日本が世界に誇るジャパニーズウイスキーの元祖山崎蒸溜所に行ってきた
ウイスキーはスコッチ・アイリッシュ・アメリカン・カナディアンと西洋文化の中で育った飲み物ですが、サントリーの元となる寿屋が1930年頃からウイスキーの製造をおこない、今では上記4種類にジャパニーズウイスキーが加えられた5種類が、世界5大ウイスキーとして知られています。サントリーが所有するウイスキー工場は山崎蒸溜所と白州蒸溜所で、いずれも予約制で工場を見学できるように一般の人にも解放しています。今回山崎のウイスキーをより良く知るために、山崎蒸溜所に行ってきました。
山崎蒸溜所 工場見学へ行こう サントリー
http://www.suntory.co.jp/factory/yamazaki/
山崎蒸溜所の近くにあるJR山崎駅に到着。
電車を降りると、山崎蒸溜所のポスターがありました。
駅周辺の雰囲気はとてものどかです。
山崎蒸溜所に向かう道には、所々サントリーの看板と蒸溜所への道筋が示されており、企業城下町っぽい雰囲気。
近くの水路の水も、キレイな水が流れていました。
10分ほど歩き、踏切を越えると山崎蒸溜所。
ウイスキー館は予約不要で入ることができますが、ウイスキー蒸溜所ガイドツアーに参加するには前もって予約が必要です。
予約していた名前を告げると、集合場所が書かれたカードと、パンフレットが渡されました。
施設は木々に囲まれています。
施設に入って左側が山崎蒸溜所で……
右側がサントリーの歴史などが学べる山崎ウイスキー館。工場見学の前に、山崎ウイスキー館に入ってみます。
山崎ウイスキー館は洋館のような作りで、100年近くの歴史を感じさせる作り。
「日本のウイスキーのふるさとへようこそ」と書かれた看板がお客さんをお出迎え。
山崎ウイスキー館は普通の博物館と変わらず、山崎ウイスキーに関する年表や、過去のポスターやボトルが展示されています。
国産第一号の1929年に販売されたウイスキー白札を発見。
1956年に発刊した「洋酒天国」は、サントリーの広報誌で、意外にも編集発行人は開高健。味のある表紙です。
2003年にSMWS蒸溜所コード119と120の認定を受けた際のSMWS会員向け認定ボトルが飾られています。
今も購入することができる、サントリーレッドは昔はちょっと違ったデザイン。
博物館の展示ブースを出ると、ウイスキーがたっぷりと置いてあり、お酒が好きな人には天国のような光景。
「響」……
響に比べ少し色が薄い「山崎」も置かれています。
さらに奥にはバーカウンターがあり、高価なウイスキーを格安で飲めます。
ウイスキーの樽を使ったスピーカーも販売されていました。
一通り博物館内の見学を終え、今回の蒸溜所見学ツアーの集合場所へ。多くの人が集まっていました。
時間になるとサントリーの社員さんが簡単な案内を始め、2つのグループに分かれ、蒸溜所へ向かいます。
ウイスキー博物館を出て、広場に出ると……
ウイスキーの蒸溜器が置かれており……
サントリーの創業者鳥井信治郎と元サントリー会長の佐治敬三の銅像が並べられていました。
広場を通って、まずは仕込・発酵室に向かいます。
入場の前にはアルコールで手の消毒が必要。
施設の中に入ると、サントリーの社員さんが、モルトウイスキー・ビール・本格焼酎の違いについて、ビジュアルを交えて解説をしてくれました。
まずは原料の仕込みと発酵を行う施設へ。
これが大麦麦芽を入れて麦汁を仕込む巨大なタンク。施設の中では発酵などが行われているので、室内はやや蒸し暑く、麦が発酵した甘いにおいが漂っています。
この窓から麦汁の様子が分かるようになっています。
横にある木を使った大きな樽は……
発酵を行う樽です。
見学を行っていると、なんとサントリーのブレンダーの輿水精一さんがいました。
訪れた日は、取引をしている業者向けの説明会をおこなっていたそうです。案内を行っていた社員さんが「この工場で輿水さんが一番お金をもらっている」と説明をしてくれました。しかし、自分の舌の感覚を鈍らせないために、食堂では素うどんしか食べないとのこと。ウイスキーを語る表情は真剣そのものです。
