Amazonが海運事業へと進出
by Bernal Saborio
人によっては生活に欠かせない存在となっているAmazonが、いよいよ自ら海運を手掛けるための一歩を踏み出したことが明らかになりました。
Amazon Has Just Registered to Sell Ocean Freight
https://www.flexport.com/blog/amazon-ocean-freight-forwarder/
Amazon takes steps to move into ocean shipping | The Verge
http://www.theverge.com/2016/1/15/10774124/amazon-ocean-shipping-china-license
これは、連邦海事委員会のサイトの登録情報から、海上輸送を請け負う業者のリストの中に「Amazon China」が加わったことで明らかになったもの。Amazonは、これで3500億ドル(約41兆円)といわれる海運市場へ参入することになります。
資料では、会社名が「Beijing Century JOYO Courier Service Co.Ltd,」で、商号が「Amazon China」となっています。JOYOは2004年にAmazonが買収した中国最大級のオンライン小売業者です。
なぜ「Amazon」ではなく「Amazon China」の事業という形を取っているのかについて、Flexportはこの海運事業がアメリカにいる買い手より、中国の売り手にとって魅力的なものだからと推測しています。
また、なぜ海運なのかという点については、現在、海運の運用コストが安いことが挙げられています。例えば、2016年1月時点のデータで、海上輸送で用いられるコンテナの標準サイズである40フィートコンテナ1つを深圳からロサンゼルスまで運ぶ輸送費は1300ドル(約15万円)未満。コンテナには小包だと1万個以上は入るので、輸送費は小包1つあたり0.14ドル(約17円)ほどになるとのこと。また、薄型テレビを太平洋を横断して運ぶと輸送費は10ドル(約1180円)未満だそうです。
見方を変えると、物流にかかるコストの多くは人件費などにかかっているということ。「通常の運輸会社はAmazonがやっていることの自動化できていない」と言われるほど合理化・自動化を推し進めているAmazonであれば、海運においてもその運用でかかってくるコストを大幅にカットすることができるのではないかと考えられています。さらに、生産した場所から消費者まで製品を直接届けられるようになれば、倉庫での取り扱いにかかる費用も削減可能です。
Flexportは、これまで20年間のAmazonの動きから、輸送費は限界原価に近いものになるのではないかと期待を寄せています。
・関連記事
無人で貨物を運搬する「ドローン輸送船」をロールス・ロイスが開発中 - GIGAZINE
貨物船にコンテナを載せられるだけ載せまくって世界記録を樹立、出港するムービー - GIGAZINE
毎年1万個のコンテナが船舶輸送中に海底へ落下、生態系に影響を与えている事実も明らかに - GIGAZINE
「コンテナ」はどのようにして世界を変えたのか? - GIGAZINE
燃料高騰で帆船による海運が復活 - GIGAZINE
・関連コンテンツ