21世紀最初の国となった東ティモールを覚えていますか?
東ティモールという国を覚えていますか?2002年にインドネシア(国際法上はポルトガル)から独立を果たした21世紀最初の独立国です。今、どうなっているのか……そんな好奇心から訪れた僕が見たものは「東南アジア最後の楽園」でした。
こんにちは!世界新聞特命記者の植竹智裕(うえたけともひろ)です。世界一周中の僕は現在、5ヶ国目マレーシアのマラッカにいます。(赤線は空路、青線は陸路で移動)
東ティモールといえば、2002年、日本からPKO(国連平和維持活動)の一環として自衛隊が派遣された事で覚えている人も多いかと思います。治安が悪くて危険なのではないか?という不安を抱きながらも、2014年4月29日から5月2日まで首都ディリに滞在し、その魅力を探ってみました。
◆東ティモールとは
外務省のサイトにある「東ティモール基礎データ」によると、東ティモールは16世紀にポルトガルによって植民地化され、1975年以降はインドネシアに占領・併合されました。1999年8月30日、国連主導の住民投票によりインドネシアからの分離独立が決定し、国連による暫定統治を経て2002年5月20日に東ティモール民主共和国として独立を果たしています。総面積は約1万4900平方キロメートルで、これは東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県を合わせた面積とほぼ同じ。人口は約121万人で、その大部分をメラネシア人が占めています。宗主国だったポルトガルの影響が強く、公用語はポルトガル語とテトゥン語。宗教はキリスト教(カトリック)が99.1%を占めています。
◆空路で東ティモールへ
国内最大の玄関口はディリ郊外にあるプレジデンテ・ニコラウ・ロバト国際空港。日本からの直行便はなく、シンガポール・バリ(インドネシア)・ダーウィン(オーストラリア)のいずれかを経由します。僕は今回バリを経由しましたが、インドネシアの入国ビザと出国税で合計47ドル(約4800円)が別途必要になるので、シンガポール経由をお薦めします。
入国の際には30ドル(約3100円)で観光・ビジネスビザを取得可能。出国の際には出国税10ドル(約1020円)が必要です。
◆食事事情
地元の食堂で出てくる料理はインドネシアと似ていて、呼び名も全く同じです。1食1ドル(約102円)程度。また、値段は5ドル(約510円)程度と少し高めですが、インド料理、中国料理、イタリア料理、日本料理の店もありました。
肉団子やゆで卵(店によって異なる)が入ったインスタント麺、バクソ。1ドルで気軽に食べられます。
アヤム・ゴレン(ごはんと焼いたチキンのセット)。こちらも1.25ドル(約127円)とリーズナブル。
インドネシアにもあるサンバルという調味料。唐辛子やニンニクが入っていて料理の味を引き立てます。
どこのお店にもあるのがバナナジュース。甘くて病みつきになる味です。
東ティモールでは公用通貨としてアメリカのドルが採用されていますが、補助通貨としてセンタヴォという独自の硬貨も使われています。
◆観光名所は街全体!?
東ティモールは、他の東南アジア諸国に比べるとまだあまり有名ではなく、観光名所と呼べる場所はごく僅かですが、見所は街中に沢山ありました。
1:街に点在するキリスト教建築
旧植民地ポルトガルの影響で国民の99.1%をキリスト教徒が占める東ティモールでは教会を見かける事もしばしば。東南アジアでここまでキリスト教が浸透しているのは、フィリピンと東ティモールの2ヶ国だけです。
東ティモールを代表する観光名所であり、ディリのランドマークでもあるのがクリスト・レイと呼ばれる巨大キリスト像。中心部から約10キロ離れた半島の先端にあり、高さは27メートルもあります。
2:表情豊かな大自然
国土の約6割が山岳地帯の東ティモール。
都市近郊部で、熱帯性植物が生い茂った林に囲まれて生活する人々。
一方、海沿いで家畜を放牧しながら暮らす人々。
海は透明度が高く、ディリ郊外はスキューバダイビングのスポットとしても人気なのだそうです。
3:首都にも広がる農村風景
ディリ中心部は道路が整備され、コンクリート製の建物が目立ちますが……
30分ほど歩けば、そこはトタン製の住宅が並び、道路もガタガタの農村地域。雰囲気ががらっと変わります。
森の中にある市場。とても広く、迷路のように入り組んでいるので、すぐに迷ってしまいます……。
ここでは野菜や肉、魚、衣類、生活用品など何でも揃います。
こちらの市場は小川沿いに広がっています。水際すれすれまで商品が並べられ、人々は小川の中を歩きながら買い物をします。日本では見られない光景ではないでしょうか。
4:おもてなし好きの東ティモール人
東ティモール人はとてもフレンドリーで、目が合うと微笑んでくれます。話しかけられる事もありますが、何かを売りつけられたり騙されたりする事はありませんでした。会話の内容といえば、日本の事や東ティモールの印象などなど。外国人に対する好奇心が強いようです。
また、観光客が訪れないような場所でも笑顔で招き入れてくれます。
街を歩いていた時に見つけた人だかり。覗いてみると……
闘鶏場でした。人混みに混ざって見学しようとすると、出場者用の通路から見学させてくれました。
入り組んだ住宅街で偶然見つけた、カラフルなウォールアートが描かれた建物。何かと思って覗いてみると……
20歳前後の青年達が廃墟を利用して作り上げた屋外ギャラリーでした。
ここでも、ウォールアートやコレクションが飾られた敷地内を、快く見学させてくれました。
大学の体育館を通りがかった際も、バスケットボールの練習をしていた学生に招き入れられ、練習風景を見学させてくれた上に現地のコピ(甘いコーヒー)まで頂きました。
5:写真が大好きな子ども達
街中や細く入り組んだ路地を歩いていると、子ども達に「フォト!フォト!」と写真をせがまれる事が多く、彼らは自分が写った写真を確認もせず、お礼を言ってはしゃいでいます。
カメラを構えると、お婆さんが照れながら躍り出てきた事も……これには僕だけでなく写真に写っている少年達も大爆笑でした。
◆東ティモールの魅力は人
僕が感じた東ティモールの最大の魅力は「人」でした。実際に訪れてみると、当初抱いていたような危険な印象はなく、平和そのものという印象を受けました。このように美しい自然に恵まれ、かつ人に魅力を感じられる国も今では少なくなってしまったのではないでしょうか。東南アジア最後の楽園を、是非一度訪れてみてはいかがでしょうか?きっと東ティモールの人々は笑顔で温かく迎え入れてくれる事でしょう。
文・取材:植竹智裕 https://twitter.com/hiro_uetaken
監修:世界新聞
sekaishinbun.net
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