取材

裸の男たちが凍った川で水を浴び炎の上で叫ぶ「蘇民祭」現地取材~争奪編~


日本随一の奇祭「蘇民祭」ではふんどし姿の男たちが零下の気温の下で氷が張った川に入って身を清め、2メートルを超える高さに積み上げられた燃え盛る薪の上で気勢を上げるといった過激な行事が夜通し行なわれます。前回までの取材記事「突撃編」、「極寒編」、「灼熱編」に次ぐラストは祭りのクライマックスとなる早朝のイベント「蘇民袋争奪戦」の様子をレポートします。

深夜2時頃の会場の様子。この時間帯になるとさすがに人影がまばらです。


ペットボトルに入ったお茶が凍るほどの寒さ。


鐘の音を合図に「祓人」と呼ばれる木の棒を携えた人々が別当(お寺の住職)を囲みながら現れ、本堂に向かいます。


ほら貝や太鼓を叩きながら行列に加わる人も。


これが後ほどの争奪戦の対象になる「蘇民袋」。中には小さな木片でできた護符が入っていて、この護符や袋の破片を持っていると災厄を避けられるという言い伝えがあるため、祭りの参加者が奪い合いを繰り広げるという訳です。


本殿に納められた「蘇民袋」を前にして別当が五穀豊穣の祈願と厄払いを行ないます。


お経を読み上げる様子は以下の動画で見られます。

2012年「蘇民祭」別当登 - YouTube


別当の祈願が終わると撮影用の高台に登る人たちが準備を始めます。


こんな感じでテレビのカメラマンなどが俯瞰での撮影をするために待機しています。ちなみに、GIGAZINE編集部もこの場所での撮影に参加したところ、2時間近く身動きが出来ないまま座っていなければいけないのでダウンジャケットを着込んでカイロを持って防寒をしていても凍えるほどの寒さでした。


午前4時頃になるとふんどし一丁の男たちがやってきて本堂の格子戸に登り始めます。この行事では「蘇民袋」と呼ばれる麻袋を奪い合い、最後に袋の締め口の下にあたる「首」の部分を握っている人が「取主」と呼ばれる栄誉と賞品を得られるため、それぞれが作戦を立てて場所取りをします。


最初に本堂に入れば争奪戦で有利になる訳ではなく、あえて格子戸に登らない作戦の人もいるので15分ほどかけて徐々に人が増えて行きます。


格子戸の上から「ジャッソー、ジョヤサ!」のかけ声を叫んでいます。


この場所に留まるだけでもかなり体力を消耗するようですが、腕を振り上げながら気勢を上げています。


本堂の中は祭りの参加者や報道陣、アマチュアカメラマンに参加者などが集まり大混雑。


別当が本堂に現れて、縁起物とされる十二支の形に作った餅を見物人に向かってまきます。


次に「鬼子登」と呼ばれるお参りのために7歳の男の子二人が男たちに背負われた状態で現れ、炎の上を回って行きます。

2012年「蘇民祭」鬼子登 - YouTube


最後に「蘇民袋」が会場に持ち込まれ「刀入れ」と呼ばれる儀式によって切り裂かれると争奪戦が始まります。


袋をめがけて手を伸ばす男たちによる壮絶な「押しくらまんじゅう」状態に。


袋の奪い合いで持ち主が替わるとそれにあわせて人の塊がドドドッと右往左往します。


袋の中に納められている「護符」も縁起物なので中身がまかれると我先にと手を伸ばして新たな争奪戦が始まります。


見物人も巻き込んで押し合いへし合い。


ものすごい密着度合いです。


格子戸の上で待ち構えていてダイビングアタックを仕掛ける人もいます。


30分ほど本堂の中で揉み合いが続いた後は、境内の外に出て争奪戦が継続。


本堂の中で繰り広げられた争奪戦の様子は以下の動画でチェックしてみて下さい。

2012年「蘇民祭」蘇民袋争奪戦-1 - YouTube


一般道を移動しながら「蘇民袋」の奪い合いは続きます。


周囲には救急車、消防車、パトカーがスタンバイするものものしい雰囲気。


安全のためひもで作った枠の中に入り揉み合いが続きます。


必死の形相で袋に手を伸ばす人たち。


道路脇の田んぼになだれこみつつ勝負は継続。


この時点で袋を握っていた数人の根性比べになるので、最後の奪い合いに関われなかった人は見物モード。


手に入れた「護符」をくわえて勝負の行方を見守る参加者。


重なりあって倒れたまま袋を握って離さないので「親方」や祭りの世話人たちが介入して勝者である「取主」の判定を行ないます。


田んぼに入ってから「取主」を決める流れは以下の動画で見られます。

2012年「蘇民祭」蘇民袋争奪戦-2 - YouTube


今年の「取主」は地元の奥州市水沢区に住む北条守康さん50歳。


手にしているのは争奪戦の判定後に渡された「取主」であることを示す札。


商品として米1俵が贈られました。


胴上げで祝福を受ける「取主」の北条さん。


奥州市の商業観光課に確認したところ、次回2013年の「蘇民祭」は2月16日夜から17日早朝にかけて開催される予定です。

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裸の男たちが極寒の中で水を浴び炎の上で叫ぶ「蘇民祭」現地取材~突撃編~ - GIGAZINE



裸の男たちが凍った川で水を浴び炎の上で叫ぶ「蘇民祭」現地取材~極寒編~ - GIGAZINE



裸の男たちが凍った川で水を浴び炎の上で叫ぶ「蘇民祭」現地取材~灼熱編~ - GIGAZINE


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in 取材,   動画, Posted by darkhorse_log

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