取材

海外で危険な目に遭わないために注意するべきこと


新年早々、南米のエクアドルで邦人夫妻がタクシー移動中に強盗に襲われて死傷したというニュースが流れました。「グアヤキル」「夜」「流しのタクシー」のどれか一つでも揃っていなければ、悲劇は起きなかったのかもしれません。日本だとタクシー運転手が強盗の被害にあうのが普通ですが、海外ではタクシー運転手が強盗を働くケースもあります。

こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。事件の起きたグアヤキルは「バスターミナルで短時間に二度強盗にあってしまって……」というバックパッカーの話を聞いて絶対に行かないと決めてました。そもそも、エクアドルは自転車の旅だとアンデス山脈を突き抜けるルートしか聞いたことなく、海岸部のグアヤキルに立ち寄る必要はありません。自転車の旅は自由そうに見えますが、ある程度ルートは決まっていたりします。

ニュースはこれ。

新婚旅行の邦人銃撃される 夫は死亡、妻も重傷 エクアドル-MSN産経ニュース

【ロサンゼルス=中村将】南米エクアドル最大都市グアヤキルで昨年12月28日、新婚旅行中の日本人夫婦が銃撃され、夫が死亡、妻も重傷を負ったことが分かった。地元メディアが報じた。夫婦はタクシーに乗った後、複数の犯人に襲撃されており、警察当局は強盗事件として調べている。


エクアドルに入国して、街が暗い雰囲気で少し警戒をしていました。


明るい首都キトの新市街。


ただし、日曜日になると多くの店が閉まって人通りも少なくなるので十分に注意が必要です。


エクアドルでは、GIGAZINEに記事を書いている清谷さんも「盗まれたiPhoneを探してエクアドルの「泥棒市」に行ってきた」という記事にあるとおり、バス移動中にバックでナイフを切られて貴重品を盗られています。バッグを前に抱えていたというのに酷い話です。この背負うバッグを前にして歩く姿は中南米でたまに見かけますが、それだけ治安が悪いということなのでしょう。西アフリカの女性なんて、バッグを頭に載せているというのに。

アフリカも長く旅していたのですが、幸いにも危険な目には一度も会いませんでした。貧しくても生活が成り立っていたら平和な空気が流れています。ギニアで一つのテレビを100人が見守っていた光景は忘れられません。反対に格差が大きな社会になるとギスギスとして危険を感じていました。ケニアや南アフリカでは守るために鉄格子や銃が必要となっています。

これまで96ヶ国を旅して、合計で約6年半は海外にいることになります。その中で考える海外の危険について、今回はまとめてみました。

◆大都市ほど危険
この写真と……


この写真は……


どちらも人気のない通りですが危険度は全然違います。上の写真は穏やかなラオスの田舎の村ですが、下の写真は殺伐としていたキルギスの首都ビシュケクでした。2009年当時、ビシュケクの日本人宿付近で旅行者が襲われるという事件が数例発生していたので、警戒していました。

海外では首都や大都市ほど危険になりがちです。エクアドルの事件では、グアヤキルは首都キトを上回るほどの大都市。自分自身もナイジェリアを走った際には、悪い噂しか聞かない約1200万人の人口を抱えるラゴスはルートから外しました。大きな都市ほど貧しい人たちが住んでいるので雰囲気が悪く、ヨーロッパですら同じような感じです。何か起きる可能性は、田舎より都市の方が高いでしょう。

パナマの首都パナマ・シティには足の踏み入れたくない地域があります。


ナミビアの首都ウイントフック郊外にあるスラム街。


◆注意すべき点
日本のスーパーマーケットで荷物を預けるなんて聞いたことがありませんが、海外だと盗まれるので鞄を預ける国があります。そうした国が多い中南米ですが、チリなら手提げ鞄くらいなら預ける必要もなくなったので「少しは安全になったのでは?」と感じています。

トイレが清潔に保たれているかも治安を確認する一つの目安で、壊れていたり荒らされていたりするとやはり怖いです。これもチリだとショッピングモールや高速道路のサービスエリアのトイレは綺麗に保たれています。中国もいろいろと緩んで無防備となる大のトイレにさえ扉がないのですから、意外と安全な国なのかもしれません。

