取材

4K撮影・YouTube配信も可能な空撮ドローン「DJI Phantom 3」の新機種発表会に行ってきました


2015年4月上旬、高い安定性で誰でも簡単に空からの風景を撮影できるようになる空撮ドローンメーカーのDJIは「Phantom 2 Vision+」に続くPhantomシリーズの新モデル「Phantom 3」を発表していました。2015年4月21日には日本国内向けの新製品発表会が開催されたので、どんなモデルになっているのか見に行ってくることにしました。

Phantom 3 概要 | DJI
http://www.dji.com/ja/product/phantom-3

発表会が開催される六本木ヒルズに到着。


会場には多くの人が訪れていました。


定刻になり、さっそくプレゼンテーションがスタート。DJIが販売してきたドローン機の「Phantomシリーズ」は2012年の初代機の発売以来、3つのモデルが登場し、累計販売台数は100万台にも達するとのこと。


そして、今回の発表会では新たなPhantomシリーズ機が発表されます。ここで、会場に突然プロペラの音が響き渡り、新型機となるPhantom 3が姿を表しました。その登場の様子は以下のムービーで見ることができますが、従来にも増して安定して飛ぶ様子を見ることができます。

「DJI Phantom 3」発表会で突然Phantom 3がステージに飛んでくる様子 - YouTube


これまでのPhantomシリーズ機では、GPSを使った位置測定システムにより正確な自機位置の把握を可能にしてきましたが、今回のような屋内での飛行は苦手だったはず。それを可能にしたのが、超音波センサーと専用カメラを活用した「ビジョン・ポジショニング」の仕組みだとのこと。


このシステムにより、カメラで捉えた地表の様子をもとに横方向の移動を、そして超音波センサーで地表との距離を正確に測定できるようになっています。


さらに、Phantom 3ではシリーズ初となる4K画質での撮影に対応するモデルが登場しました。カメラの視野角は94度に若干減少しましたが、これにより、自然な映像の撮影が可能になったとのこと。


その違いは、従来機と比較すれば一目瞭然。左のPhantom 2 Vision+で撮影した映像では水平線が湾曲しているのに対し、右のPhantom 3の映像は真っすぐなっているのがわかります。


カメラで捉えた映像は、2km離れた場所へHD画質で転送することが可能。


専用のアプリを使えば、送られてきた映像をタブレットなどで見ながら操縦するFPV(First Person View:一人称視点)でのフライトが可能になったり、YouTube経由でのライブストリーミング配信を行うことが可能。また、アプリからはカメラの詳細な設定変更をリモートで行うことができます。


さらに、アプリでは期待のフライト履歴を記録するログ機能を搭載。これにより撮影データの確認が簡単になるほか、メンテナンス時期の把握なども容易になるとのこと。


そして、初心者にうれしいのが「フライトシミュレーター機能」。


アプリ上でPhantom 3のフライトをシミュレーションして練習することが可能になりました。従来はたとえ初心者であろうといきなり実機を飛ばす必要があり、墜落などの被害を避けることが難しかったわけですが、このシミュレータを使うと事前にバーチャルな練習を行うことが可能になります。


また、アプリには撮影した映像をカンタンに編集できる「フィルムメーカー」機能が搭載されています。


映像を画面上でドラッグ&ドロップするだけで、一本の映像に仕上げることができるようになっています。


さらに、今回からは日本独自のサービスとして、三井住友海上保険との共同による「DJI専用賠償責任保証制度」が提供されることになりました。これは業務としてドローンを飛ばす人を対象にした保険で、業務中に発生した事故や傷害による被害を補償するというもの。業務用に提供される保険サービスですが、いわゆる「YouTuber」のように、Phantom 3で撮影した映像をもとにYouTubeなどで収益をあげている人であれば問題なく対応するサービスになるとのこと。これまで特に業務用途に向けた補償制度は手薄な感がありましたが、この制度により安心して業務にドローンを取り入れることができるようになるとDJIではその目的を定めていました。


気になる価格は、4K映像を撮影可能にした上位機種「Phantom 3 Professional」が17万5000円、そしてHD映像/60FPSでの撮影が可能な「Phantom 3 Advanced」が13万9800円となっています。発売時期は5月ごろを予定しているとのこと。


さらにDJIでは、独自編集による空撮本やフライト講習会などを開催して、安全な飛行を広める働きかけを行っています。


プレゼンの最後では、現在開発が進められている製品が紹介されました。まず紹介されたのが、一眼レフカメラを搭載可能な小型ブラシレスジンバルの新機種「RONIN-M」。


