ユーザー減少傾向にあるFirefoxが巻き返しを図って今後の方針を明らかにする

世界的にユーザーシェアを落とし続けているブラウザ・Firefoxは、ユーザーの奪回に向けて方針を大きく転換させ、最高のユーザー体験の実現を目指すべく新たな方針に狙いを定めていることが明らかになっています。

What to Look Forward to from Firefox | Future Releases
https://blog.mozilla.org/futurereleases/2015/07/02/what-to-look-forward-to-from-firefox/

Three Pillars
https://mail.mozilla.org/pipermail/firefox-dev/2015-July/003062.html

Revisiting how we build Firefox
https://mail.mozilla.org/pipermail/firefox-dev/2015-July/003063.html

Firefoxを開発するMozillaは2015年7月2日、公式ブログで今後のFirefoxの展望について構想を明らかにしました。その中では、Firefoxが採るべき道筋が「Uncompromised Quality(妥協なき品質)」「Best of the Web(ウェブにおける最高の存在)」「Uniquely Firefox(Firefoxらしさ)」という3つの基本的な価値観で表現されています。

・妥協なき品質
ブラウザの品質を高く保つべく、MozillaはFirefoxにおいてHTML5ビデオへの対応やゲームパフォーマンスを高めるための開発を継続中であるとしつつ、さらに「iOSやWindows 10という新しいプラットフォームにFirefoxを提供」することを明らかにしています。

すでにiOS向けのFirefoxはベータプログラムがスタートしており、いよいよiOS版Firefoxの登場が近づいていることが分かっていますが、新たにWindows 10への対応をうたう部分には一定の意味がありそう。Windows 8/8.1用に開発されていたMetroスタイルのFirefoxはリソース不足を理由に2014年3月に開発が中止されましたが、新たにWindows 10への対応に向けて、タッチUIを前提としたFirefoxが開発される可能性が出たというわけです。

・ウェブにおける最高の存在
対価の支払いを受ける開発者だけでなく、無償で開発をサポートするコミュニティメンバーの存在によってFirefoxの開発は進められています。そして、このサポートメンバーにはFirefoxに機能を追加するソフトウェア「アドオン」の開発者が含まれています。

なお、Firefox 38.0.5で正式にPocketがツールバーとブックマークメニューに追加されましたが、この機能統合については一部の開発者からMozillaのプライバシーポリシーやライセンスポリシーに違反するという反対の声が上がっているとのこと。この反対意見に対してMozillaは耳を傾けつつ、今後、よりアドオン制作が簡単になるようプラットフォームを横断できるAPIの開発計画があることを明らかにしています。

・Firefoxらしさ
Firefoxにユーザーを呼び戻すために最も必要な要素についてMozillaは「Firefoxらしさ」だと考えているということですが、実際にどのような方策をとるのかについては具体的には述べられていません。

By Johnathan Nightingale

ただし、Firefox開発ディレクターのデイブ・キャンプ氏のFirefoxコミュニティへ向けたメールには「高い品質を保つために良いサービスは残し、悪いサービスは切り捨てるべきです」「Firefoxを偉大なものと感じさせるユーザー体験に必要なものはElectrolysis(e10s)しかありません」とつづられています。また、別のメールには「XULとXBLをFirefoxから取り除くための議論は初期段階です」など、具体的な技術に関するコメントがあり、ここからFirefoxの進むべき道が見えてくるかもしれません。