FacebookによるVRアプリ開発などOculus Riftにまつわるいろいろな動きなど
目の前に立体感のある仮想現実空間を再現できる没入型3DヘッドアップディスプレイのOculus Riftは市販バージョンが2015年中にも登場するとみられていますが、いろいろと実用化に向けた動きが見えてくるようになっています。
Oculus Riftの効果がこれでもかとよくわかるのが以下のムービー。架空のジェットコースターの映像を見せられている時に体を「トンっ」と押されたことで、仮想と現実の区別がつかなくなって体のバランスが取れなくなってしまった男性の面白いムービーなのですが、Oculus Riftが再現できる仮想現実のすごさをよく物語っているといえます。
Шутник и Oculus Rift \ Oculus Rift Prank - YouTube
そんなOculus Riftを開発しているOculus VR社は2014年、Facebookに約2000億円で買収されています。そしてFacebookはその技術を用いた仮想現実専用アプリの開発を進めていることを明らかにしました。
Facebook is Working on Apps for Virtual Reality | Re/code
http://recode.net/2015/02/17/facebook-is-working-on-virtual-reality-apps-that-it-thinks-beyonce-will-use/
これは、Facebookで製品担当役員(CPO:Chief Product Officer)を務めるChris Cox氏がCode/Mediaカンファレンスの壇上で2月17日に明らかにしたもの。Cox氏はVR技術について「とてもクールだ。いま我が社ではVR技術を使ったアプリの開発を行っている」と明らかにしました。
Cox氏は、アメリカ海軍所属のアクロバット飛行隊「ブルーエンジェルス」やモンゴルで人々が暮らす住居「パオ」の風景を体験できるコンテンツを挙げながら「ひとたびその中に入ると、『いま自分は未来の中にいる。これはすごい』と理解できるんだ。いまのFacebookで得られる体験は写真やムービー、コメントを発信するというごく限られたものだけど、VRがあればその体験はもっと大きなものになる可能性がある」とその展望を語っています。
Cox氏は「まだまだ全ての人がこのような装置を手に入れる日は遠い」とし、具体的にこのような製品が世に出るタイミングについては明らかにしていません。どのようなサービスになるのかはまだ想像するしかなさそうですが、VRヘッドセットの普及はどのようなコンテンツが提供されるかというところにも大きな鍵が隠されていると言えそうです。
コンテンツの重要さはOculusももちろん認識しているようで、自社でもVR映画の作成を進めている模様。そこでは、映画の新しい「伝え方」の形が見えて来ているようです。
Oculus is now making its own virtual reality movies | The Verge
http://www.theverge.com/2015/1/26/7896179/oculus-vr-story-studio-original-movies-sundance
元ピクサーのスタッフが製作に携わっているCGムービー「LOST」は全編5分という短いものですが、その長さは固定的なものではない模様。物語を伝える「ストーリー・テリング」の手法を変えるものとなっているようで、プロジェクトを指揮するSaschka Unseld氏は「その長さは3分半になるかもしれないし、人によっては10分になるかもしれません。観る人によって違うものになるでしょう」とその形を語っています。
また、映像作品だけでなく、実用性の高い用途としての活用も考えられています。以下のムービーでは、Oculus Riftを通じて見た空間に、指やペンで立体の線を描いている様子が収められています。
3D Drawing Demo using Leap Motion x Oculus Rift DK2 - YouTube
そしてもちろん、ゲームの世界でもOculus Riftが使用される日が来そう。任天堂の「大乱闘スマッシュブラザーズ」などのゲームがVRで楽しめるようになっています。
I played 'Smash Bros' through an Oculus Rift and it ruined all my childhood memories | The Verge
http://www.theverge.com/2014/10/3/6900317/play-super-smash-bros-on-oculus-rift-instead-of-3ds
立体の空間で楽しめるようになると、その臨場感は文字どおり「別次元」になりそう。ゲームを体験したThe Vergeの記者は「子どものころの記憶を一変させる」と語っています。
さらに、Oculus Riftは軍事レベルでの活用も検討されている模様。
See the Norwegian Armed Forces driving with Oculus Rift | TU Jobs
http://www.tujobs.com/news/238400-see-the-norwegian-armed-forces-driving-with-oculus-rift
ノルウェー軍はOculus Riftを用いた戦車の操縦技術の開発を行っている模様。車体の外部に複数のカメラが搭載され、Oculus Riftの画面を通じて車外の様子を確認できるようになっています。通常、戦車の中から得られる視界は非常に限られたものなので、運用面で大きなメリットを得られることになるのかもしれません。
Norwegian armored tracked vehicle runs with Oculus - YouTube
そんなOculus Riftですが、最初の市販モデルは2015年にも登場するとみられています。
Oculus expects to sell “north of a million units” for first consumer Rift | Ars Technica
http://arstechnica.com/gaming/2014/06/oculus-expects-to-sell-north-of-a-million-units-for-first-consumer-rift/
Oculus VRのブレンダン・イリベCEOは第1世代となる市販モデルの販売台数について「100万台を超える規模」という展望を語っています。これは、従来の「1000万台単位」という予測を見直すものになりそうですが、イリベCEOはこれについて「第一世代機は、他のゲーム機のような1000万台規模の売上はあえて予想していません。ゲーム愛好家やアーリーアダプターの人を取り込んで反応を得ることで改良を加え、次の世代でのさらに素晴らしいコンテンツが生みだされて行くことになるでしょう」と展望を語っています。
気になる第一世代機の価格についてイリベCEOは「ほとんど原価レベル」と語っています。また、それに続く第二世代機のデビューは「1年後か、2年後」と語っています。
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