海外で注意する点は……

街を落書きで汚す人間は、何をしでかすか分かりません。


商店に鉄格子が入っているのは、強盗が襲ってくる可能性を示しています。


建物の入口が厳重で、有刺鉄線が張り巡らされているのも、それだけ治安が悪いということです。


ナミビアでは壁の上に高圧の電線が設置されていました。


逆に安心する点は……

無人のガソリンスタンドは治安のいい国でしか機能しません。写真は旧ユーゴスラビアのスロベニア。


同じようにアメリカにも自動販売機がチラホラと道端に置かれていて驚きました。日本だと見慣れた光景ですが、考え方によっては無造作に金庫が置かれているようなもので、治安の悪い国では同じ事はできないでしょう。


そういった点では日本の屋外に放置された商品も、商店が鉄格子の国からすると信じられないことかもしれません。


ポーランドの公共住宅のベランダにガーデニングがあって、決して豊かではないものの落ち着いた雰囲気がして好きでした。


◆人がいない場所は危険
秩序が保たれているからこそ社会が成り立つわけで、大勢の人混みの中でいきなり襲われることは考えられません。誰かが止めてくれます。人混みで注意するのは、スリや置き引きといった窃盗犯。ただ人気のない場所では、強盗犯が潜んでいる危険性があります。そういう状況ですから歩くにしても繁華街をメインに、人気の少ない道では、開いている店など逃げ込める場所を確認して、ささっと切り抜けることが大切です。

中国との国境にあるベトナムの街の朝は早い。


中国の住宅街。


東アフリカ、ブルンジの田舎町。


そして自分は基本的に海外の夜は出歩きません。食事にしろ買物にしろ、明るいうちに済ませておくのが鉄則。暗くなると人通りが少なくなりますし、それだけ危険も増します。暗くなって外に出るのは、街が賑わっていて安全が確保できるときに限ります。

食事も買物も済ませたコロンビアの夕暮れ。


店が閉まって、人通りが少なくなったチリの繁華街。すぐにホテルに戻って、それから出歩くことはありません。


日中が暑すぎるモロッコでは、日が落ちてから街が賑わう時間があります。


メキシコも暗くなっても、人々の往来が耐えない場所では、外に出ていました。


◆危ない人の見分け方

人気ない道で歩いてくる人が
老夫婦→安全
家族連れ→安全
カップル→まぁ安全
おっさん→まぁ安全
若い男二人→少し危険
若い男一人→少し危険
という感じで判断しています。一番危ないのは善悪の判断が鈍りがちな10代~20代の若い男性。ただ、若い男性でもカップルだったり、子どもがいたりすると少し安心です。そして身なりのチェックも大切。くたびれた服装だったら、少し身を構えた方がいいでしょう。やはり身なりがちゃんとしていると安心できます。「相手が何をしていたのか?」も観察が必要。買い物袋をぶら下げていたり、仕事道具を抱えていたりしたら大丈夫ですが、目的の見当がつかない場合は十分に注意して下さい。

カザフスタンのご家族。


キルギスで話をしたロシア人の家族は、事業をやっているらしく風格が違っていました。


イランの家族連れと一緒に。


襲われるくらいに囲まれるのがアフリカでしたが至って平常。一同に注目されながらパイナップルを食べました。


コロンビアで立ち止まった車も「バイク遊びの帰りだよ」というから安心。


若い男性が危険なことに関しては数々のニュースで証明されています。

邦人女子学生殺傷で修理工に終身刑 トルコ裁判所、スピード判決ーMSN産経ニュース

トルコ中部の観光地カッパドキアで新潟大4年の女子学生2人が殺傷された事件で、地元ネブシェヒル県の裁判所は10日、殺人などの罪に問われた修理工、ファーティフ・ウヤル被告(23)に終身刑判決を言い渡した。トルコのメディアが報じた。


グアムで無差別殺傷、日本人2人死亡 11人負傷ー朝日新聞

現地捜査当局は、現場で取り押さえられた地元出身のチャド・デソト容疑者(21)を殺人などの疑いで逮捕した。グアム検事局の訴追状によると、容疑者は捜査官に「最初は車、次はナイフで、できる限り多くの人を傷つけようとした」と話した。記者会見したグアム警察のボダリオ署長によると、その後は黙秘しているという。


ザバイカル地方 日本人旅行客殺害事件 容疑者拘束ーThe Voice of Russia

ロシア・ザバイカル地方で日本人旅行者の大仁田耕一さんが殺害された事件では、31日にかけての深夜、2人の男が殺人容疑で拘束された。容疑者は20歳と21歳の若者。


道案内とかで人について行く場合は、話しかけたのが自分か相手か気に留めておきましょう。悪い奴こそ前に出てきます。特に母国語でもないのに英語で話しかけてくる人は信用できません。実際にベトナムでフィリピン人を名乗るおばちゃんが「今度、娘が日本に留学するのよ」といった話をされて「ちょっと家に来て話でもしない?」と誘われたのですが「このパターンの危険な体験談は読んだぞ」と思い返して難を逃れたことあります。

