで、Potapovさんは生徒たちを「Spritzを使ってPCで文章を読むグループ」と「本を読むグループ」と「PCでスクロールしながら文章を読むグループ」に分けて、実験を行いました。


この時わかったのは、チャールズ・ディケンズの「ニコラス・ニクルビー」やロバート・マカモアの「The Recruit」というスパイ・アクション小説は、Spritzを使った方が読みやすいということ。


また、Potapovさんが実際にSpritzで読書してみたところ、古典作品や現代小説に関しては効果があり、ちゃんと理解しつつ読書時間をスピードアップさせることができたそうです。


Potapovさんの読書スピードは、Spritzを始める前は1分あたり230ワードだったのですが、数カ月Spritzを使うと、1分あたり450ワードにまでアップ。約2倍になったわけです。多忙な日々を送るPotapovさんにとって、読書スピードが上がることは非常に役だったそうです。


そして、Spritzを使い続けたPotapovさんは、Spritzを使っている時にマインドフルネスな状態になっていることに気付きます。マインドフルネスとは、瞑想などと並んで述べられることが多い、心が穏やかで一定の状態のこと。


そこでPotapovさんは「muse」というガジェットを使って脳波を測定し、自分の頭の中がどういう状態にあるのかを調べました。


museを装着しSpritzで読書を始めると、時間の経過と共に読書スピードがどんどん上がっていき、7分後には1分あたり400ワードに到達します。


最初の数分間にmuseが記録したデータはこんな感じで、振れ幅が大きいことがわかります。1分40秒あたりで端末をタップしたらしく、脳が「アクティブ」の状態になっていることが見て取れます。


また、脳が「アクティブ」な状態にある時と、集中力が欠けて物語の理解度が低い時は合致していたとのこと。つまり、脳波が「ニュートラル」や「カーム」にある時ほど、物語の理解は深まっているということです。


そして、以下が通常の方法で読書した時の脳波。「カーム」が続く状態と「アクティブ」が続く状態でむらがあります。


一方で、Spritzの場合は主に「ニュートラル」と「カーム」の間で安定しており、脳波の動きから見ても通常の読書方法より理解度が高く、さらに穏やかな気持ちでいられたことが分かるわけです。


ただし、Spritzを使った場合は読み逃しなどがあることから没入感は少なく、物語によって感情が大きく揺れることもあまりなかったとのこと。一方で、重要な部分の意味を逃すことは少なくスキミング・リーディングよりも理解度は深かったそうです。


そのため、Spritzは話をざっくり理解したい時や、楽しみのための読書には向いている、とPotapovさん。


また、仕事の際に短時間で大量のデータに目を通さなければならない時にも効果的とのことです。

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