Googleもプロセッサ開発へ進出か、自社製ハードウェア向けチップ設計者を求人サイトで募集

これまで主にソフトウェア方面を中心に手がけてきたGoogleが、自社でハードウェアの開発に乗り出す動きを見せていることが報じられています。その狙いは、自社でプロセッサを開発することでAppleやMicrosoftのようなライバル企業に対抗するためともみられています。

Google chip-development effort - Business Insider
http://www.businessinsider.com/google-chip-development-effort-2015-10

Googleはサイト内の人材募集ページで「Multimedia Chip Architect」(マルチメディアチップ設計者)を募集するエントリーを公開しており、その仕事内容について「何百万人というユーザーに使われる製品を開発する」ことと記載。そのために「広範囲な能力があり、新しい問題に情熱的に取り組んで技術を進歩させる技術者」を求めているとしています。

Multimedia Chip Architect

業務内容や必要な経験などは以下のとおり。「製品要件に沿ったチップアーキテクチャの提案」や「開発エフォートの統括」などの仕事を担当するために、「電気エンジニアリングにおける修士号およびこれに相当する経験」「10年以上の職務経験」「C++またはMATLABの経験」「SoCにおける画像・動画・ディスプレイパイプラインにおける経験」などが必要です。

所属する部署については具体的な名称は記載されていませんが、以下のように「Consumer Hardware team」との記載があります。

また、Business Insiderは内部の事情に詳しい人物の情報をもとに、今回の人材募集が自社製品であるタブレット「Pixel C」などを開発するPixelチームが行ったものであることを報じています。

Pixel C

この動きは、自らプロセッサを開発することで自社のソフトウェアにより強く適合したハードウェアの開発を目指しているものと見られており、その視線の先には「A9チップ」などを開発してきたAppleや、Intelとの結びつきで数々の製品を世に送り出してきたMicrosoftの存在があるものと見られています。

このGoogleの動きに対し、チップアナリストのジム・マクレガー氏は「システム系の設計者はチップレベルの経験を必要とされることが多いため、普段なら私はこの手の求人には注目しないのですが」と前置きした上で「MicrosoftやAppleが開発から生産、販売をひとまとめにする垂直統合を進めている現在のトレンドを考えると、GoogleがAndroid搭載のタブレット端末のためにチップを自社で開発することでSurface ProやiPad Proに対抗しようとしていたとしても、不思議ではありません」と語り、Googleがハードウェア自社開発に乗り出す必然性とも呼べる側面を指摘しています。

さらに、2015年11月初頭には、Googleがチップメーカーのパートナーを模索していることも報じられていました。自社でチップ開発を行い、生産をパートナー企業に委託するということ方法は、Appleが自社で設計してSamsungなどにチップの生産を任せる構造と同じものと見られています。

With Apple in Mind, Google Seeks Android Chip Partners — The Information
https://www.theinformation.com/with-apple-in-mind-google-seeks-android-chip-partners

Google reportedly wants to design its own Android chips | The Verge
http://www.theverge.com/2015/11/5/9678040/google-android-chip-design-smartphones

サイトの記載から判断すると、今回の募集内容はあくまで「マルチメディアチップ設計者」であり、システムの根幹をになうメインプロセッサまでをも含むものであるかは不明の状態といえます。とはいえ、業界全体の流れが垂直統合に向かっていると見られる中で、Googleがこの動きを手をこまねいて眺めているだけとは考えにくいので、今後どのような製品が登場することになるのか、関心が集まりそうです。