医師がプレイすると医療行為の質が向上するゲームとは？

By Valentin Ottone

痛みを伴わない虫歯の根管治療法が開発されたり、脂肪に含まれる多分化能細胞に心臓細胞再生の可能性が発見されたりと、日々のさまざまな発見や科学の進歩が医学の発展に貢献しています。しかし、新しい治療法や治療薬を使うのは現場の医師や看護師なわけで、彼らのパフォーマンスを向上させるために少し変わった研究が行われ、「医師がプレイすると医療行為の質が向上するゲーム」が誕生しました。

When Doctors Play This Game, You Get Better Medical Care : Shots - Health News : NPR
http://www.npr.org/blogs/health/2014/05/21/314255998/when-doctors-play-this-game-you-get-better-medical-care

ボストンにある8つの病院にて行われた調査によると、医師や看護師が「あるゲーム」を行いながら高血圧の患者に対する処置を決めると、医学書や論文を読みながら処置を診断するよりも患者の血圧が正常な値に戻るスピードが速くなることが判明しました。この研究結果はCirculationにて公表されています。

この研究に取り組んだのはVA Boston Healthcare Systemにて外科医を務めるB. Price Kerfoot氏。Kerfoot氏は薬物治療に関するクイズをテキスト形式で作成し、医師や看護師に回答してもらいその正解率を調べたようです。このクイズは調査対象の医師や看護師にメールで送っていたそうですが、回答率を上げるためにiStockからおかしな写真を拾い集め、さらに馬鹿げたキャプションをつけ、その下に薬物治療に関するクイズを掲載してメールで送っていたとのこと。

Kerfoot氏がメールで送っていたのはこんな画像とクイズ。画像はアレですがクイズ自体は至って真面目な内容のもの。

ふざけた写真やキャプションは何の意味もなかったわけではなく、回答側のモチベーションを高めることに役立ったとのこと。

写真やキャプション以上に医師たちのやる気を引き出すのに大きく貢献したのが、ゲームに潜む競争要素でした。Kerfoot氏が働く病院には調査対象の医師や看護師が大勢勤務していたそうで、ここにはクイズの成績を記すためのスコアボードが準備されており、常に誰がトップの成績を収めているかが分かるようになっていました。このように、「ゲームを他者と競う」という要素が調査対象の医師や看護師のやる気を大きく引き出してくれ、クイズの成績もより良いものが出たようです。

医師も人であることを改めて実感させられる実験結果となっています。