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WordPressの創業者兼CEOがまたしても暴走しフォーク計画疑惑でWordPress寄稿者アカウントを無効化

by olivier gobet (Gd6d)


コンテンツ管理システム「WordPress」の共同開発者であるマット・マレンウェッグ氏が、WordPressで構築された商用ホスティングサービス「WP Engine」を公に非難した件で進展がありました。WordPressから独立したリポジトリの実現可能性について議論したWordPressコミュニティの主要人物が、マレンウェッグ氏によりアカウントを停止されてしまったと伝えられています。

Joost/Karim Fork – WordPress News
https://wordpress.org/news/2025/01/jkpress/

Matt Mullenweg deactivates WordPress contributor accounts over alleged fork plans | TechCrunch
https://techcrunch.com/2025/01/11/matt-mullenweg-deactivates-wordpress-accounts-of-contributors-planning-a-fork/

WordPressはオープンソースで開発されるコンテンツ管理システムです。ウェブサイトの40%以上がWordPressを使って構築されているといわれているほか、WordPressを使った商用ホスティングサービスも多く生まれています。


商用ホスティングサービスの1つがWP Engineです。このWP Engineについて、マレンウェッグ氏が公に非難した件が事の発端でした。

2024年9月、WordPressのイベント「WordCamp US 2024」に登壇したマレンウェッグ氏は、自身が創設した企業・AutomatticとWP Engineを比較して「両社はWordPressの持続的な成長を支えるという誓約を交わしたにもかかわらず、WP Engineの貢献はごくわずかである」と指摘。具体的には、AutomatticがWordPressに週3900時間を費やしているのに対してWP Engineはわずか40時間であること、両社ともに5億ドル(約790億円)近くの収益を上げているのにWordPressへの投資額に明確な差があることなどを列挙し、「WP EngineはWordPressの癌(がん)である」と痛烈に非難しました。

マレンウェッグ氏は、投資コストの違いに加え、WP Engineが利益を追求してWordPressの重要な機能を無効にしている点、WP EngineがWordPressの公式サービスであるかのように誤解させている点も問題だと指摘し、Automatticを通じて、WordPress商標の使用停止命令書をWP Engineに送付しました。

WordPress開発元のAutomatticがWordPress商標の使用停止命令書をWP Engineに送付 - GIGAZINE


加えて、マレンウェッグ氏はWordPressに対するWP Engineからのアクセスをブロックすると発表。「オープンソースプロジェクトで大金を稼いでいる企業は還元するべきであり、しないのであれば商標を使用するべきではない」と述べ、WP Engineを徹底的にブロックする姿勢を見せました。

なお、この裏でAutomatticとWP Engineの間にライセンス使用許諾契約の交渉があったことも伝えられています。Automatticによると、「WP Engineは毎月の収益の8%をAutomatticに支払うか、毎月の収益の8%に相当する従業員給与をWordPressのコア開発に充てる」などの条項を含む契約について2023年2月頃から交渉されていたものの、1年以上経過してもなおまとまらず、WP Engineからの返答もなかったとのこと。こうしたWP Engineの対応に業を煮やし、マレンウェッグ氏がイベントで非難するに至ったと考えられています。

WordPress開発元のAutomatticがWP Engineにライセンス料として収益の8%を要求していたことを公表 - GIGAZINE


こうしたマレンウェッグ氏の主張にWP Engineは反発し、商標使用料の要求は恐喝未遂や名誉毀損(きそん)、不正競争などの法律違反に当たるなどとしてAutomatticとマレンウェッグ氏を提訴。さらにWordPressへのアクセス権回復を求めて裁判所に申立書を提出しました。後者の主張は2024年12月10日に認められており、WP Engineのアクセス権回復を求める仮差し止め命令が下されています。

一連の流れを受け、マレンウェッグ氏は「WordPressの開発プロジェクト『WordPress.org』が無期限の休暇に入る」と発言。さらに、「WP EngineによるWordPressの貢献度に合わせる」として、週3900時間を費やしていたAutomatticの貢献時間を週45時間程度に制限するとも発表し、「金持ちWP Engineの弁護士のおかげで、我々はWP Engineに無料で労働力とサービスを提供せざるを得ない」と皮肉を込めたメッセージを公開しました。

これに加え、マレンウェッグ氏はWordPressのコミュニティメンバーが立ち上げた「サステナビリティチーム」を閉鎖しています。サステナビリティチームは、マレンウェッグ氏の言動に反発してWordPressを去ったThijs Buijs氏が率いていたチームで、マレンウェッグ氏は「チームの存在を(Buijsが退職した)今日知りました。彼の努力に感謝します。これまでのチームの成果と投資収益率を見ると、正式に解散する良い機会でしょう。この機会に、気候への影響について話すサステナビリティの価値が本当あるのか、それともコードを最適化してパフォーマンスを改善することに焦点を当てるべきなのか、検討する必要があります」と指摘しました。


そして、マレンウェッグ氏は、「新しいWordPress」や「WordPressから独立したリポジトリ」の実現可能性について議論したJoost de
Valk(Joost)氏とKarim Marucchi(Karim)氏のWordPressアカウントを停止したことを明らかにしました。

JoostはWordPress Foundationの元マーケティング・コミュニケーションリーダーで、WordPressに特化したSEOツール「Yoast」を開発した人物。Karimは企業向けウェブ・コンサルティング会社Crowd FavoriteのCEOを務める人物です。両名は「WordPressから独立したテーマやプラグインをホストするウェブサイト」などの構築を進めていると伝えられていますが、マレンウェッグ氏は「WP Engineが支援すると発言しているような節もある」とし、「WP Engineの方で勝手にやってくれ」と突き放した形。マレンウェッグ氏は「私や他の貢献者は支援無しでWordPressを精一杯維持している」などと述べ、改めて、WP EngineはWordPressへの貢献が足りていないという点を強調しました。

WordPressという大規模なコミュニティの方針がマレンウェッグ氏の一存で決まってしまうことや、マレンウェッグ氏の一連の動きに反発し、WordPressを去る開発者も現れているようです。

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in Posted by log1p_kr

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