続いては、一つ目の施設を後にし、蒸溜室へ。
入って左側が初溜釜、右側が再溜釜です。
この蒸溜器はどこかアラビアっぽいデザイン。
ここで蒸溜が終わると、ニューポットという透明なお酒ができます。これはウイスキーとはほど遠い物で、かなり辛いお酒。
蒸溜室を後にし、歩いて廊下を渡ると……
ニューポットが詰められた大量の樽が寝かされています。
樽には1つずつ、樽入れした年が書かれています。これは1999年に樽に入れたものなので、だいたい15年くらい寝かされたもの。
ウイスキーの樽を交えて、社員さんが樽での熟成についてレクチャーしてくれます。
左が12年寝かせたもので、右が4年間寝かせたもの。12年のものは、熟成の過程で量が減っており、この減った量を「天使の分け前」や「天使の取り分」と言います。
樽の作り方も解説されていました。
樽の熟成庫を出ると、そこには風情のある池が広がっています。
千利休がお茶をする場所に選ぶほど水が綺麗な場所で、水がきれいなだけでなく、川が多く、森林がたくさんあり霧が出るので、ウイスキー作りに最適とのこと。
まわり一面に竹林が広がっており……
椎尾神社がありました。
ウイスキー工場の見学を終えたら、今回はシングルモルト&ショコラセミナーに参加してみます。
施設の中に入っていきます。
部屋に入ると、山崎・山崎12年・山崎18年・白州が用意されていました。
さらにはウイスキーとマリアージュするためのチョコも一緒にテーブルに置かれています。
今回の組み合わせは山崎にハニージンジャー、山崎12年に柿、山崎18年にロッシェカカオ、白州にポムラクテをマリアージュします。
まずはマリアージュについて説明を受けます。
ウイスキーの相性はこんな感じ。樽熟成が行われているウイスキーはチョコレートと非常に相性がいいようです。
さっそく通常の山崎から飲んでいきます。
色はほんのり茶色で、香りはそこまで強くないような気がします。味はややまろみがたりない感じでストレートで飲むと、やや辛いです。
ハニージンジャーと合わせると、ピリッとしたしょうがの香りとはちみつの甘さ、チョコの苦味や香りが良くウイスキーに合っているような気がしました。
山崎12年は通常の山崎に比べるとやや濃いめ。
飲んでみると、芳醇な香りが口に広がり、通常の山崎に比べるとかなりまろやか。熟成のすごさを思い知らされます。
柿のチョコレートはフルーツらしい酸味と香りが良くウイスキーに合っている気もしますが、ここまでウイスキーの質がいいとチョコレートはいらない気もしてきました。
山崎18年は山崎12年よりもさらに深い茶色。
やはり年数を重ねるだけあり、味は別格。まろやかさが段違いで、口に入った時のとげとげしさをあまり感じません
ウイスキーの味がいいと、もはやチョコレートはいらないような気もしますが、アーモンドの香ばしい味が良く合っていました。
さらには山崎ではなく、白州も飲み比べてみます。年数があまりないので、色は薄め。
爽やかなやや酸があるような味に仕上がっており、山崎とは違う感じ。同じ年数であればハイボールにするのは白州の方が向いているような気がします。
ミルクやりんごを使ったポムラクテは、爽やかな白州と良くあっていました。
セミナーが終わると、柳原良平さんのイラストが描かれた小冊子が土産に渡されました。ツアーによってはTシャツが渡されたり、お土産は違うようです。
山崎蒸溜所は年末年始やメンテナンス日以外の平日にもオープンしています。自然に溢れ、ウイスキーの造詣が深められ、さらには高いウイスキーが安く飲めるので、お酒が好きな人ならオススメです。なお、来場は基本的に予約が必要なので、ゴールデンウィークに遊べなかった人にもピッタリです。
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