スターウォーズの宇宙要塞「デス・スター」のように惑星を破壊するにはどれくらいのエネルギーが必要なのか？

2015年12月18日、シリーズ最新作となる「スター・ウォーズ／フォースの覚醒」が公開されたスターウォーズシリーズ。作品には「フォース」や「ライトセーバー」などSF要素満点な兵器や能力が複数登場するのですが、その中でも一際異彩を放つのが銀河帝国の最終兵器として登場する「デス・スター」です。惑星をも破壊してしまうという究極の破壊兵器がこのデス・スターなのですが、もしもこれが実現するとしたらどれくらいエネルギーが必要になるのかを「How Much Power Do You Need To Destroy A Planet？」というムービーが解説しています。

How Much Power Do You Need To Destroy A Planet? - YouTube

1977年にシリーズ1作目(作品内の時系列では4番目)となる「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」が公開されました。それから実に38年の時を経て、2015年にシリーズ7作目となるフォースの覚醒が公開されています。

その中で登場したのが宇宙要塞「デス・スター」。作品中に出てくる惑星・オルデランを「スーパーレーザー」という破壊兵器を使って一撃で破壊してしまうこの要塞。SF作品の中の出来事とはいえ、現実世界に惑星を破壊できるくらいに強力なパワーは存在するのでしょうか。また、劇中ではスーパーレーザーで惑星オルデランを破壊していますが、もしもこのスーパーレーザーが完成したとすれば、一体どれくらいのエネルギーが必要になるのでしょうか。

そんな「惑星を破壊するにはどれくらいのエネルギーが必要なのか？」という空想を実際に計算した論文が2011年に公表されました。

球状の惑星を破壊するには、惑星の重力結合エネルギーを上回る力が必要になります。なぜなら、惑星には重力が働くので、例え惑星が半壊したとしても、重力により物質が引き寄せられてすぐに惑星の形に戻ってしまうためです。例えば地球の場合、地球を破壊して木っ葉微塵に粉砕するには、破片ひとつひとつが地球の重力を振り切るために必要な地表における初速度「地球脱出速度」を上回る必要があるとのこと。

地球以外の惑星においても、その惑星の重力から脱出するための速度を計算するのは比較的簡単です。式は以下の通りで、それぞれ万有引力定数(G)、惑星の質量(M)、半径(R)を表しています。

地球の場合は各数値は以下のようになり、2.25×10^32J(ジュール)のエネルギーが必要になるとのこと。

論文では、木星のような地球よりも巨大な惑星を破壊するのに必要なエネルギーも計算しており、論文の著者はデス・スターは木星レベルの惑星も破壊できるのでは、としているそうです。

もし木星を破壊するならば、必要なエネルギーは2×10^36J。

なお、論文の著者は「映画スターウォーズのデス・スターは、複数の主系列星と同じくらいのパワーを秘めた巨大動力源のおかげで、惑星を破壊することが可能です。しかし、巨大な惑星が相手の場合は苦労することとなり、そのような巨大惑星を破壊する能力は備わっていないでしょう」と記しています。

それでも、スターウォーズの作中ではデス・スターが惑星オルデランを破壊します。

破壊されたオルデランは一気に吹き飛びます。

しかし、この惑星を地球に置き換えて考えてみると、惑星の破片は秒速1万km以上の速度で飛ぶので、映画の破壊シーンはせいぜい1秒程度のものになってしまう、とのこと。

なお、オルデランが破壊されたシーンはその2、3倍は長くなっています。

重力結合エネルギーは、物体が惑星の脱出速度を得るのに必要な運動エネルギーに比べれば、実際には小さな補正にすぎないとのこと。また、もしも惑星が破壊されるとするなら、爆発で多くの物質が消滅するだろう、とムービーの作者であるScott Manleyさん。

そんなわけで、もしも映画の中のオルデランを破壊するとなると、惑星の破片が重力に捕らわれないようにするために初速で秒速1000kmのエネルギーが必要になるとのこと。そうなると、実際に必要なエネルギーは脱出速度だけで考えた場合よりも大きな3×10^36Jとなります。

なお、シリーズ最新作の「フォースの覚醒」では新世代の惑星破壊兵器が登場するそうで、この兵器に関する考察もムービーでは行っています。ただし、ネタバレになってしまうので気になる人はフォースの覚醒を視聴したあとにチェックしてみると良さそうです。