無料でH.265以上のクオリティを実現できる次世代ビデオコーデック「Daala」の開発は順調

HEVC(H.265)やVP9などの最新ビデオコーデック(動画圧縮規格)を上回る画質を目指す、ロイヤリティフリーのオープンソース・次世代コーデック「Daala(ダーラ)」のこれまでの開発状況が報告され、すでにかなりのレベルまで開発が進んでいることが明らかになっています。

next generation video [interlude]: Daala update 20141223
https://people.xiph.org/~xiphmont/demo/daala/update1.shtml

Xiph.org Foundation(Xiph)は、FirefoxでおなじみのMozillaと共同で開発を進めているフリーの次世代ビデオコーデック「Daala」について、最新の開発状況を発表しました。

ムービーは簡略化すれば連続した写真からできているため、1コマ1コマの写真をいかに画質を高めつつ効率化できるのかがビデオコーデックの優劣を決定します。H.265やVP9が「離散コサイン変換(DCT)」という技術を用いており20年以上前に規格化されたH.261の基本設計の延長線上にあるのに対して、Daalaは「Lapped Transforms(重複変換)」と呼ばれる符号化技術を採用することで、既存の特許技術に抵触することなく高い画質を実現しています。

また、ムービーのコマ(フレーム)の大部分は次のフレームとほとんど同じ内容であり、部分的に変化するにすぎないという点に着目して、Daalaでは連続するフレームの中の一部のフレーム(キーフレーム)から次のフレームの内容を事前に予測することで、変化した部分(差分)のみを処理することで効率的で高速な圧縮を実現しています。

今回発表された経過報告のページでは、静止画の規格であるJPEGとDaalaのフレーム(1コマ)の画質を比べられる画像が埋め込まれており、画面の破線を左右にスライドさせることで画質を比較することができます。ブロックノイズなどのブロッキングアーチファクトが目立つJPEGに対してDaalaでは細部まで高いクオリティを維持しています。

現在、最高の品質を達成しているとされるx265との比較も可能。Daalaの画質はかなりいいところまで迫っていますが、まだx265には及ばないとのこと。

「(PDFファイル)Fast-SSIMアルゴリズム」で相対的な画質を比較するとこんな感じ。赤い線のDaalaは一部の領域ではx265を上回っているのが確認できます。なお、薄い紫色の範囲は「Daalaの画質が1年間でどれだけ向上したか」を示しています。

着実に進化を続けるDaalaは、最終的には現在の最新コーデックであるH.265やVP9よりも高いクオリティを実現する予定で、H.265と違ってオープンソースかつフリーなので、有力な次世代ビデオコーデックとして非常に期待できそうです。