Instagram・Facebookでは露骨なポルノを含む迷惑詐欺広告が数多く表示されている、一方でMetaはポルノと関係のない投稿まで「ポリシー違反」として削除している

Metaは自社の広告ポリシーで「広告には成人のヌードや性的行為に関するコンテンツを使用してはなりません。これには、ヌード、露骨なまたは性的に挑発的な姿勢をとっている人の描写、性的に挑発的な行為などが含まれます」と記載しています。しかし、このポリシーに違反する広告がInstagramやFacebook、Threads上に数多く掲載されていることが指摘されています。その一方で、ポリシーに違反しない記事や画像がFacebook上などで削除されていることを海外メディアの404Mediaが伝えています。

Facebook Is Censoring 404Media Stories About Facebook's Censorship
https://www.404media.co/facebook-is-censoring-404-media-stories-about-facebooks-censorship/

アルゴリズム監査会社のAI Forensicsは2025年1月8日に、MetaのSNS上でのポルノ広告に関する実態を報告しました。公開されたレポートでは、2024年の1年間で露骨なアダルトコンテンツを含む3000以上のポルノ広告が承認され、Meta Advertisementを通じて公開されていたことが報告されています。

AI Forensicsによると、こうしたポルノ広告では効果が疑わしい性的強化製品を宣伝するために音声や画像、動画が用いられていたほか、著名人のディープフェイクなど、AIが生成したメディアも使用されていたとのこと。また、EU圏内だけで年間800万回以上のインプレッションを生み出したことも明らかになっています。

さらにAI Forensicsは掲載中のポルノ広告と全く同じコンテンツをInstagramやFacebookに投稿しました。すると、Metaはコミュニティ基準違反を理由にこの投稿を削除。AI Forensicsは「Metaがポルノコンテンツを自動的に検出する技術を持っているにもかかわらず、広告にはそれを適用していないことを示唆しています。これは一時的なバグではなく、少なくとも2023年12月から続いています」と指摘しました。

また、性的なコンテンツを含まない投稿が性的と判断されて削除される事例も存在しており、海外メディアの404Mediaは「1本の記事が性的と判断された結果、無関係な記事も性的なコンテンツとして規制されることとなった」と報告しています。

404Mediaは2024年10月31日に、アーティストのAda Ada Ada氏が進める、女性ホルモンを服用する自身の裸の写真を毎週撮影してInstagramにアップロードし、次第に女性化する写真のうちどの時点でInstagramは「コミュニティガイドラインに違反」として画像を削除するのか検証する「in transitu」に関する記事を投稿しました。

ただちに404Mediaはこの記事をFacebookで共有しましたが、Facebookは404Mediaの公式アカウントに対し「ヌードや性行為に関するコミュニティ規定に違反しているため、あなたの写真を削除しました」と通達しました。また、404Mediaの共同設立者であるジェイソン・ケブラー氏が自身の個人Threadsアカウントで同記事を共有したところ、同様の理由から投稿が削除されました。

投稿の削除をきっかけにFacebookはヌードや性行為に関係しない404Mediaの投稿までも削除するようになりました。実際に「サイバーストーキングによってFBIに起訴された男性」「自然災害に関する偽の画像をAIが生成している」などの記事を404Mediaが共有した際には、Facebookはこれらの記事やページ全般を閲覧できるユーザーを制限しました。

また、一部のコンテンツは「ヌードや性行為を含む」として削除されています。

404Mediaによると、これらの記事や記事中に含まれる画像には、Facebookのポリシーに違反しているものは1つもなかったとのこと。そこで404MediaはFacebookに対して異議申し立てを行いました。しかし、一部を除きその多くが認められることはありませんでした。

404Mediaは「私たちのジャーナリズムがポルノや有害なコンテンツとして削除されている一方で、MetaのSNS上でアダルトコンテンツを含む広告主からお金を受け取って合意のないコンテンツを作成したり、ユーザーをだましたりする目的で広告が掲載されているのを見ると、非常に腹立たしく思います」と批判しました。