映画

ニコニコ動画のように映画のスクリーン上に視聴者のコメントを表示する試みがスタート


ニコニコ動画といえば再生中の動画に表示されるコメントが最大の特徴ですが、これによく似たシステムを映画館のスクリーン上で実現しようという試みがスタートしています。

Theaters in China Screen Movies, and Viewers' Text Messages - NYTimes.com
http://sinosphere.blogs.nytimes.com/2014/08/20/theaters-in-china-screen-movies-and-viewers-text-messages


Live commenting: New experiment with watching movies - CCTV News - CCTV.com English
http://english.cntv.cn/2014/08/18/VIDE1408361646683487.shtml?_ga=1.46083172.1928196436.1408491079

中国のいくつかの映画館で、「弾幕」と呼ばれる新しい映画視聴スタイルが試験的に導入されています。「弾幕」は、映画視聴中に観客が各自の携帯電話を使ってテキストメッセージを送ると、そのテキストが映画のスクリーン上に表示される、というもの。

実際に「弾幕」が導入されている映画館のスクリーンはこんな感じになり、ニコニコ動画のコメント機能のように視聴者のコメントがスクリーン上を流れていきます。


以下のページでは動画で「弾幕」の様子を見ることが可能。

弹幕电影360度揭秘:国产烂片终于有救了? - 搜狐视频


「弾幕」をスクリーン上に表示させる試みは2014年7月からスタート。いくつかの映画館が3Dアニメ映画「秦時明月(The Legend of Qin)」や「小時代~TINY TIMES」を上映する際に、通常のシアターとは別で「弾幕」に対応したシアターを用意する形で試験的に導入しています。

例えば「小時代~TINY TIMES」は若者に人気の高い映画シリーズで、これの3作目に当たる「小時代~TINY TIMES 3」が7月に公開されたわけですが、配給元であるLe Vision Picturesはマーケティング戦略の一環として、北京のいくつかの映画館に「弾幕」対応シアターを用意して「小時代~TINY TIMES 3」を上映しているそうです。

Le Vision Picturesの広報担当マネージャーを務めるEnya Sun氏は、「我々はソーシャルな経験を生み出し、若者たちに宣伝したかったのです。もしもこの映画がチャン・イーモウ氏の作品であったなら、恐らく『弾幕』を導入しようとはしませんでした。なぜならそれらの作品はターゲットが若い世代ではないからです。しかし、もしも映画が若者向けのものならば、全国規模で『弾幕』が使用できるスクリーンを準備する可能性もあります」と、若い年代の観客を取り込むために「弾幕」を活用していることを明かしています。

By Fumi Yamazaki

The New York Timesによると「弾幕」はニコニコ動画のコメント機能からインスパイアされたものらしく、これと似た機能が中国のBilibiliという動画サイトにも搭載されている、とのこと。コメント機能は投稿されるコメントの数が多くなると画面上の映像を識別できなくなるという弱点も抱えますが、「弾幕」を支持する人々は「重要なのはどんな場面でも映像を見えるようにしておくことではなく、映像のばかばかしさについて一緒にコメントを発し、冗談を言い合うことである」と主張しています。

The New York Timesのコラム中では、ニコニコ動画を運営するニワンゴの取締役員であったひろゆき氏が2008年にWIREDのインタビューに応じた際、ニコニコ動画のコメント機能について「面白くないものさえ面白くなる」と語ったことが取りあげられています。


さらに、実際に「弾幕」を映画館で体感したユーザーによると、映画の観客は「WeChat」というアプリを使ってコメントをスクリーン上に投稿したそうで、コメントを投稿するためにうずくまるようにして携帯電話の画面にかじりつく観客も少なくなかった、とのこと。また、WeChatを使ってスクリーン上に自分の座席番号を投稿すれば、映画館の職員が携帯電話充電用の携帯バッテリーを座席まで持ってきてくれたことも明かしています。


山東省のLuxin Cinemaにて劇場支配人を務めるチャンさんは、「秦時明月」の「弾幕」対応シアターは90%の座席が埋まった、と語っており中国の若い層にまずまずウケていることが判明しています。しかし、中国人映画監督であり中国映画監督協会の元理事長でもあるHe Ping氏は、「弾幕」の普及により映画制作者側の美学のようなものが無視されるかもしれないとコメントしており、映画関係者の中でも「弾幕」に対する意見はまちまちのようです。

なお、The New York Timesは「従来の映画視聴方法から考えれば、地獄のようなものになるかもしれない」と、「弾幕」に懐疑的ですが、携帯電話が体の一部のようになり、あらゆることを共有したがる現代の若い層に映画の魅力をアピールするには良い方法かもしれない、としています。

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in 映画, Posted by logu_ii

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