ゴキブリをモチーフにした世界最速の小型ロボット「VELOCIRoACH」誕生

カリフォルニア大学バークレー校のダンカン・ホールデンさんらが、ロボットとしては世界最速クラスというスピードで移動するロボットを開発しました。名前は「VELOCIRoACH」で、ローチという名前が示すとおり、ゴキブリをモチーフとした六本脚のロボットです。

記事中にはゴキブリそのものの写真は出てきません。

SICB - 2013 meeting - Abstract Details
http://www.sicb.org/meetings/2013/schedule/abstractdetails.php?id=376

One Per Cent: Cardboard cockroach ranks among world's fastest robots
http://www.newscientist.com/blogs/onepercent/2013/01/cardboard-cockroach-ranks-amon.html

ホールデンさんは動的なロボットを作る上で、敏捷性に優れており素早く走り回る昆虫であるゴキブリを参考にしました。脚部の質量や強度、動作頻度などのパラメータを詰めていって完成したのが「VELOCIRoACH」です。ちなみに「ロボット」と表現していますが、材料は厚紙(ボール紙)です。

VELOCIRoACHは体長が10cm、重さは30g、2～26Hzの帯域で動作します。ホールデンさんが参考にしたゴキブリは大型のワモンゴキブリ(Periplaneta americana)でしたが、ワモンゴキブリは脚が体に比べて細長いため、ホールデンさんは当初の計画よりもVELOCIRoACHの脚を細く、また不要なものを外していきました。

その結果、驚いたことにVELOCIRoACHは以前よりも速い毎秒2.7mで走れるようになりました。シャカシャカと目にもとまらぬ勢いでVELOCIRoACHが走り回るムービーはコレ。



ダンカンさんが所属しているバイオミメティックミリシステムラボでは、以前から六本脚で高速走行するロボットの研究を行っていて、P. Birkmeyerさんらのチームは「DASH」というロボットを作っています。こちらは毎秒1.5mとVELOCIRoACHに比べれば遅いものの、その開発過程について細かく解説されたムービーが作られており、参考になります。

DASH: Resilient High-Speed 16-gram Hexapedal Robot - YouTube


DASHの大きさは体長10cm、重さが16.2g。六本脚を巧みに回転させて高速移動するゴキブリをモチーフにして作られました。どうやら、六本脚で作るとなるとゴキブリモチーフがベストなようです。

厚紙製なので、一度設計図ができあがってしまえばボディ組み立ては29分、脚まで含めても1時間弱で完成します。

これが背面から見たところ、六本脚が交互に回転しているのがゴキブリっぽいところ。

実際にシャカシャカ走行中

耐久性があるところもゴキブリに似ていて、高いところから落とすとぐにゃっと曲がるものの……

何事もなかったかのように走り出します。恐るべし、厚紙ボディ。

ちなみに、ロボットとして速く走れるということであればボストンダイナミクスのCheetahが有名で、こちらは時速45.5km(秒速12.5m)を記録しています。

Cheetah Robot runs 28.3 mph; a bit faster than Usain Bolt - YouTube


そもそもCheetahとはロボットの大きさが異なっていることから、ホールデンさんは「VELOCIARoACHはこのサイズのロボットとしては世界最速」とコメントしていて、New Scientistは「風のように走るVELOCIRoACH」と表現しています。