物理モデルのガンダムを遺伝的アルゴリズムで歩かせたムービーがすごい
3Dと物理エンジンを使っていろいろな実験を行っているむにむにさんが、「ガンダムを遺伝的アルゴリズムで歩かせた」というムービーをニコニコ動画とYouTubeにアップしています。そもそも遺伝的アルゴリズムというのが何かわからなくても、それを説明してくれるムービーも用意されているので、いったいどれだけすごいことを試行錯誤しているのかがわかるようになっています。
YouTubeでのアカウントは「3D Creature Physics(99munimuni)」という名前になっています。
ガンダムを遺伝的アルゴリズムで歩かせた。walked the Gundam By genetic algorithm - YouTube
すでに物理エンジンでガンダムを歩行させることに成功したむにむにさんが挑戦したのが、遺伝的アルゴリズムで歩行を改善していくということ。
このザクっぽい単純モデルだとたくさんのモデルを同時に動かせるそうですが……
ガンダムは例えば額のアンテナやビームサーベルといった凹凸も物理演算を行っているため、処理が重くなって同時に動かせる数はどうしても少なくなってしまうとのこと。
ということで、この6体のガンダムをPC2台で2週間かけて進化させた、というのがこのムービーです。
最初はぎこちない歩き方で、1歩目を踏み出した時点でばたりと倒れてしまっています。
しかし、2週間かけるとゆっくりと歩けるように。
これが歩けるようになった物理ガンダム Ver0.05。
2週間もあったので、その間に手前に映っている鉄棒の制作ができたそうです。
そもそも「遺伝的アルゴリズムで改善させていく」というのがどういうことかというのは、このムービーが非常にわかりやすい内容となっています。
遺伝的アルゴリズムでブランコの漕ぎ方を学習させた。swing genetic algorithm - YouTube
青い人はむにむにさんが動きを入力したものなので滑らかにブランコを漕いでいますが、赤い人はランダムで立ったり座ったりしているのでなかなかうまく漕げません。
これを遺伝的アルゴリズムでブランコが漕げるようにしていくわけです。このブランコの動きを進化目標として、1周を32分割して遺伝子と1対1対応させていきます。
つまり、遺伝子1つ1つが「立つ(1)」「座る(0)」のいずれかを持ち、最適化された動きを目指して進化していくというわけ。
「BEST GENE 11000110010001111101101000001111」という表記がありますが、この「1」では立ち、「0」では座っているわけです。第1世代では、この組み合わせがもっともブランコをうまく漕げた(振り幅が大きかった)ということになります。
これで世代を重ねていくと、だんだん動きが優秀になっていきます。この実験では22世代目ぐらいまでいくと遺伝子の変化がなくなりました。
改めて、むにむにさんのアルゴリズム(青い人)と、遺伝的アルゴリズム第22世代(赤い人)を比べてみると、赤のほうがヘンな動きをしているものの高くブランコを漕いでいます。
今回のムービーでは遺伝的アルゴリズムで歩かせたわけですが、それ以前には関節の動きなどをすべて入力して物理エンジンで歩かせた実績があります。歩かせるというのがどれだけ大変なことなのかを感じるムービーです。
ガンダムを物理エンジンで歩かせた。made GUNDAM which walks using a physics engine - YouTube
この物理ガンダム、見えている凸凹はすべて物理オブジェクト。
関節はガンプラ並に動くようにしてあり、質量は人に近いバランスにしてあるそうです。
まずは寝返りから。これだけでもかなり大変。
ほふく前進。ずーりずーり。
四つん這い、楽ちんな体勢に見えて実は体のあちこちを駆使してる動き。
そして寝転がったところから立ちあがるガンダム!……こんなポーズで立ち上がるところは見たくありませんが、あお向けから起き上がるとなるとこの姿勢を取らなければムリなようです。
ゆっくり、そろりそろりと立ち上がります。
そしてようやく歩行へ……。
なお、ボツネタで、二足歩行よりも早いものとして紹介されているのがコレ。
物理演算でガンダムに様々なことをやらせる。Physical operation of GUNDAM. - YouTube
背中の摩擦は限りなく低くしてあるそうですが……
手足をぐるぐる回転させて車輪のようにして走っていくのがもっとも早いそうです。
そういえば、実際に乗れるロボット「クラタス」を作っている倉田光吾郎さんも足回りにはタイヤを使っていました。それでも、ロボットの総重量が相当なものになるので、バランス制御が大変そうでした。実際にガンダムと同じサイズのロボットを作ったとして、偶然にも手元に転がってきたマニュアルを見て「これなら!」とは動かすことは難しそう。
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