取材

普通の女の子が出る王道アニメを作りたいと谷口悟朗プロデューサーが「ファンタジスタドール」を語る


7月から放送予定のオリジナルアニメ「ファンタジスタドール」について、クリエイティブプロデューサーを務める谷口悟朗さんがアニメ コンテンツ エキスポ 2013のオープンステージでトークを行いました。

ファンタジスタドール
http://www.fantasistadoll.com/



司会進行担当 ニッポン放送 吉田尚記アナウンサー(以下、吉田):
それでは早速ご登場いただきましょう、拍手でお迎えください。谷口悟朗さん、東宝の岡村プロデューサーです。

谷口悟朗(以下、谷口):
今回、クリエイティブプロデューサーというよくわからない役柄で新番組に携わらせていただくことになりました谷口です。皆さん、よろしくお願いします。

(会場から歓声)

東宝 岡村和佳菜プロデューサー(以下、岡村):
東宝株式会社でプロデューサーをやっております岡村と申します。本日はよろしくお願いします。

吉田:
おかけいただいてお話を聞いていきたいと思います。今日はクリエイティブディレクターとプロデューサーの両方がいらっしゃるということは、ほぼ何を言っていただいても大丈夫というような組み合わせで来たいただいているわけですね。まずはアニメ コンテンツ エキスポについて、去年から始まったイベントですが谷口さんも見て回られましたか?

谷口:
全体の雰囲気などを知りたかったのでいくつか回ってみたら、知り合いの作品ばっかりでイヤになったというか(笑)

吉田:
気になった作品はありますか?

谷口:
気になった作品ですか?「聖☆おにいさん」ですね。

吉田:
お、そこですか。

谷口:
あとは「弱虫ペダル」

岡村:
気を遣ってうちの作品ばっかり言っていただいてありがとうございます。

谷口:
営業上だけで言ってるわけじゃないですけどね。

吉田:
今回の「ファンタジスタドール」は可愛い女の子がいっぱいでてきて、他のいわゆる女の子キャラクターがかわいい作品が気になるかなと思ったんですが、今出てきたのは男子ものばかりでしたね。女子ものはきになりませんでしたか?

谷口:
そちらはあまり気にならないですね。たぶん、そういうタイプの作品を作っている人もこちらを気にしないと思います。それはどういうことかというと、自分たちが作りたいモノや作品を中心にしていくと、ジャンルやカテゴリに同じようなタイプになる作品があっても気にならないということなんです。それに対して、別ジャンルだと「あー、このジャンルをやってみたいな」だとか思って気になるという感じですね。


吉田:
「聖☆おにいさん」は絶対に他とかぶらない作品ですもんね。

谷口:
あれは私も狙ってたんですよ。

吉田:
狙ってたんですか!?

谷口:
狙っていたけれど、さすがに全内容は無理だろうなと。

吉田:
なるほど。そんなオリジナルな意見をお持ちの谷口さんが、今回はファンタジスタドールのクリエイティブプロデューサーを務められていて、企画の成り立ちというか、どこからこの発想が生まれこのような形になったのかをお伺いしたいと思います。

谷口:
もともと私にはアニメについて1作品ごとに違うアプローチ、違う挑戦をしていきたいなというところがありました。今回の作品でいえば、可愛い女の子たちがいっぱい出てきて頑張ったり活躍したりする、そういうアニメをやりたいなと昔から思っていたんですよ。でも、どこの会社もそういった仕事を私に発注してくれないんですよね(笑)

吉田:
どちらかといえば可愛い女の子より宇宙のデブリ屋だとかを想像してしまいますね。

谷口:
ほんとにそういう仕事の依頼は来なくて、こちらから営業をかけて「コンテを切らせてくれないか?」と言っても通らないので、これは自分で企画を立てようと思ったんです。ちょうど昨年、TOHOシネマズ学生映画祭というのがあって、そこでゲストのような形で私が呼ばれたことで東宝さんとの流れができたんです。東宝さんとしても、これからアニメーションにいろいろ関わっていきたいという話で、4月から放送される「銀河機攻隊 マジェスティックプリンス」でDVDやブルーレイの販社として参入されるとのことなんですが、それに加えて、もっと制作現場寄りのところにも入ってやっていきたいということがあって、その第1弾として話が進んだんです。

