赤の他人と20日間生活を共にできるアプリ「20 Day Stranger」とは?
FacebookやTwitterといったSNSを使って簡単に他人とつながれるようになりましたが、相手に疑念を抱くなどネガティブな感情も生まれがち。そこで、見知らぬ他人と抽象化した情報をやりとりすることで、ネガティブな感情を生み出さずに好奇心や想像力を刺激して相手とつながれるようにしたのが「20 Day Stranger」です。
20 Day Stranger
http://www.20daystranger.com/
App matches complete strangers | Boston Herald
http://bostonherald.com/business/technology/technology_news/2014/05/app_matches_complete_strangers
MIT iPhone App Makes You Intimate With A Stranger | Co.Design | business + design
http://www.fastcodesign.com/3030145/mit-iphone-app-makes-you-intimate-with-a-stranger
20 Day Strangerがどんなアプリであるかは以下のムービーから見ることができます。
20 Day Stranger on Vimeo
20 Day Strangerは2人の人間が匿名でつながるアプリ。
互いが互いの生活を追っていきます。
何をしているのか。
それをどこでしているのか。
20日間、互いが誰かは知らないままです。
例えばある人は車を運転しています。
まったく同じ瞬間に、別の誰かはタトゥーを彫っています。
車を運転している誰かとタトゥーを彫っている誰かがが「DRIVING(運転中)」「TATOO PARLOR(タトゥー専門店)」という端的な情報を写真と共に交換することで、相手の生活を垣間見られるというわけ。
一方はデザインスタジオに、一方は港に移動。相手はデザイナーだろうか?漁師なのだろうか?と想像を巡らせていきます。
デザインスタジオを訪れた人はサイクリングに。健康に気を遣っている社会人という感じです。一方で港に寄っていた人はビーチに移動したので、サーファーなのかもしれません。
このアプリの興味深い点は、情報の交換にメッセージのやりとりを使わないというところ。iPhoneを介して情報を交換するわけですが、自分が「起きている」ということはiPhoneが動かされることから相手に伝わり、車で移動しているか歩いて移動しているかはGPSからスピードが検知され相手へと通知されます。仮にパリの街を歩いていたとしても相手には地名が伝えられず、現在地の半径約800mを写したGoogleストリートビューの画像が送信されます。「パリだ!」と気づく人がいれば、写真の場所がどこであるか気づかない人もいるわけです。
アプリのインターフェースは以下のような感じ。
簡単な単語とともに美しい写真が表示されていきます。
20日間、すべての記録が辿れる仕組み。
お店の名前は表示されず、「ファラフェルレストラン」など、情報を抽象的に伝えます。
どんどん縦にスクロールしていきます。
アプリを開発しているMITメディアラボのKevin Slavin氏は「これは『誰かに対して生活を包み隠さず見せる』という考えではなく、ユーザーに驚きを与え、想像力をかきたてるという考えから生まれています」と語っています。FacebookやTwitterなどのSNSを通すことで、他人と簡単につながれるようになりましたが、相手に対して全く疑念・軽蔑・偏見を持たずにつながるのは難しいもの。20 Day Strangerはあえて情報を曖昧にすることで疑念を挟まず、純粋な好奇心をもって相手とつながることができるようにデザインされています。文章や画像といった人々の生活の断片をやりとりすることで、「この人は何の仕事をしているのか」「年齢はいくつか」「男性か女性か」など、現実のどこかにいる誰かの生活を想像できるようになっているのです。相手の名前や個人情報は知らされず、20日間が終了すると、最後に短いメッセージが送れるようになっています。
なお、アプリは現在開発中ですが、開発チームは実際にアプリがApp Storeに並ぶようにしたいと考えているとのこと。ただ多種多様な人がユーザー対象なので、商業化してプロモーション戦略を立てるのが難しいという問題点がある、とSlavin氏は語りました。
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