Microsoftがリアルタイムで音声翻訳が可能な「Skype Translator」を年末にリリース予定
現地時間で2014年5月27日から29日までの間に開催されているRe/codeのCode Conferenceでは、MicrosoftのCEOサティア・ナデラ氏が登壇してコンピューターの未来について語りました。さらに、Microsoftはこのイベントの中でSkypeの新機能となる「リアルタイム音声翻訳機能」のデモンストレーションを公の場で初めて実践しました。
Microsoft demos breakthrough in real-time translated conversations - The Official Microsoft Blog - Site Home - TechNet Blogs
http://blogs.technet.com/b/microsoft_blog/archive/2014/05/27/microsoft-demos-breakthrough-in-real-time-translated-conversations.aspx
Enabling Cross-Lingual Conversations in Real Time - Microsoft Research
http://research.microsoft.com/en-us/news/features/translator-052714.aspx
Skypeがサービスを開始してからすでに10年以上が経過していますが、現在では毎月3億人以上のユーザーがこのサービスを使っており、1日当たりの全ユーザーの通話時間は合計すると20億分以上になるとのこと。こういったインターネット電話サービスのおかげで、離れた場所にいる人同士のコミュニケーションも簡単かつ低コストでとれるようになりましたが、異なる言語を話す人たちの間に立ちふさがる言語の壁は依然として存在します。この言語の壁を克服するために開発されたのが、Skype利用時の会話をリアルタイム音声翻訳してくれる「Skype Translator」です。
実際にSkype Translatorのデモンストレーションを行っている様子は以下のムービーで見ることができます。
ムービーでは英語で話しかけた内容がほぼリアルタイムでドイツ語に翻訳されたり、ドイツ語が英語に翻訳されたりしている様子を見ることができます。また、ムービーを見る限りデモを見た観客の反応はおおむね良好なようで、想像以上に異なる言語間でもスムーズにコミュニケーションがとれるであろうことが分かります。
Skype Translatorはこれまでの翻訳システムを参考に、Microsoft・Skype両方の翻訳チームによって開発されたもので、デモでは英語とドイツ語の「ほぼリアルタイム音声翻訳」が行われています。音声翻訳時は翻訳内容が音声とテキストの両方でユーザーに伝えられる仕組みで、これにはインプットメソッドや、ニューラルネットワークベースの音声認識機能、さらにはこれまでMicrosoftが研究してきた音声認識・自動翻訳・機械学習に関する技術が活用されているとのこと。
Microsoftは公式のYouTubeアカウントでもSkype Translatorに関するムービーをアップしています。
Skype Translator: Breaking down language barriers - YouTube
Microsoftの研究&戦略部門のチーフを務めるEric Rudder氏とMicrosoft Researchの統括責任者を務めるPeter Lee氏がリアルタイム音声翻訳に関する研究を機械翻訳チームのところに持ち込んだのは、ちょうど1年前のことだそうです。
これまでにもさまざまな音声翻訳に関する研究は行われてきたそうですが、ユーザーが実生活で使用できるレベルであり、複数言語の異なるニュアンスを表現可能なサービスを提供するというのはほとんど不可能だと考えられていたそうです。
Skype TranslatorにはこれまでMicrosoftが研究してきた音声認識・自動翻訳・機械学習に関する技術が集約されているとのこと。具体的には、スペイン語のような文法における性の判断が難しい言語では多くの会話を翻訳して精度を上げる必要があるので、機械学習に関する分野が大いに役立ったり、音声認識ではMicrosoftの音声認識アシスタント「Cortana」で培われた技術が役立ったりしたそうです。
Skype Translatorは、Skype使用時に一緒に起動して使う感じ。
例えばおじいさんがドイツ語で女性に話しかけると……
タブレット上にはおじいさんの話した内容が英語に翻訳されて文字と音声で翻訳されるわけです。
もちろん女性が英語で話した内容も、PC上にドイツ語に翻訳したものがテキストと音声になるので、双方が言語を気にすることなくコミュニケーションをとれるようになります。
なお、Skype TranslatorはWindows 8のベータ版アプリとして2014年の終わり頃にリリースされる予定とのことです。
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