後ほど岡村さんからお話ししてもらいますが、プロジェクトの幅が広がってきてしまっていて、そうなると全体を見られるポジションに私が入った方がよいだろうということでクリエイティブプロデューサーということになり、アニメーションの中核に関しては斎藤監督にやってもらおうということになりました。

吉田:
東宝さんのご意見をお伺いしたいのですが、谷口悟朗監督のイメージというと「目が光って言うことを聞かせてしまうアニメを作っている」というイメージがありますが、その方が女の子が可愛い作品の企画を持ってきたことに対して、どういうリアクションでした?

岡村:
意外といえば意外でした。でも、ビジュアルとしては可愛い女の子がきゃっきゃ楽しんでいるようなものでしたが、お話を聞いていると根底には谷口さんらしさがあったので……。

谷口:
誤解を解くために言っておきます、人は死にませんよ?

(会場笑)

岡村:
死にません、楽しいことしか起きません。ですけれど、作品に対する根底の考え方みたいなところに共感させていただいて。今回プロジェクトのかなり初期から一緒にやらせていただくという話になりました。

吉田:
作品毎に違うチャレンジをと仰いましたが、そもそも女の子ものをやること自体がチャレンジだと思いますが、今までにある既存の女の子ものをやろうとは、当然谷口さんは思わないですよね。

谷口:
私が最初に企画書を作ってアンバーフィルムワークス池口さんたちと話をしていたときに考えていたのは、こういう言い方はあまり好きじゃないですけれど、既存の美少女アニメを作ろうと思ったわけじゃないんですよ。スタートはそこにあるわけではなくて、オールドファンならおわかりかもしれませんが、もともとテレビアニメとしてクリィミーマミやミンキーモモのように「ごく普通の女の子たちが出てきて楽しい」というジャンルはあるよねということだったんです。変なことをしないで、真っ向勝負で行きましょうと。

吉田:
真っ向勝負の、女の子が変身したり戦ったりというものを作りたかった?

谷口:
そうですね、ごく普通の女の子たちが日常生活で楽しく走り回ったり、何か困ることがあったらみんなで何とかして協力して乗り越えていこう、みたいなところです。もともとのドラマやアニメの根底のところにある一番わかりやすいところ、面白いところをきちんともう1回作っていこうということだったんです。

吉田:
いわゆる「王道」を行くような作品がちょっと足りていないという風にお感じでしょうか?

谷口:
他の作品に対して批判するつもりはありませんが、どうしても特定のお客さんに向けての原作があって、それをテレビアニメとして広い層に向けるときにどうするかという発想があると思うんです。本プロジェクトの場合はそのピンポイントのお客さんというのがないので、最初から広いマスを想定していこうということです。これはどちらがいい悪いということではなく、発想の転換をしなければいけないということです。

あともうひとつ、私としてはオリジナルアニメーションを作っていかないといけないと思っています。原作付きのアニメーションばかりになるとアニメーションの現場が「下請け工場」になってしまうけれど、下請け工場ではつまらないじゃないですか。アニメーターさんだって仕事として面白くないし、仕上げさんや撮影さんなど、多くのスタッフがご飯を食べていかなきゃいけない。がんばれる人間はできるだけオリジナルを作ることだと思いますし、東宝さんのようにこういったところに協力してくれるメーカーを大事にしていきたいなと思いました。

吉田:
いいものは作っていくし、同時に商業的な成功がついてくるものでなければいけないと。

谷口:
基本的に、作品を作るときにタダでは作れなくて、誰かに出資してもらわなければならない。出資してもらってこそスタッフの給料も払えるわけです。出資していただくということは、当然、5円でも10円でもいいから乗っけてお返ししないと、次に出資してくれなくなります。別に、そんなに大儲けをしようということではなく、出資していただいた分は最低でも稼いで返すことによって、初めてスタッフの生活が成り立つし、なおかつ今日ここに来ていただいているような皆さんに楽しんでいただけるようなアニメーションが次々と作っていけるということなんです。そういう部分において商業的な成功をめざすのは当たり前であって、私は目指さなかったことは一度もありません。目指すのはごくあたりまえのことです。

