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資金調達が決まる大切なプレゼン前夜に共同創設者に逃亡された起業家が教えるアントレプレナーシップとは?

By Hartwig HKD

出資の可否が決定する大切なプレゼンテーションを控える前日の夜に、突如として共同パートナーから「さよなら」のメールを受け取った起業家が、その過酷な状況から成功を勝ち取るために役立った「大切なこと」を明らかにしています。

What happened when my co-founder quit the night before our YC interview - Brandon's posthaven
http://brandonb.cc/what-happened-when-my-co-founder-quit-the-night-before-our-yc-interview

サイトを監視して詐欺的手法からの被害を防止するサービス「Sift Science」の共同設立者であるブランドン・ボーリンジャーさんは、Sift Scienceを起業するときに、スタートアップ企業専門のベンチャーキャピタル「Yコンビネータ」から出資を得るチャンスをゲットしました。


Yコンビネータは、出資先ベンチャー企業が、よりビジネスを拡大するために大手ベンチャーキャピタルや有力なエンジェル投資家からの資金を得られるようにコンサルタントするという異色のベンチャーキャピタルで、Dropboxredditなど数多くの優良企業を育て上げたことでも知られています。Yコンビネータからの出資を得られるチャンスは、スタートアップ企業にとってまたとない機会であるため、ボーリンジャーさんも、ぜひともこのチャンスを逃すまいと意気込んでいたそうです。

By Nathan Rupert

とはいえ、Yコンビネータのポール・グレアム代表から、プレゼンテーションの機会を与えられた時点では、Sift Scienceはアイデアに過ぎず、たった1行もプログラムコードが書かれていない状態だったとのこと。運命のプレゼンテーションが2週間後に迫る中、ボーリンジャーさんは猛烈な勢いでプログラムを作成し、デモを繰り返しました。

しかし、「うまく行かないかもしれない事は、すべてうまく行かないもの」というマーフィーの法則通り、プレゼンの10日前には自動車が故障したり、6日前にはノートPCがクラッシュしてすべてのデモプログラムを喪失したりと、波瀾続きの中、なんとかデモプログラムを突貫工事で完成させ、Yコンビネータが質問して来るであろうFAQを準備しました。プレゼンの2日前に、ボーリンジャーさんはそのときの勤め先を辞めたため、プレゼンまでは恐怖におののく夜を過ごしたそうです。

いよいよ運命を決定するプレゼン当日の午前0時26分に、共同設立者からのメールがボーリンジャーさんのもとに届きます。メールの内容は、「今、デモをチェックしてたんだけど、やっぱりこれは僕が本当にやりたいこととは違っているようだ。悪いけれど、僕に代わる人を探して欲しい。プレゼン頑張って!健闘を祈る」というもの。プレゼン直前に、共同設立者で当然プレゼンを一緒に行う予定だった同僚の離脱にボーリンジャーさんが驚き、怒り、嘆いたのも当然であり、その夜は一睡もできなかったそうです。

By Hartwig HKD

夜が明けて、ボーリンジャーさんを見たルームメイトは「おばけみたいよ……」とつぶやいたとのこと。「おばけのように誰にも見えなくなってしまいたい……」と思ったボーリンジャーさんでしたが、時間が来たためプレゼン会場に向かいました。

部屋に入ると、グレアム代表をはじめ6人のYコンビネータ・パートナーが勢揃いしておりボーリンジャーさんに視線を注ぎました。そして予想通り、グレアム代表がはじめた質問は「共同創立者はどこですか?」というもの。「彼は昨夜、辞めました」と答えるとグレアム代表は固まったそうです。

Yコンビネータ代表のポール・グレアム氏。Yahoo!Storeの前身である「Viaweb」を開発。プログラマー・作家・投資家という多才な人物。


こうしてプレゼンはスタートし、約10分間たてつづけに速射砲のような質問がボーリンジャーさんに浴びせられました。左からの質問に答える最中に右からの新しい質問が差し挟まれるなど緊迫した雰囲気でプレゼンは進んだのですが、不思議とボーリンジャーさんの口からは回答があふれ出てきたそうです。わずか10分間という短い時間の中で、事前に用意したすべてのFAQが取り上げられたそうで、プレゼンを終えたボーリンジャーさんは、うまく行ったかどうかは分からないけれど、不思議と感動を覚える自分に気がついたとのこと。

Yコンビネータからの出資がOKの場合はその夜に電話がかかってきて、NGの場合には断りのメールが到着する予定だったため、ボーリンジャーさんはただメールを待っていたところ、予想外に、グレアム代表からの電話がかかってきました。「電話があるとは思いませんでした」と答えるボーリンジャーさんに、グレアム代表は「私も電話するとは思ってもいませんでした。けれど、あなたは私たちの質問攻めを耐え抜くだけの理論武装をしていました。出資を受け入れますか?」と話し、ボーリンジャーさんは見事、Yコンビネータの出資をゲットしました。

By Jess Loughborough

その後、ルームメイトが会社に加わり、幸先良く最初の顧客をゲットし、シードラウンドでの資金調達にも成功し、かつてボーリンジャーさんがGoogleで一緒に働いた優秀なエンジニアの獲得にも成功し、ついには多くのエンジェル投資家からの投資の要請を断らなければいけないようになるなど、事はとんとん拍子に運んだとのこと。

しかし、ボーリンジャーさんは、このサクセスストーリーは、プレゼン前夜の0時26分に幕を閉じることもあり得たと振り返っており、スタートアップ企業をたくましくするのは「絶対に降参しない」という古くからの格言であり、大切なのは「すべての事がばらばらに砕け散るかのように思える状況でもなんとか自分の心理状態を保つこと」であると結論づけています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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