レビュー

無料で強力な耳コピツール、ヤマハのコード譜作成アプリ「Chord Tracker」をいろんな曲で試してみました


楽器を始めた人の多くが通る難関の1つが、耳で聴いた曲のコードを自分で判定する「耳コピ」の作業です。コードの勉強になるのでぜひともマスターしたいものですが、そんな耳コピの強力な助っ人になってくれそうなアプリがヤマハが無料でリリースしている「Chord Tracker」です。

Chord Tracker - スマートデバイスアプリケーション - ヤマハ株式会社
http://jp.yamaha.com/products/apps/chord_tracker/

iTunes の App Store で配信中の iPhone、iPod touch、iPad 用 Chord Tracker
https://itunes.apple.com/jp/app/chord-tracker/id975438908

実際にChord Trackerでコード譜を作成してみた様子は以下のムービーで見ることが可能。曲を指定してからわずか数秒でコードを判別して簡単な譜面が完成しています。

YAMAHAのアプリ「Chord Tracker」で楽曲のコードを判別させてみた - YouTube


このように、今までだと実際の曲の長さの何倍もの時間をかけて作成していたコード譜が、スマートフォンを使うだけでわずか数秒で作成されてしまいました。これは楽器を演奏したり、バンド活動をやっている人なら大きな助けになる人も多いハズ。

アプリのダウンロードはApp Storeを訪れて「入手」をタップすればOKです。アプリはiPhoneやiPad、iPod Touchに対応していますが、iOSのみ対応のアプリのため記事作成時点ではAndroid端末では利用することができませんでした。


今回はiPhone 6にインストールしてみました。インストールが完了し、アプリを立ち上げると「ホーム」画面が表示されます。コードを判定させたい曲を選ぶには「ミュージック」をタップ。


「ミュージック」をタップすると、iPhoneの中に保存されているオーディオファイルが一覧で表示されました。純正の音楽アプリの分類がそのまま活かされているので、アーティスト名やアルバム名で簡単に絞り込んで行くことが可能。


解析させたい曲をタップすると……


処理が始まり、赤いバーグラフがどんどん伸びていきます。4分程度の曲であれば、10秒足らずで処理が完了してしまうと言う驚きの速さ。しかも、処理はiPhone内部で行われているようで、「機内モードオン」などでネットへのアクセスがない状態でも同様に処理が行われます。


処理が完了すると、小節に区切られてコード名が書かれたコード譜が表示されました。驚くべきは、ここまででテンポや拍子の設定は一切行っておらず、曲名をタップするだけでこのような楽譜が表示されたこと。今までの苦労が一瞬で処理されてしまうという恐るべきアプリとなっています。


画面下の「五線譜」をタップすると、コードノートが五線譜上に表示されます。


「鍵盤」だと、ピアノの鍵盤に音の位置が表示されます。「DM7 on F#」のようにベース音と上に載る和音が異なる「onコード(オンコード)」の場合は、ベース音のところに小さく「on」と書かれているのが親切。


「再生設定」では、再生音量を調節できるほか、音程は保ったままテンポだけを変化させたり、逆にテンポはそのままに音程だけを変化させるなどの調整も可能。操作に応じて、画面の和音もリアルタイムで変化します。さらに、メロディーのみを消して再生する「メロディーキャンセル」機能を使うこともできます。


◆コード解析が間違っていたり、小節の区切りが原曲とズレていた場合
曲を読み込ませて解析させただけでも意外なほど精度高くコードを判別してくれる「Chord Tracker」ですが、やはり機械的な処理では厳しい楽曲もあるようで、常に正しいコードが表示されるとは限りません。そんな時でも、処理後に手動でコード名を編集できる機能が備わっています。

コード名を修正したい場合は、そのコードの上でダブルタップ。すると、別の候補となるコードが表示されるので、そこから正しいものを選ぶことが可能。


正しいものが表示されていない場合でも、ルート音、メジャー・マイナーなどの種別、onコードの有無を好きな組み合わせで設定することが可能になっています。


また、同じように小節をダブルタップして、「Aメロ」や「Bメロ」など、曲の中でのセクションを設定することも可能です。


設定を済ませるとこんな風に色分けされるので、いまどの部分を参照しているのかが一目で分けるというわけです。


「ABボタン」をタップして、曲の一部を連続ループ再生させることも可能。重点的に一部分を練習する時に便利です。


「録音」ボタンは、アプリに対応している楽器を接続して演奏を録音することが可能。iPhone純正のマイクで録音できるわけではないので、注意が必要です。


◆Chord TrackerはiPadにも対応
このアプリはiPadにもネイティブ対応しているので、より広い画面で見やすく表示させることも可能です。SEKAI NO OWARIの曲「銀河街の悪夢」を解析させると、イントロ部分のSE(効果音)には楽器の演奏はありませんが、なぜかそれらしきコードが表示されました。実際の演奏は「8」と書かれた部分からスタートしています。


楽曲によってはかなりの精度でコードを判定。スティーヴ・ヴァイの「Liberty」では、ほぼ完璧なコード判別が行われました。


少し複雑なコードになると少し誤差が現れる模様。「Sus4」コードが多発するパット・メセニーの「Facing West」を読み込ませましたが、結局「Sus4」は1度も表示されず。


山下達郎の「パレード」だと、和音の作り方のためか、コード進行を見逃したり、メジャーとマイナーを勘違いすることすらありました。


ただし、ド定番・王道なコード進行だと精度が上がります。つボイノリオの「名古屋はええよ!やっとかめ」だと、ほぼ完璧な判定でした。


同じく王道ソング「ヤッターマンの歌」でもコード判定はほぼ完璧。そういえば両方の曲ともシンガーソングライター・山本正之の手による楽曲でした。


このほかにもいろいろと曲を読み込ませてみましたが、それぞれ精度が大きく変化する様子がじつに興味深いものでした。耳コピや曲の練習にはもってこいのアプリなので、音楽をやる人なら役に立ちそうです。

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in レビュー,   モバイル,   ソフトウェア,   動画,   アート, Posted by darkhorse_log

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