井伊家の武家としての象徴、赤色で揃えられた甲冑「赤備」を着用してみた
10月15日に映画「一命」が公開となります。映画の舞台となっているのは江戸時代初頭、あちこちで食い詰めた浪人たちが大名屋敷にやってきては「庭先で切腹したい」と申出、面倒を避けたい屋敷のものが金子を与えるという「狂言切腹」が大流行していて、名門・井伊家にも同じように一人の浪人が「庭先をお借りしたい」と申し出てきたことからストーリーは始まります。
武士としての面目とは何か、武士道とは何なのかを突いた作品であり、そこに印象的に登場するのが井伊家の武士としての象徴である「赤備」です。前述の通り、すでに戦国時代が終わりを迎えているため、この赤備を身につけた武士が戦場を駆け巡る映画ではありませんが、本作では重要なアイテムとして登場する赤備を実際に甲冑を作っている丸武産業に依頼して製作したとのこと。
なんと、この甲冑が松竹大阪支社にあり、実際に着用しても良いとのことだったので、行って着用してきました。
応接室の隅に置かれていた赤備。映画撮影の終了後は倉庫に入れられていたそうなのですが、「それじゃもったいない」という意見が出たことで、井伊家ゆかりの彦根城などでの展示が行われ、今は松竹に戻ってきていたというわけです。
さっそく籠手に手を通していきます。
手先は親指と中指を通す輪があり、手首をしっかりとひもで固定。
これで左腕が完成。
同様に右腕も装着していきます。もちろん、一人で着ることはできません。
右と左の籠手の付け根にはひもがついており、左右が離れないように固定。
鎧本体はパーツが前後に分かれ、体を挟み込むように装着したあと、体の横にあるひもを留めて完成。
これで上半身は完成……かと思いきや。
肩部分の小鰭の取り付けがまだでした。
ここもしっかりひもで固定。
臑当を装着し……
佩楯をつけて……
衣装箱の上に座ってみました。ちなみに劇中でもこの赤備は衣装箱の上にあります。
コレが兜。額には家紋が入っています。
そして威圧感のある面。
これを装備して、全身完成。
ちなみに、兜についているツノの長さが相当なものなため、このまま立ち上がると天井にぶつかるという状態。
ここを通りかかった人は一瞬置物かと思っていたようですが、人が入っています。
肌の露出が非常に少ないため、そうと知らなければ撮影に使われた鎧セットがまたここで組み立てられたのか、と思ってもしょうがないのかもしれません。
「一命」ポスターとともに撮影。
せっかくなので、赤備を着用したまま仕事をしてみました。
ぬぐいきれない違和感。
さらにちょっと外へ出てみることに。エレベーターの中に人がいたらどうするつもりだったのか……。
松竹大阪ビルディング前にて。
あまりうろうろすると不審者なので、すぐに引き上げてきました。
「一命」では場面転換時、そして井伊屋敷内で象徴的にこの赤備が登場します。映画を観るとその存在感の大きさを感じると思いますが、撮影時にはその雰囲気が出るよう、実際に役者さんが着用して衣装箱に座っていたそうです。
映画「一命」の公開は10月15日から。市川海老蔵さんの目を存分に活かした演技など、見応えはたっぷりです。
◆スタッフ/キャスト
監督:三池崇史
脚本:山岸きくみ
音楽:坂本龍一
配給:松竹
津雲半四郎:市川海老蔵
千々岩求女:瑛太
美穂:満島ひかり
斎藤勧解由:役所広司
田尻:竹中直人
沢潟彦九郎:青木崇高
松崎隼人:新井浩文
川辺右馬助:波岡一喜
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