世界的な航空機メーカー・エアバスが頭上のデッドスペースに座席を配置する斬新な特許を申請
世界的な航空機メーカーであるエアバスが、既存の航空機における座席設計を根本から覆すような新しい「中2階的な2段式の座席設計」に関する特許を申請したことが明らかになりました。
United States Patent Application: 0150274298
http://appft.uspto.gov/netacgi/nph-Parser?Sect1=PTO2&Sect2=HITOFF&p=1&u=%2Fnetahtml%2FPTO%2Fsearch-bool.html&r=12&f=G&l=50&co1=AND&d=PG01&s1=airbus&OS=airbus&RS=airbus
Airbus files patent for split-level mezzanine style seating in business class | Daily Mail Online
http://www.dailymail.co.uk/travel/travel_news/article-3260690/Airbus-files-patent-mezzanine-style-seating-business-class.html
「中2階的な2段式の座席設計」というのが一体どんな座席になるのかは、米国特許商標庁の公式ページで公開されている申請資料内のイメージイラストを見ればよく分かります。以下のイラストの通り、通常の座席と同じ高さにある座席と、完全な2階席ではなく通常の座席よりも少しだけ高い位置に設置される「中2階席」を合わせて「中2階的な2段式の座席設計」になる模様。
エアバスの設計士により考案されたこの新しい中2階席は、ビジネスクラスなどの上級客室の中央列にのみ配置されるものとなる見込み。なぜ中央の列だけなのかといえば、中央スペースならば客室内の左右両端よりも高さに余裕があるから。他の座席と同じ高さの席と、床からシート半分程度の高さに設置した中2階席の2つを交互に配置することでより多くの座席を確保できるようになるわけです。なお、中2階席の前には席に上るための階段もしくは梯子が設置されることになるようです。
この中2階席はドイツ・ハンブルグのエアバス設計士によりデザインされたもので、米特許商標局に特許申請されています。図面に基づいた客室が現実のものとなれば、ビジネスクラスの客室は従来のものよりも狭く感じるようになるかもしれませんが、より多くの座席を配置できるようになるので、一度に多くの乗客を乗せられるようにもなります。
1階席と中2階席はかなり密接に設置されているように感じますが、両方の座席共にリクライニング可能。また、1階席を倒した状態でも中2階席に自由に上り下りできるようデザインされています。
エアバスはこの中2階席でも従来通りの快適さを提供可能としており、座席の角度を異なる方向に調整することで前方の座席に座っている人の頭を見続ける必要がなくなる、などの細かな配慮も見られます。
特許申請の中でエアバスは「現在の輸送手段、特に航空機においては、客室の利用可能なスペースを有効活用することが経済的な視点から非常に重要になってきます。したがって、客室にはできる限り多くの座席を取り付けるべきです。より効果的な空間利用のため、この特許では広い胴体を持つ航空機でメインフロアよりも高い位置に中2階席を設けることで、これまで利用されていなかったスペースを活用できます」と、中2階席を考案した理由について述べています。
ただし、この特許に関してエアバスのスポークスマンは「エアバスは知的財産を保護するために年間約600の特許を申請しています。しかし、これらの特許が全て我々の航空機にいかされるというわけではありません」とコメントしており現実のものになるかどうかは未定です。
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