吉田:
次の作品を作ることにも今のお話の通りつながるわけですね。

谷口:
「1本作ってやり逃げだ」という時はもう引退ですね(笑)

吉田:
そういう発想が、ないわけでもない?(笑)

谷口:
「今まで儲けさせてやったんだから、その分はしっかり払え」というところはあります(笑)

(会場爆笑)

吉田:
貯金をいつ引き出すのかというのは人それぞれと。正直、ファンタジスタドールに関してはちょっとだけ定期預金を解約してますよね。

谷口:
まずファンタジスタドールに関してはどちらかというと「新規口座」ですね、東宝さんとの付き合いは初めてですから。ただ何人かスタッフは、今まで付き合いがあったから、そろそろ?みたいな。

吉田:
東宝さんからすると、「あの谷口悟朗が持ち込んできてくれた」というのは安心できますよね。

岡村:
集まってくださったスタッフの方々は安心感のある方たちばかりで、クリエイティブに関して谷口さんに軸になっていただいているなぁと感じています。

吉田:
スタッフ欄には気になる名前が並んでいますが、その中でも一番気になったのは「全く知らない方の描いた絵が超いい絵だった」という話があるんですが、このメインビジュアルを描かれたのはどんな方なのでしょうか。

岡村:
今回のキャラクター原案はAnmiさんという方で、まだ実はかなり新人というか、それに近い方なんです。

吉田:
お若い方なんですか?

岡村:
この3月に大学を卒業されたばかりで、今回のプロジェクトに起用させていただきました。絵がすごくよくて、女性らしく印象的なところがあります。

吉田:
女性なんですね。

岡村:
はい、服のデザイン一つにしても、女の子から見ても可愛いと思えるデザインになっていて、先ほど谷口さんがおっしゃった「いろんな方々に見てもらえるアニメにする」というところで強みになると思っています。

吉田:
これは谷口さんが見つけた方なんですか?

谷口:
Anmiさんは制作に入っていただいてるアンバーフィルムワークスの池口さんというプロデューサーから「この人、使えないだろうか」と紹介してもらいました。とても線が新鮮で面白かったので、いろいろお願いしてみることになりました。

吉田:
すでに谷口さんはキービジュアル以外にも様々な絵をご覧になっていると思いますが……

谷口:
山ほどありますよ!いずれ何らかの形で本か何かにまとめてあげないとかわいそうかなと思うぐらいです。毎週毎週大量の絵を発注して、それでやってもらっているというのがありますので。パーツの捉え方などが既存のアニメーションとは違ったところがあったりするのが面白く、まだ新人さんなので絵が完成しすぎてないのがいいですね。やっぱり、半年前の絵から変わっていくんですよ、影の付け方やハイライトの付け方とかパースの捉え方……それもひっくるめて、面白いですね。カバーしていただくために、ベテランアニメーターの加藤裕美さんに全面的に入っていただいています。

吉田:
最近では「ギルティクラウン」や「八犬伝―東方八犬異聞―」でキャラクターデザインをやられていますね。

谷口:
私としては「とんでぶーりん」の加藤くんに入っていただいているんですよ。

吉田:
キャリアとして見ると20年くらいのスパンがありますね。そして今回は「アニメをやるからこそそれ以外のこともできるのではないか」ということでアニメ以外にもいろんな展開があるんですよね。ご説明いただいてよろしいですか。

岡村:
実は、この企画自体は「企画が進行中ですよ」というのをアニメ誌さんなどで発表させてもらってから、いろんな方から「面白そうだから協力します」と言っていただいて、この夏、7月クールの放送なんですけども、それに合わせてソーシャルゲーム企画を進めていたり、コミカライズではニュータイプエースさんでキャラクター原案のAnniさんが自分で描かれるコミカライズをやっていて、さらにアニメーションのコミカライズがコンプエースさんで始まります。5月からですね。

吉田:
大量にデザインを発注した上に、さらに漫画を描く……。

岡村:
そうなんです、今ちょっと締め切りが大変な感じになっています。

谷口:
私の方としては、せっかくみんなで色々遊べるプロジェクトとしてやる以上は、これから先、演劇だったりミュージカルだったり、何らかの形で実写のドラマだったりとかやっていけたらいいなと思っております。

吉田:
それって東宝さんじゃないとできないですよね。

谷口:
最後は宝塚ですよ、宝塚。


吉田:
たしかにそうですね……それはありうる話なんですか、岡村さん?