一人ではなく、大勢に話しかけるのも重要。その中で一人が「ついて来いよ」と誘っても、誰かが知っているという保険があります。ボスニア・ヘルツェゴビナでおじいさんに「宿がなくてキャンプするならいいところがある」とちょっと離れた場所まで連れて行かれたのですが、何人も見ていた人がいるので問題ありませんでした。ただ、ここでも若い男性がたむろっているだけだと注意してしまいますが。

案内されたのは山小屋。


この人に関しては「酔っぱらい」にも注意が必要です。特に昼間から若い男性が酩酊していたらタチが悪く、中央アジアのキルギスでは3人組の酔っぱらいの1人に絡まれました。すぐさま距離を取ると、慌てた残りの2人が問題の男を回収に。これが車の往来のある場所ですから、本当に何が起きるか分かりません。災難は予期せぬところから降ってきます。

◆野宿の場所について
こちらは一般の方にはあまり関係ないでしょうが、テントを張る時には絶対に人に見つからない場所か、誰かの目の届く場所の二択です。これが中途半端になると非常に危険で、マレーシアでは24時間空いているバスターミナルの外で寝ていたら暴漢に襲われました。人が煩わしいとか考えず、はじめからバスターミナルの中に入るべきですね。

絶対に人に見つからない場所で野宿する際には
1.見つからない
2.見つかる→気にされない
3.見つかる→気にされる→やって来る→問題なし
4.見つかる→気にされる→やって来る→襲われる→逃げる
5.見つかる→気にされる→やって来る→襲われる→逃げられない

の5つのパターンがあります。4と5は経験したくありません。

広大なオーストラリアの無人区間は安全で快適。


カザフスタンで道路からは離れていませんでしたが、高低差で車から見えない場所で一夜を過ごしました。


山ばかりのアルメニアでは峠にテントを張ることが多かったです。一般的に峠付近は人が少ないので安全、ただし途上国では人が住んでいたりもします。


ヨーロッパでも貧しいアルバニアでは、ビクビクしながら道路から見えない建物の影に。


南部アフリカでもキャンプしていました。日本より大きな国土を持ちながらボツワナは200万人、ナミビアは220万人しか住んでいません。


タイではガソリンスタンドにテントを張らせてもらうこともありました。


メキシコでも数回、ガソリンスタンドの脇に。


中央アジアのトルクメニスタンで野宿中に「見つかる→気にされる→やって来る→問題なし」を経験してヒヤヒヤしました。テントを張るいい場所がなく、なんとか乗り切れるだろうと思った所でお客さん。若い男性で「しきりに家に来い」というのを断り切れず、「家なら家族もいるだろう」と同行することに。そうしたら、家には彼1人しかいなくて……単に純粋な青年だったので、何事もなく翌朝送り出してくれたのですが、あまりいい思い出ではありません。

簡素な佇まい。


お年ごろの男の子だったので、グラビアの類だと思います。


お世話になった青年。


自分も猫と一緒に。


これだけインターネットが普及した現在では海外の危険情報もネットで検索すると出てきます。南北アメリカ大陸を縦断するチャリダーでしたらグアテマラ、エル・サルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、ペルー北部の海岸ルート、アルゼンチンのメンドゥーサが危険なポイント。

チャリダーにしてもバックパッカーにしても、ブログなどに危険な体験談があったりするので、情報収集を心がけることで自分が被害にあうことを防げます。南米だとボリビアの首都ラパスの偽警官や、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスのケチャップ強盗が有名です。

一番頼りにしたい外務省の海外安全ホームページでは、なぜか最新の情報は手に入りません。渡航先の詳しい状況を知りたい場合には、別個にある現地大使館のホームページを探すのがいいでしょう。パナマの日本大使館ボリビアの日本大使館などは、現地の詳しい情報を発信しています。

何が起きるかは分かりませんが、情報を集めたり注意を払うことで、被害に遭う確率を減らすことはできるはずです。何かあってからでは遅すぎるので、安全で楽しい旅を心がけていきましょう。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
)

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in 取材,   ピックアップ, Posted by logc_nt

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