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日本初の遊園地誕生から100年、日本のテーマパーク・遊園地産業のあゆみ

by Mohammad Bahareth

日本初の遊園地「宝塚新温泉」が誕生してから、今年で100年になります。第二次大戦を挟み、戦後の復興期、バブル期を経て現在に至る、日本テーマパークの100年の歴史をまとめてみました。

◆宝塚新温泉の誕生


1897年に阪鶴鉄道(現在のJR宝塚線)、1910年に箕面有馬電気軌道株式会社(現在の阪急電鉄)が設立。宝塚温泉はこれらの電車が走り出してから、急速な発展を遂げました。1911年、「宝塚新温泉」として大理石造りの大浴場を設け、近代的な娯楽場が発足。これが日本の遊園地の先駆けとされています。

このほか、明治・大正期の遊園地として、1912年に大阪の「ひらかたパーク」、1922年に東京の「あらかわ遊園」、1926年に「豊島園(現・としまえん) 」などが開設されました。いずれも現在にまで生き残っている遊園地です。

◆鉄道会社による駅前開発


1920年の「スカイランドいこま」開業から、終戦後の1950年代まで、遊園地の新設は一時断絶します。やがて復興のきざしが見え始めた頃、1950年に「西武園ゆうえんち」「甲子園阪神パーク」が開業しました。

1955年は経済白書に「もう戦後ではない」という言葉が書かれ、流行語にもなった年で、ここから大型の遊園地の開設ラッシュが60年代、70年代と続きます。現在にも残る「後楽園遊園地(現東京ドームシティアトラクションズ)」「富士急ハイランド」「常磐ハワイアンセンター(現スパリゾートハワイアンズ)」もこの時期に開設されました。


しかし、この時期に開設された遊園地は閉園されたものも多く、55年以降75年までに開設された主な遊園地で閉園となったものは以下の通り。

・55年 大阪「さやま遊園」→2000年4月閉園
・60年 栃木「小山ゆうえんち」→2005年3月閉園
・61年 奈良「奈良ドリームランド」→2006年8月閉園
・64年 京都「伏見桃山城キャッスルランド」→2003年1月閉園、運動公園に
・64年 神奈川「横浜ドリームランド」→2002年2月閉園、公園・霊園に
・72年 大阪「エキスポランド」→2009年閉園
・74年 栃木「ウェスタン村」→2007年2月閉園
・74年 静岡「小田急御殿場ファミリーランド」→1999年9月閉園、御殿場プレミアム・アウトレットに
・75年 沖縄「沖縄エキスポランド」→2000年3月閉園

ちなみに、日本のテーマパークの元祖と言われる「明治村」も1965年に開設されています。

◆東京ディズニーランド開業

by Lin1000.tw

1983年「東京ディズニーランド」「長崎オランダ村」が開業しました。東京ディズニーランドの成功により、ここからテーマパークの設立ラッシュが起こります。ここでも大量のテーマパークが建設され、閉園となっていきました。この時期に建設された主なテーマパークで閉園、もしくは経営不振に陥ったものは以下の通り。

・83年 長崎「長崎オランダ村」→2001年10月閉園、キャスビレッジに変わりますが、これも2005年10月に閉園。
・89年 北海道「グリュック王国」→2007年2月閉園
・90年 北海道「カナディアンワールド」→1997年10月閉園、市営公園に
・90年 東京「東京セサミプレイス」→2006年12月閉園
・92年 広島「呉ポートピアランド」→1998年閉園、市民公園に
・93年 長崎「ハウステンボス」→2003年会社更生法適用申請
・93年 新潟「新潟ロシア村」→2003年11月閉園
・95年 福岡「ネイブルランド」→1998年12月閉園
・95年 神奈川「鎌倉シネマワード」→1998年12月閉園
・96年 石川「加賀百万石時代村」→2006年1月閉園
・96年 新潟「柏崎トルコ文化村」→2004年9月閉園
・97年 大阪「フェスティバルゲート」→2004年9月閉園
・97年 岡山「倉敷チボリ公園」→2008年12月閉園
・97年 山梨「富士ガリバー王国」→2001年10月閉園

◆1987年 改正リゾート法(総合保養地域整備法)

こうした建設ラッシュを推し進めた要因のひとつとして、改正リゾート法と呼ばれる「総合保養地域整備法」が挙げられます。この法律は1987年に制定されました。

内容としては、国の承認を受けた計画に基づいたリゾート施設建設において、税制上の支援や政府系金融機関の融資などの優遇措置が得られるというもので、ほとんどの都道府県がリゾート施設建設に手を挙げました。しかし、需要を無視した計画や、開発メニューがあまりに画一的であったことなどにより、宮崎の「シーガイア」などのような失敗例を残しました。

◆「東京ディズニーシー」「USJ」開設、東西二強時代へ

2001年、「東京ディズニーシー」「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」が開業します。USJは開業初年度から、東京ディズニーランド開業時と同様の集客を示し、「東の東京ディズニーランド、西のUSJ」という地位を確立しました。

しかし、この二大巨頭の出現により、バブル崩壊後ただでさえ逼迫していた地方のテーマパークはさらに客足が奪われる結果となり、2000年代にはさらなる淘汰が進みました。

◆ニッチ市場での成功、キッザニアの戦略


この中で、特異な成功を見せているのが「キッザニア」です。「子供向けの職業体験型テーマパーク」という業態で、就学前~小学生程度を対象に、主要な80職種の模擬体験ができるようになっています。大人は、基本的に各パビリオンにはいることができず、外から見学したり保護者ラウンジで待機します。

朝日新聞社や出光興産、統合警備保障(ALSOK)などがスポンサー企業となっており、これらの企業はキッザニア内にパビリオンを出展しています。キッザニア東京は2007年に入場者数97万人を記録し、本国メキシコと並ぶ規模のテーマパークとなりました。

このように日本の遊園地・テーマパークの100年は、建設ラッシュを経て、強力なコンテンツと設備投資によって集客力を維持できるところが生き残るという、淘汰の歴史でした。右肩上がりの経済発展が期待出来ない今後の日本市場において、「キッザニア」のような新たなコンセプトの模索が求められています。

◆参考文献
「新・日本のテーマパーク研究」著:奥野一生 刊:竹林館
「テーマパーク産業論」著:中島恵 刊:三恵社

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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