岡村:
ゼロじゃ無いですね。

吉田:
宝塚では「銀河英雄伝説」をやっていますからね。

岡村:
「11人いる!」もあります。

吉田:
萩尾望都ですね……すいません、一部男子の人たちが「それはわからない」という顔をしています。ごめんね、俺、少女漫画も宝塚もいける口なんです。

今のお話を伺うと相当多面的な展開を考えていらっしゃるということですが、やっぱりアニメが基本にあるということで、ここからはアニメのお話をお伺いします。そこで、裏方の皆様だけではなくて、やっぱりキャストの方にもご登場いただきたいということで、主人公のうずめちゃん役に決定した大橋彩香さんに登場していただきましょう。

大橋彩香(以下、大橋):
こんにちは。うずめ役をやらせていただきます大橋彩香です。よろしくお願いします。


(大歓声)

大橋:
すごい人ですね。

吉田:
いまご本人の横にちょうどキービジュアルがありますが、その衣装での登場ですね。

大橋:
Anmiさんの設定に基づいてしっかり作られているんですよ、ボタンもちゃんとあって、すごいですよ。

(観客から「めっちゃかわいいー」の叫び)

大橋:
めっちゃかわいいですよね。最初に自分がこのコスチュームを着られたのがすごく嬉しいです。リボンが大きいのもいいですし、ベレー帽っぽいのがすごく好きなんで。私、初ベレー帽なんです~、超かわいいです~。

ステージで大橋さんが着けていた衣装についてはYouTubeで公開されているムービーでも確認できます。

大橋彩香 初主演アニメ「ファンタジスタドール」! - YouTube


吉田:
谷口さん、この発言だけで男子の発想じゃないことが次々と出てきます。

谷口:
やっぱり、女性の意見も取り入れていかないと、より多くの人に楽しんでいただけるプロジェクトになっていかないんじゃないですか。

吉田:
会場はほとんどが大きい男子のお友達のようなんですけれども。

谷口:
せっかくだから横向いてあげてもらえますか、靴下の所。

岡村:
こだわりポイントです。

大橋:
カラフルになってます。

吉田:
それこそ、アニメとして動かす場合は、これ全部動かさなきゃいけないんですよね?足の部分とか。

注目を集めていた、靴下の細かい柄。


谷口:
アニメだと色々問題が起きてしまうので、パーツは外させていただくかもしれませんね。

吉田:
女の子が着てテンションが上がるということ、それを見て大きなお友達がテンション上がっているということ、そういうことを初めから目指しているということですよね。

谷口:
まず、ここにいる方々に喜んでいただかなかったら次が無いんですもん。今日ここに来ていただいている方みなさんが「ジ・オリジン」、スタートなんですよ。

吉田:
それではここからはアニメそのものについて、設定などについてお伺いしていきたいと思います。これはいったいどういうストーリーになっているのでしょうか。

谷口:
物語構造そのものにはややこしいところは作っていません。初めて見た人、および途中から見た人もわかりやすいように、ごく普通の女の子であるうずめがカードの中から出てくる女の子たちと知り合いになって、何らかの困難を乗り越えていく、そういう話なんですよ。

吉田:
メインビジュアルでは周りにキャラクターがいっぱいいますけど、これはみんなカードから?

