企業は従業員のメッセンジャーアプリの中身を見ることができるとの判決が下される

By Cheon Fong Liew

仕事中にウェブサーフィンをしたり個人的なメールを送信したりと、いけないことだと思いつつもついやってしまうこともありますが、ヨーロッパでは「企業は従業員が職務中に送信したプライベートなメッセージの中身を確認することができる」という判決が下されました。この判決内容は、欧州人権条約を批准するすべての国を拘束します。

Private messages at work can be read by European employers - BBC News
http://www.bbc.com/news/technology-35301148

ルーマニア人のボージャン・バブレスクさんは、2007年に当時、勤めていた会社をクビになりました。その際に、会社はバブレスクさんが使っていたYahoo Messengerアプリの中身を開示するよう要求し、実際にメッセージを閲覧したとのこと。この行為はプライバシー権を侵害するもので不当だとして、バブレスクさんはルーマニアの裁判所に提訴しましたが、訴えは退けられたとのこと。

そこでバブレスクさんは、あらため欧州人権裁判所に救済を求めて訴えを起こしていましたが、2016年1月12日、欧州人権裁判所は「企業は従業員の私的なメッセージが含まれていても職務中のメッセージの内容を確認することができる」との判決を下しました。


BBC Newsによると、バブレスクさんは勤務時間中にYahoo Messengerアプリでメッセージの送受信を行っており、その中には仕事に関するメッセージと私的なメッセージが混在していたとのこと。欧州人権裁判所の判断は、「勤務時間内に行われたメッセージの送受信という行為について、企業(雇用者)は職務が正当に遂行されていたかを判断するために内容を確認したいと思うことは当然で、その限りにおいてメッセージの中身を読む権利がある」というもの。ただし、8人の裁判官のうち1人はインターネットの全面禁止になりかねないとして反対意見を出している通り、プライバシー権に関わる重要な問題であるため、制約なしにメールやメッセージの中身を読むことを認めるものではなさそうです。

また、バブレスクさんが勤めていた会社には勤務時間中の私的なメッセージ送信行為を禁止する内規があったこと、バブレスクさんが私的なメッセージ送信行為について注意勧告されていたこと、バブレスクさんのPCの保存されていた他のデータについては会社はアクセスしていないこと、などの事情も考慮されており、雇用者が被用者の私的なメッセージの内容を読むことが正当な行為と認められる条件は限定されるという解釈の余地もありそうです。

なお、今回の事案について意見を求められたストラスクライド大学でインターネット法を研究するリリアン・エドワーズ教授は、「今回のケースでは雇用者が従業員に業務以外でのインターネット利用を禁止しているのがポイントです。業務に関わること以外で一切のインターネット利用を禁じる行為は、ほとんどの人に支持されていませんが、完全に合法です」と述べつつも、職務中に個人的理由でのインターネット利用を一切禁じる事は、職務中であっても私生活を持つ権利が維持されていることを考えると、合理的とは言えないとの見解を明らかにしています。

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