砂漠の虫からヒントを得た置いておくだけで空気中から水分を集められる装置
水蒸気として空気中に存在している水分を集めて何も無いように見える場所から水を作り出すという装置がベンチャー企業NBD Nanotechnologiesによって開発されています。
NBD | Home
http://www.nbdnano.com/
この装置はアフリカのナミブ砂漠に生息している「Namib Desert beetle(ナミブ砂漠カブトムシ)」という甲虫が霧の日に空気中の水蒸気を背中で集めてそこから水分を得て生きている、という仕組みにヒントを得たものです。
「Namib Desert beetle」がどんな感じで空気中から水を集めているのか?というのは、以下のBBCのドキュメンタリーを見ると良くわかります。
African beetles beat the heat in the Sahara desert - BBC wildlife - YouTube
一見すると水分などまったく存在していないように見える広大な砂漠。
しかし、空気中には確かに水蒸気が含まれており、霧状になって辺りを漂っている日もあります。
時には草の葉に付着した水が集まり水滴となることも。
このような環境に適応した「Namib Desert beetle」は、霧の日になるとお尻を高く上げ背中で湿った風を受け体の表面に水を集めていきます。
こうすることで小さな虫の体には十分すぎるくらいの水を得ることができました。
そして、この甲虫の姿にヒント得て空気中から水を取り出す装置を作ろうとしているのがNBD Nanotechnologiesです。
ナノスケールの表面加工技術を用いて水分が結露する力を強めることで、砂漠などの乾燥地帯で水を集める方法を確立するというのがこの会社の狙い。
超撥水・超親水性の特製を備えた特殊な素材で水を集めるというのが同社が持つ独自のテクノロジーで、これを活用すれば清潔な水を得ることが難しい発展途上国の人々や軍事作戦に従事する人たちなどに水を得る方法を提供できるそうです。
会社の主なメンバーはボストン大学で生物学の学位を取得したMiguelさんやMITで有機化学の博士課程を学んでいるAndyさんら4人。
同社の技術を使用して表面加工を行った板に水を垂らすと、以下の写真のように水が丸い玉のようになります。
加工前の板(左)と加工済みの板(右)の上に水滴を落として比較してみるとその違いは一目瞭然。
さらに、このプレートを立てた状態で水を垂らすと流れ落ちてしまうことなく表面に水滴を留まらせることが可能となっています。
実際に実験が行われている様子を納めた映像は以下でチェックしてみてください。
NBD Nanotechnologies demo - YouTube
そして、この表面加工技術を応用して同社が開発しようとしているのは、大気中の水を集めて中に水を追加し続けられる装置です。
なお、このアイディアは既にボストン大学のベンチャー・コンペティションで大賞を受賞、CBS Bostonによれば同社は1万ドル(約80万円)の賞金を得てプロトタイプの開発をスタートさせているとのこと。また、別の記事によれば、共同創業者のSorensenさんによる「2014年中に市場に投入したい」というコメントも紹介されており、すでに実用化に向けためどが立っている様子です。というわけで、「NDB nano」は雨が降らず水源もなく、海すらも遠いので脱塩装置で真水を作ることもできない、といったような地域での水不足を緩和する方法として有力な一手となるかもしれません。
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