谷口:
そうです。そういう子たちと何らかの困難を乗り越えていくというスタンスは変わりません。そこが今回のスタッフ編成のポイントにもなっています。

作品でいうと、枠組み・基本フォーマットがしっかりとした作品は裏を返すとただの子ども向け番組になる習性があります。これはフォーマットがしっかりしすぎているが故です。そこで、フェチを付け加える必要があります。フェチを加えないと、子どもだけではなく皆さんが楽しめるところではなくなってしまいます。フェチにおいてお願いできる監督は誰だろうかと考えて、斎藤久監督にお願いしました。

もちろん、制作会社のメンバーも大事になってくる。どうしようと考えたときに、「そうだ!謎の彼女X」のフッズエンタテインメントがあるじゃないか」と。フッズの永井さんは、私が鉄のラインバレルをやっていたときの担当プロデューサーなんです。

基礎部分は基本フォーマットに則ってやるから、そこに乗っかってきてくれと、そういう感じでできています。

吉田:
こんなにいっぱいあるきれいな絵の裏にあるフェチ性っていうのは、パンツだったりよだれだったりでアニメを作った人たちなんですね。

谷口:
「それをやめなさい」と。

吉田:
「それをやらないで」ということですか?「ギリギリまでやっていい」の方ですか?

谷口:
あなたたちはそんなことをしなくても根底に流れるものがあるんだから、イヤでもにじみ出てくるでしょうということです。欲しいのはそれ。

吉田:
大橋さんどうですか、今この話を聞いて。素直な感想だけでも。

大橋:
難しい感じの用語がいっぱい聞こえてきたなあという感じですね。

吉田:
うん、女性にはそうあってほしい。わからないところは笑って「そうなんだー」って言ってくれる器の大きさは大切ですよ。

谷口:
とはいえ、中核にはベテラン勢に集まっていただきました。美術監督にはガンダムシリーズやプラネテスで美術監督をした、スタジオムサの池田繁美さん。色彩設定にはギアスやスクライドの岩沢さん。編集は森田さん、音響監督には魔法少女まどか☆マギカなどをやっておられる鶴岡陽太さんにやっていただくことになりました。

アニメ制作の「センターライン」というんですかね、中軸はベテランなどでビシッと締めてチームを組む形です。

吉田:
まさに先ほど言っておられた「ちょっと定期預金を下ろした」みたいなところですね。

谷口:
ここら辺で使っておかないと、忘れられちゃうから(笑)

吉田:
それだけのスタッフで固めたステージができるわけですよね、そのステージの真ん中に立っていただくのはキャストの皆さんだとするとオーディションも重要だったと思いますが、大橋さんが受けに来たときの谷口さんの印象はどうでした?

谷口:
私はいつもオーディションに行かないんですよ。行って知っている役者さんに合うと面倒くさいじゃないですか、使わないといけないのかなという無言のプレッシャーとか(笑)。あと、私は役者さんの年とか見た目とかどうだっていいんですよ。だから大橋さんの時も行っていなくて、音声データだけまとめてくださいと。

吉田:
純粋に音声データだけ聞いて大橋さんが決まった?

谷口:
そうそう。「この子が一番いいだろう」というところで決まったのが大橋さんなんです。

吉田:
いいんですねとなった理由をあえて言葉にするとどんな感じでしょうか。

谷口:
彼女のベースにある根っこのところに、凛とした意思があるんですよ。なよなよと流されていくのではなく、凛とした意思があるからこそ、もしも泣いたり逃げ惑ったりすることになっても、主役としてそれ以上引く必要のない強さが出ると思うんです。「主役女優」というのは声優さんのなかでも存在していて、たとえば私の作品でいえ桑島法子や雪野五月の芯の強さとか……そういう意味ではゆかなさんであろうと、みんなそうですが、こういう部分がないと主役、作品の頭としてやっていけないです。

凛とした心の強さというのはある種、持って生まれた部分もあるので、そこで一番目立っていたということですかね。

吉田:
大橋さん、今の話を聞いてどうですか?

大橋:
私、普段はなよなよしているので、凛としているといわれて嬉しいです。

吉田:
岡村さんが、可愛くてしょうがない姪っ子のことを見るかのようですね。

岡村:
可愛くてしょうがないですよ、ほんとに。私はオーディションに行かせてもらって、大橋さんご本人のキャラクターも含めてうずめ役にぴったりだなと感じました。

吉田:
大橋さん、今日はこの格好で出てきていますけど、そもそもその格好でテンションが上がっているというところはないですか?

