巨大市場中国を完全制覇するアリババの多彩なサービスをまとめるとこうなる
By Aliuser
中国最大のインターネット企業「阿里巴巴集団(アリババ)」が、2014年5月6日、米国証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)の申請を行いました。Facebookの160億ドル(約1兆6000億円)を上回る200億ドル(約2兆円)規模の資金を調達しハイテク関連企業として史上最高額のIPOが成立する可能性がささやかれるなど、その企業価値を高く評価されているアリババですが、これほどまで注目される原因は、アリババグループが傘下に抱える強力なサービス群にあります。アリババのサービス群とそのライバル企業をまとめるとこんな感じです。
All the Western companies you’d have to combine to get something like Alibaba - Quartz
http://qz.com/206283/all-the-western-companies-youd-have-to-combine-to-get-something-like-alibaba/
◆ビジネス向けeコマース
By Garfield Anderssen
阿里巴巴集団(アリババ)」の中核となるサービスがB2Bの電子商取引(eコマース)を仲介するサイト「Alibaba.com」です。1999年にサービスがスタートしたAlibaba.comは、中国国内の商取引だけでなく、中国と世界中の国・地域との国際貿易の場として活用されており、コミュニケーションは英語を中心に行われています。なお、B2Bのeコマースにおいて世界にAlibaba.comに匹敵する規模のサービスはありません。
◆消費者向けeコマース
By Tim Reckmann
B2Bのeコマースを制覇したアリババは、2003年にC2Cのeコマース「淘宝網(タオバオ)」をオープン。サービスの名前「淘宝」は「見つからない宝物はない=売れない宝物はない」という意味から来ているとのこと。タオバオはサービスが始まるや否や、あっという間に中国のオンラインショッピング市場を完全に制圧し、現在、中国国内でのシェアは80%に上るとされています。このタオバオのライバルはeBayです。
さらに2010年には「天猫(Tモール)」を創設し、アリババ自身が消費者に物を売るサービスを開始。サービス開始から1年とたたないうちに、GAPやレイバンなどのブランドがTモールに出店するなど滑り出しは順調。Tモールがライバルに見据えているのはもちろん世界最大のショッピングサイトAmazonです。
なお、中国のサイバーマンデーにあたる光棍节(11月11日)での2013年におけるタオバオとTモールの総売り上げは24時間で約5800億円に上ったとのこと。
◆オンライン決済サービス
By Christian Rivera
B2BとC2Cの両方のeコマース市場を支配したアリババが次に必要としたのはオンライン決済サービスです。アリババはタオバオ用の決済方法として「支付宝(アリペイ)」をスタート。アリペイのモデルでありライバルでもあるのはPayPalです。
◆SNS
By Slava Murava Kiss
中国政府によるインターネットの規制は非常に厳しいため、世界中で人気のサービスであっても中国国内では提供されていないサービスは多いもの。Twitterはその代表例ですが、その代わりにあるのがアリババの中国版Twitterとでも言うべきサービス「微博(ウェイボ)」です。ただし、中国版Twitterのウェイボは都市部を中心に1億2900万人のアクティブユーザーを抱えていますが、中国政府による検閲システム金盾(グレートファイヤーウォール)の支配からは逃れられないようにSSLの暗号化は行われていないとのこと。なお、ウェイボはアリババに先立つこと1か月前の2014年4月にアメリカで新規株式公開(IPO)を行い、2億8560万ドル(約290億円)の資金調達に成功しています。
◆スマートフォン市場
By Steve Garfield
中国国内のスマートフォンユーザーは5億人を突破し年々増加しています。当然、スマートフォン市場をアリババが見逃すはずはありません。
・音楽ストリーミング配信サービス
音楽ストリーミングサービスではSpotifyが世界的に人気で日本への進出間近ですが、中国で人気の音楽ストリーミングといえばアリババが買収した「虾米(Xiami)」というサービスです。ただし、Xiamiは無料配信されている音楽の著作権処理にトラブルを抱えているとの指摘あり。
YouTubeやiTunesに無い音楽を無料ダウンロード可能Xiami (中国の違法サイト) - YouTube
・タクシー配車サービス
スマートフォンからタクシーやハイヤーを簡単に手配できるサービスとしてUberが有名ですが、アリババには「すぐにタクシーをゲット」というサービス名をもつ「快的打车」があります。
・地図サービス
アリババの地図アプリサービスが「高徳(オートナビ)」で、ライバルはGoogleマップ。
・クラウドストレージ
Dropboxとまったく同様のサービスとしてアリババはクラウドストレージ「酷盘(Kanbox)」を2013年9月にスタート。
◆教育
By Peter Morgan
ワシントンポスト紙の子会社でオンライン教育大手のKAPLANに対抗するべくアリババは2014年2月、世界30カ国にサービスを展開するTutorGroupに1億ドル(約102億円)を投資。
このようにアリババのビジネスはあらゆるサービスに広がっており、いずれのサービスも巨大市場中国で絶大なる人気を集めています。下の図は、アリババが行っているサービスと代表的なライバルサービスを並列させた図。アリババが、今後、中国から世界へ打って出ることを考えれば、なぜアリババのIPOがIT業界の大きな出来事として注目されているかが理解できそうです。
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