NeXTを設立したばかりのスティーブ・ジョブズを追った「Steve Jobs building NeXT」
スティーブ・ジョブスは1985年にアップルを離れた後、NeXT,Incという会社を創業し、後のMac OS Xの基盤となるオペレーションシステムなどの開発に成功しました。しかしながら、当時は経営に関していろいろ困難があったようで、ジョブズがどうNeXTを牽引するのか真価を問われるような状況だったとのこと。YouTubeに公開されているムービー「Steve Jobs building NeXT」は、若き日のジョブズが、創設したばかりの会社の中でどのようにリーダーシップを発揮したかを記録している貴重な映像です。
Steve Jobs building NeXT - YouTube
ムービーはNeXTのオフィスで、IBMやウエスチングハウスなどのロゴをデザインしたポール・ランド氏がNeXTのロゴを社員たちに披露する場面から始まります。
ロゴのお披露目会は和気あいあいとしたムードで進行し、ジョブズの顔からも笑顔がこぼれています。
こちらが、NeXTのロゴ。
NeXTの新社員はジョブズのビジョンに賛同し、新しいビジネスを展開するため、アップルを退社したエンジニアとのことです。
インタビューでジョブズはNeXT設立への思いを「私は、NeXTで大学などの高度な教育機関を発展させることに貢献できる製品を開発したいと思っています。そのための目標は、最先端の技術を搭載しながらも、大学生が購入できる価格の製品を販売することです」
NeXTを成功に導くため、ジョブズは1985年12月に経営戦略のための合宿をカーメルのペブルビーチで開催。ジョブズはNeXTの経営理念を社員に植え付けるため初日にスピーチを行いました。
「NeXTという会社はハートを持っているんだ。熱い情熱を持ってNeXTを作っていく。僕たちの製品を購入してくれる顧客は、僕たちの情熱を支持してくれるんだ。高度な教育のためにNeXTを設立したんだ。決してお金のためにNeXTを作ったわけじゃない」
2日間に及ぶ合宿では、NeXTの各部門がこれまでの進展状況から、製品のデザイン・出荷期限・マーケティング戦略などを決めてしまうことにポイントが置かれました。
ジョブズは「こなさなければいけない山積みの仕事を目の前にすると、あまりの非現実的な量にくじけそうになる。だからこそ、私は社員に会社のビジョンについて口を酸っぱくして言うんだよ。くじけそうになってもビジョンを思い出せば勇気が出るんだ」
この合宿では、絶対厳守である2つの目標が設定されました。1つは製品の価格を大学生でも購入できる3000ドル(当時のレートで40万円台)以下に抑えること。もう1つは、ジョブズが社員の意見を遮ってまでも優先順位を1番にした「出荷期限は18カ月後である1987年の春」ということでした。
出荷期限に縛られるあまり製品のクオリティーやデザインが低下してしまう問題を指摘して「出荷期限を1年延ばすべきだ」と主張する社員も出てきます。
しかしながらジョブズは「この出荷期限は私たちにとってチャンスの窓なんだ。この窓が閉じてしまえばNeXTは失敗するだろう。18カ月でできなくて、どうして30カ月あればできるのか?」と議論を打ち切ります。
そして3カ月後に行われた新たな合宿でジョブズは「ハネムーンは終わったんだ」と言い放ちます。今までと違ってシリアスな表情でジョブズはスピーチを進行。スピーチの最後で「1番重要なのは、ベストなタイミングで製品をだすこと」、つまり出荷期限は絶対厳守であるということを強調しました。
ジョブズはムービーの最後に「私が考えていることは、絶対に無理ではなく達成できることなんだ。成長したら世界を変えられる植物の種を植えられるなんて、本当に素晴らしいことなんだ」と自分の展望についてまとめています。
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