このモデルでは、従来機であるDJI RONINを小型化し、軽量化を行うことで使い勝手が向上しているとのこと。壇上で向かって左に持っているのが従来機の「RONIN」、そして右が小型化された「RONIN-M」ですが、そのサイズの違いは一目瞭然。従来は難しかった片手でのオペレーションにも対応する軽量モデルとなっているそうです。


そしてもう一方の開発中のモデルが、ドローンに一眼レフデジタルカメラを搭載可能にするジンバル「ZENMUSE Z15-A7」です。このモデルは、ソニー製ミラーレス一眼レフカメラ「α7」をドローンに搭載することを可能にするモデルで、上空から高品質な撮影が可能になるとのこと。


対応するドローンは、DJIのプロ用ドローン「S900」や「S1000+」といったプロフェッショナル機となっています。


◆実機フォトレビュー
プレゼンの終了後は、会場に置かれた実機をじっくりと眺めてきました。まずは何といっても上位機種となるPhantom 3 Professional。スパイダーアーム部分に施されたゴールドのラインが目印です。


コントローラーもデザインが新しくなり、シンプルな見た目に変わっています。


天面のDJIのロゴもゴールド仕様となっていました。


機体前面に装着された「PHANTOM PROFESSIONAL」のエンブレムまでもがゴールド仕様。


シリーズ初となる4K画質に対応したカメラは、従来機と同じくゴム製のショックアブソーバーを介して機体からぶら下げられています。4096×2160pの4K/30fps撮影が可能なソニー製12メガピクセルカメラを搭載し、レンズは画角94度・f値2.8というもの。前述のように従来機より画角が狭められていますが、それと引き替えにひずみの少ない自然な映像が実現されている模様。


プロペラに装着して周囲への安全性を高めるバンパーを装着するとこんな感じでした。


会場では何度も実際のフライトデモが行われていました。GIGAZINE編集部では従来機である「Phantom 2」を屋内で飛ばしたことがあるのですが、その時は安定した飛行が難しくて苦労したことがありました。その時の大変だった様子を思い出すと、Phantom 3の安定性には思わず目を見張るものがあります。


機体の操作には専用のコントローラーを使います。コントローラーにはiPadのようなタブレットを装着可能です。


Phantom 3 Professionalと並んで、「Phantom 3 Advanced」も展示されていました。


こちらのデザインは、シルバーを用いたものになっています。


搭載されるHDカメラは、1920×1080pのフルHDで最大60fpsの映像撮影が可能。画素数はProfessionalと同じく12メガピクセルとなっています。


エンブレムももちろんシルバーを基調としたものになっていました。


実際にPhantom 3を操縦するコントローラーは。従来機よりもシンプルなデザインに変更されています。天面には電源ボタンと、緊急帰還用のスイッチが配置されているので、万が一の際に心強いものになりそうです。


アンテナを本体正面に2本装備。その左右外側には、ダイヤルやボタンなどが配置されています。


背面は滑りにくいラバー製に変更されており、従来モデルから一気に安定性がアップしている模様。人さし指の部分にも、ボタンスイッチが左右1個ずつレイアウトされていました。


会場では、Phantom 3以外にもデモ機などが展示されていました。こちらがプロ用ブラシレスジンバル「RONIN」の新型機で開発中という「RONIN-M」。従来機より小型化が図られているモデルです。


RONIN-Mをブンブンと振り回してもらったムービーがこちら。激しいハンドルの動きにも、カメラは至って穏やかに姿勢を保っている様子が分かります。

DJIのブラシレスジンバル「RONIN-M」を振り回してもカメラが安定している様子 - YouTube


こちらは、新型ドローン用ブラシレスジンバル「ZENMUSE Z15-A7」を搭載したプロ用ドローン「S900」。このドローンは羽根を6枚備えるのが特徴です。


ソニー製デジタル一眼レフ「α7」をがっちりとホールドする「ZENMUSE Z15-A7」。


また、すでに販売中の4K映像対応モデル「Inspire 1」も展示されていました。


DJIの「Phantom 3 Professional」と「Phantom 3 Advanced」はDJIのオフィシャルストアなどで予約を受付中。Amazonでの価格はPhantom 3 Professionalと予備バッテリーが1個セットになって税込18万8000円、Phantom 3 Advancedだと同じセット内容で15万3000円となっていました。

Amazon.co.jp: 【日本国内正規仕様品】DJI Phantom 3 Professional ファントム 3 プロフェッショナル + 予備バッテリーセット 4Kカメラ搭載モデル (Professional Set): カメラ・ビデオ

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in 取材,   ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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