乗り物

自動車渋滞が発生する実際の理由・原因と回避方法とは?

By GALERIEopWEG

渋滞学」なる理論が提唱され、さまざまなシミュレーションを通じて渋滞を回避する方法が考案されていますが、じつはその論理では渋滞の「発生」は回避できても「目的地に到着する時間」は早くはならないこともあります。渋滞に巻き込まれるという心理的ダメージを回避できるために大きな効果を持つ方法論ですが、そもそもなぜ渋滞が起こるのか、そしてその究極の対策方法とは……そんな研究結果が発表されています。

How traffic actually works
http://jliszka.github.io/2013/10/01/how-traffic-actually-works.html


海外でも渋滞の発生は問題となっており、車間距離をあけ、一定の速度で走行するという対策法などが研究されていますが、この発表で著者は「その方法では無駄なストップ&ゴーの繰り返しは減るが、実際に目的地にたどり着く時間が早くなる人は一人もいない」という事実に目を向け、渋滞を論じています。

著者がポイントにしているのは、ある道路が通行量を処理できる能力「交通容量」には上限があり、それを超えた台数のクルマを通過させることはできないというもので、これが渋滞を引き起こす要因のひとつである、としています。

By Dirk-Jan Kraan

ドライバーの心理では、前の車との間隔を「約2秒」取るという傾向があり、これが交通容量に影響を与えていると論じています。この「2秒」の間隔とは、前車のリアバンパーがある地点を通過してから、自分のクルマがその地点を通過するまでの間隔で、時速40キロの場合では約22メートル、時速100キロだと約56メートルの距離に相当します。ここでは、この「2秒」をひとつの基準として理論を展開しています。

◆割り込み
高速道路を走行中に横の車線から1台の車が割り込んで来ようとした場合、それはあなたの全行程に要する時間が「2秒」延ばされることを意味します。1台割り込みがあったら、また2秒分のスペースを空ける、するとまたそのスペースに別の車が割り込んできてさらに2秒取られる……割り込みにはそのような影響があることも事実なのです。

◆車線規制の際の合流ポイント
特に海外では、前方に車線規制があって車線が減少される場合、その合流ポイントまで進んでから列に割り込むようドライバーに指示が出されていることがあります。確かにこれは渋滞の列をいたずらに長くしないという点において、安全面の上でも意味のあることなのですが、この方法もトータルの時間を短縮するという意味においては効果はありません。

◆カタストロフィー理論
先述の「2秒間隔」とは、あくまで自分のクルマの先端から前のクルマの後端までの間隔であり、2秒おきにクルマが通過するということではありません。「2秒に相当する距離」+「クルマの長さ」が実際のクルマ一台分の占有スペースということになります。これは、たとえば高速道路上で速い速度で走っている場合には問題にならないのですが、一般道のように低速になる場合には結果に影響を与えるようになってきます。筆者はこの現象を「カタストロフィー理論」と結びつけ、低速時における車間距離の影響を説明しています。

周りにクルマがいない場合には、ドライバーは好きな速度で走ることが可能です。しかし、クルマの数(Occupancy)が増えてくると交通量(Flow)も増大し、クルマの量がある一定に達したとき、それまで保たれていたスピード(Speed)を突然キープできなくなってしまいます。これが低速度時における渋滞の発生原因ということになります。


◆実証
ここで作者はコンピューターを使って自説のモデルを計算し、実際の交通データとの比較を行いました。その時に使用したのが下記のコードで、「クルマの数」が「交通量」と「スピード」に与える影響を評価しています。


その結果がこちら。上のコンピューターによって計算された結果に対し、下のグラフは米・連邦道路管理局が実際の調査結果となっており、理論上の結果と現実のデータとの一定の相似性を見ることができます。


同じく比較した別のデータがこちら。「交通量」と「クルマの数」との関係を示したもので、クルマの数が一点を超えると、交通量が減少していく結果が示されています。


◆そして、結論は……
ある道路が交通量を処理する能力とは、そこを走るクルマの数とほぼ同義であるという結論をもとに筆者は、車間距離を空けて「渋滞の波」を作らない(=ストップ&ゴーを減らす)ようにする取り組みは、渋滞の発生自体を抑えはするものの、クルマの流れを良くして目的地に早く到着するという目標にはあまり影響を与えないという意見を論じています。むしろ、そのような行動は自分の車が道路上で占有するスペースを拡大させてしまい、ひいては渋滞の列をさらに長くするという結果を生むとしています。

上記から導かれた筆者の結論は、以下の4つ。
1.全長の短いクルマに乗る
2.割り込みをさせない
3.ラッシュアワーにはクルマに乗らない
4.クルマが必要ない都市で暮らす


ある意味で衝撃の結論ですが、自動車メーカーからも一人乗りの超小型クルマが提案されているなど、未来のモビリティを考えるうえで参考になる考え方かもしれません。

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in メモ,   乗り物, Posted by darkhorse_log

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