iPhoneを医療に活用できる「ResearchKit」で未来はここまで激変する
Appleは日本時間3月10日未明に開催したイベント「Spring forward」の中で、iPhoneを医療分野の研究に活用する「ResearchKit」を発表しました。スマートフォンと医療がどのように結びつけられることになるのか、そんな少し先の未来を示したコンセプトムービーが公開されています。
ResearchKit
「これまでの医師としてのキャリアの中で、私はさまざまな病気に立ち向かってきました」と語る医師。「肥満や糖尿病、心臓病やアルツハイマー病などに携わってきましたが、それらの病気に常につきまとっていた問題がありました」
それは「実際の病気において、一体何が起こっているのか」を把握する手法に関するものだったということ。
「健康と病気とを理解する上で重要なキーとなるのが、研究とデータです。全ての研究者が必要としているもの、それは実際に計測された客観的なデータなのです」
Appleのメディカル・テクノロジー担当副社長のマイク・オライリー氏は従来の手法について「これまで、何かの調査を行うことになった場合には、あちこちに研究への協力募集のお知らせを貼りまくり、応募してくれる人を待つ、といった状態でした。この手法は何十年という間に渡り変わらなかったものでした」と語ります。
「これまでに研究への協力を求める依頼書を6万通以上送りましたが、女性から協力を得られたのは305件だけでした」
「いま、このような研究の手法を新しいものにしなければなりません。そして、それに必要なデータを集める能力を備えているiPhoneは、とても役立つツールとなるのです」
「ResearchKitは、医療従事者にとって簡単にアプリを開発し、研究に活かすことができる新しいフレームワークです」
「ここで私たちが行おうとしているのは、収集可能なデータの量の基準を変えるということです。従来は『3か月に1回』という頻度しか実現できなかったデータ収集のサイクルを、『1秒に1回』というレベルに変えようというものです」
「いま、iPhoneは世界中の何百万人という人によって使われています。メールやFacebookをチェックするためのデバイスだったiPhoneを、病気に立ち向かうために使えるとすれば、これは素晴らしいことです」
「患者さんに対して毎日、毎週の調査を行い、結果をiPhoneに表示すること、そうすることで患者さんの健康状態と、私たち医師にとってもケアの手法を改善できるというコンセプト、これは素晴らしいゲームチェンジャーになります」
「これにより、私たちはかつてないほど大規模で広範囲の地域における人々とつながることが可能になります。そして、その多くの人はこれまで調査に関わる機会がなかったような人たちです」
「世界のパーキンソン患者のうち、半数は中国にいるとされています。そして中国は世界で最も携帯電話のユーザーが多い国です。つまりこれは、より多くの情報を集め、研究に役立てるための正確な予測を行うことを可能にするのです」
「パーキンソン病の検査では、例えば画面を素早くタップしたり、『あー』と声を出すといった、誰でも簡単に行えるシンプルなテストが行われます。そしてこれらの検査は、iPhoneに搭載されたセンサーとプログラムのコードですぐに実現できるのです」
「ResearchKitは、医療研究の中により多くの人が関われるようになります。そして、人々により良く健康な生活を送るための知見と必要なツールを与えます」
「このような状況が実現することで、医療の研究には変化が起こり、患者さんにとっても非常にアクセスしやすいものになります。簡単に研究へ参加できるようになればなるほど、人々の暮らしはよいものになるでしょう」
ある女性は「私は、孫娘に『伝説』を残したいの」と語ります。「この子が25歳になった時に『わぁ、この研究は2015年に行われていたものなのね』と驚くの。もちろんiPhoneで採られたデータを見ての話ね」
「そのデータは、ぜんそく患者を助けるブレークスルーのカギとなるデータなの。で、この子は『すごい、私のおばあちゃんはここに関わっていたんだわ!』っていうふうに思うのよ」と笑顔を浮かべます。
「iPhoneを使ってソリューションを文字どおり『人々の手にもたらす』、これこそがResearchKitの答えです」
「これこそが医療の進むべき道です」と語る医師。どうやらResearchKitは医療のあり方を根底から覆すことができるポテンシャルを秘めているようです。
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