大橋:
ありますね、私はちっちゃいころから制服が大好きで、アニメに出てくる制服とかですごくテンションが上がるのですごく嬉しいです。ニーハイとか大好きです。


吉田:
こう言われた瞬間に、さっきのよだれとかパンツの人たちはフェチ心がグンと来るんですよ。それを頼まずに言ってくれるこの素晴らしさ。この服は私立聖悠学館・中等部という学校の制服で、コスパから商品化企画が進行中らしいですよ。

(会場「おー!!」)

吉田:
みんなが「おーっ」ていうということは着るつもりか?(笑)

作品は7月から放送ということで、まだアフレコは始まってない?

大橋:
まだです。

吉田:
今、どんな風にやろうとか考えていますか?

大橋:
オーディションの時は等身大でのびのびとやったので、特に「こうやろう」というのはないですね。

谷口:
いま、監督と一緒に役者さんに最低限の説明をするための文章とかを準備している段階です。最低限のことを伝えたらそれ以外言わないと思うんですよ。芝居のところで「逆算の芝居」が始まるのがイヤなので。

アナ:
逆算というと、ゴールに合わせていく形ですか?

谷口:
「ここから先の展開はこうなるから、その前はこのくらいで押さえておけばいいよね」「この後はこうなるから、自分はこういう芝居をすればいいよね」というのは、一番つまらない芝居です。お客さんもそれは読み取ってしまうので、できる限りそういう形にならないように情報として整備します。

吉田:
それこそ、うずめちゃんの現し身として大橋さんに演じてもらえると一番いい、ということに?

谷口:
まだ発表はできませんが、周りのキャスティングに関してもきちんとフォローしたり支えてくれたりするキャストさんに交渉中なので、身を委ねてくれればいいかなと。

吉田:
大橋さん、今日は周りの人がこんなにある意味作品のこと、その真ん中に立つ大橋さんのことを考えているということが伝わったのではないかと思いますが、いかがですか。

大橋:
私がうずめちゃんで、本当に嬉しいです。これからのアフレコが楽しみです。

吉田:
これを言った瞬間に谷口さんがめちゃくちゃうれしそうな顔になったのがポイントだと思いますよ。そして、集まっている大きなお友達が全員味方になっているこの感じ。余計な策を弄さなくてもみんな勝手についてきますから。

それではあっという間にお時間ですね。まずは大橋さんから抱負を一言お願いします。

大橋:
今回のファンタジスタドールという作品の主役でやらせていただくということで、まだまだ不安もありますが、そんな不安に負けないように、体当たりで突っ走って全力でうずめちゃんを演じていきたいと思います。皆さん、よろしくお願いします。

(拍手)

吉田:
では最後にみなさんからメッセージをお願いします。

岡村:
7月から放送がスタートしますファンタジスタドール、谷口さん、大橋さんをはじめ、関わっている方にかなり愛されている作品だなという風に思っております。こうやってステージでイベントをやらせていただくのはこの作品では初めてですので、ここにいらっしゃる皆さんに第一号のファンになっていただいて、ぜひオンエアを楽しみにしていただければと思います。ツイッターも更新を始めておりますので、是非フォローなどしていただければと思います。ありがとうございました。

大橋:
今日はこんなにたくさんの方が集まっていただいて、本当にありがとうございます。オリジナル作品なので、うずめちゃんと一緒にこれからストーリーを知っていくのが楽しみです。みなさん、ファンタジスタドールをよろしくお願いします。

谷口:
脚本については「ニャル子さん」などをやっている木村暢くんだったり、「そらのおとしもの」の柿原優子さんと一緒に組み上げているところです。あんまりややこしいことや複雑なことを考えずに、気楽に見られるアニメを作ろうとしていますから、正座で見る必要は必要ありません(笑)。いい意味で気楽に見られる形でやっていきたいと思いますので、ここにいる皆さんも気楽に楽しんでもらえると何よりです。スタッフ一同、がんばって作っていきますので7月の放送をお待ちください。よろしくお願いします。


このトークイベント後、大橋さんはこの衣装で握手会を実施しました。


アニメ「ファンタジスタドール」公式サイトでは大橋さん演じるうずめのキャラクター紹介ボイスが公開されているほか、WEBノベル「ファンタジスタドール お砂糖とスパイスと何か素敵なもので女の子はできている」の連載が行われています。

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in 取材,   アニメ,   ピックアップ, Posted by logc_nt

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