原子力ミサイル巡洋艦「ロングビーチ」が最低価格1万2000円からの競売に
By Tobyotter
1961年から1995年にかけてアメリカ海軍に所属し、ベトナム戦争や湾岸戦争で活躍した原子力ミサイル巡洋艦「ロングビーチ」が競売にかけられることになりました。軍艦をスクラップとして再利用するオークションはすでに11年の歴史がありますが、原子力ミサイル巡洋艦が出されるのは初のこと。
世界初の原子力ミサイル巡洋艦が競売に、スクラップとして再利用 | 世界のこぼれ話 | Reuters
World's first nuclear cruiser up for auction as scrap - Chicago Tribune
「ロングビーチ」は第二次世界大戦後に設計・建造された巡洋艦で、名前はカリフォルニア州の都市から採られました。
最初からミサイル巡洋艦として作られましたが、ジョン・F・ケネディ大統領の命令で38口径5インチ砲を2基設置。以前の巡洋艦から続く、細長い船体が採用された最後の艦でもあります。艦には2基の原子炉が搭載され、30ノット(56km/h)超での航行が可能。
1961年に就役してから1966年初頭まで大西洋艦隊に配備されました。この間、1964年5月に空母エンタープライズ、ミサイル巡洋艦ベインブリッジとともに第1原子力機動部隊を結成、7月から燃料無補給航海を行うシー・オービット作戦を実施しました。
第1原子力機動部隊。左からベインブリッジ、ロングビーチ、エンタープライズ。
ベトナム戦争中の1966年にはトンキン湾へ派遣されて航空部隊の支援に従事。1967年7月に任務を終えて帰還しますが、1968年に再びトンキン湾へ派遣されました。
ベトナム戦争後は西大西洋とインド洋で任務に従事、途中で改装を受けてトマホーク巡航ミサイルの運用が可能となり、1991年には湾岸戦争で活躍しました。
しかし、湾岸戦争後に国防予算削減のため、すべての原子力ミサイル巡洋艦に搭載されている原子炉の廃炉が決定されました。これを受けて、1994年7月2日にノーフォークの海軍工廠で「ロングビーチ」の非活性化セレモニーが行われて原子炉の燃料棒が抜かれました。一連の作業は1995年冬に終了し、1995年5月1日に退役となりました。
繋留中のロングビーチ
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以後はピュージェット湾の海軍工廠で廃棄のために保管されてきましたが、とうとう売却されることになったというわけ。ロングビーチは建造時に鉄1万トン、アルミニウム450トン、電線300マイルなどが使用されていて、競売には12社ほどが興味を示しています。
入札は現地時間の木曜17時締切。最低競売価格は150ドル(約1万2000円)となっています。
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