「ゼルダの伝説 風のタクト」を解析してわかった任天堂のすさまじい技術
作成されたモデルに質感を与えるテクスチャと呼ばれる技術は、ゲームを開発する上で重要な要素になります。2002年に任天堂からニンテンドーゲームキューブ向けに発売されたゲーム「ゼルダの伝説 風のタクト」を愛してやまないゲーム開発者が、風のタクトのテクスチャを解析したところ、任天堂のすさまじい技術力がわかったとして、解析した内容を公開しています。
Zelda: Wind waker Tech and Texture Analysis *picture heavy* - Polycount Forum
http://www.polycount.com/forum/showthread.php?t=104415
風のタクトをのテクスチャを解析したwarbyさんが、一番最初に驚いたのは、服や布の自然な動きが事前に計算されていたものではなかったことです。もし事前に計算されていたなら、下記画像のリンクが持っている木の棒の先に付いている布が、地面の高さを考えて表現されているのはあり得ない、とのこと。
下記画像の上と下の画像を見比べると、加工前である下の画像には、上の画像のリンクの頭部より左上にあるつぼや、画面右側にいるキャラクターがすでに含まれているのがわかります。
地面に生える多くの芝生が描かれるシーンに関して、warbyさんは「特別なダイナミックバッチングか、最適化処理が施されていると思いましたが、ゲームキューブはPCと同等、もしくはそれ以上の速さで複数のドローコールを処理できたのではないか」と解析。
リンクの目や眉毛には、髪の毛の上に描くという漫画独特のスタイルが使用されています。また、手足の末端などの位置からキャラクターの自然なアニメーションを作り出すという意味のIK(Inverse Kinematics:逆運動学)が、キャラクターの足元と地面から同時に使用されていることについてwarbyさんは、「このような技術を使ったのはアンチャーテッドシリーズが初だと思っていましたが、私はどうやら間違えていたようです」としていて、かなり驚いたことが伝わってきます。
太陽を見上げたり、炎の矢が着弾した時のエフェクトでは、モデルに当たる光に対する反射色という意味のアンビエントカラーが絶妙に調節されています。
風のタクトでは、1つの方向からしかリンクの影は生成されません。光源が2つある場合、自動的に一番近いものに合わせて影が作られます。
シールのように貼る映像処理方法にデカールというものがあります。warbyさんによると、風のタクトでは地面のデコボコや傾きに左右されない影のテクスチャを使用したデカールを創り出しているため、影に線が入ったりするとのこと。
望遠鏡で夜空を見たときに表示される星はテクスチャベースではなく、ポリゴンで処理されたもの。warbyさんは「ズームしても下記の画像のような解像度を保持するには、1024×1024のテクスチャが多数必要。ゲームキューブにはその能力がなく、ベクターなら可能であったからではないでしょうか?」としています。
warbyさんがゲームアート史上最も気に入っているエフェクトが、風のタクトのビーチ際の波。波のエフェクトは最低でも7つの個別レイヤーから作成されているそうです。
warbyさんのテクスチャ解析は、ゲームのグラフィックスを作成したことがないと少しついていくのが大変ですが、任天堂がゲームにすさまじい技術を投じていたことがわかります。
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