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「アーマード・コアV」PS3版クローズドベータ終了、革新的なロボゲーの予感


1997年の登場以来、「自分で組み上げたロボットを操作して戦う」というコンセプトと、その妥協の無い作り込みで根強い人気を誇り続ける「アーマード・コア」シリーズの新作、「アーマード・コアV」のクローズドベータテストが行われました。

今回のアーマード・コアは、オンラインで複数人がチームを組み、ほかのチームと領地を奪い合うというマルチプレイ要素が追加され、そのゲーム性を大きく広げています。そこで、クローズドベータで体験できたゲームの内容を踏まえ、新しいアーマード・コアがどんなゲームになっているのかについてお伝えします。

◆アーマード・コアとは?


アーマード・コアは、フロム・ソフトウェアが開発したロボットアクションゲームで、500種類以上にも及ぶパーツを組み合わせて自分のロボット「AC」を作り、それに乗ってさまざまなミッションをこなすというコンセプトのシリーズです。

ガレージに置かれたAC。無骨なのになぜかスタイリッシュさを感じさせるメカデザインも、アーマード・コアの魅力です。下のグラフィックはムービーシーンのキャプチャかと思えるほど美麗に仕上がっていますが、これはアセンブル(機体組み立て)時の自機確認画面で、クローズドベータでもこのシーンで自機を回転させて外観を確認することができました。


アーマード・コアでは、頭部、脚部、腕部、コア、ブーストなどの各パーツを収集して組み合わせ、自分の機体を作ります。自分でロボットを作って操作するゲームはほかにもありますが、パーツの種類とそれによって実現できる機体性能の多様さにおいてアーマード・コアは群を抜いており、10年以上にわたってファンを魅了し続けるシリーズとなっています。なお、Vではなんと500種類以上のパーツが登場する予定。


◆アーマード・コアVはオンラインがアツイ


アーマード・コア4では、オンラインで最大8人による対戦が可能でしたが、Vではオンライン要素がさらに強化され、プレイヤーはオンラインでつながった他のプレイヤーたちとチームを組み、チームごとに領地を持って、陣取り合戦のように領地を奪い合います。

既存のチームに入隊申請を行うか、自分で新たにチームを作ることで、チームに入ることができます。


チームは入隊をメンバーによる承認制にしたり、限定されたメンバーのみのクローズドなチームにするなど、入隊管理が可能。


侵攻する領地の選択。他のチームの領地に侵攻して領地を奪ったり、防衛戦を行って他のチームからの攻撃を防いだりして、領地の争奪戦を行います。


これまでのシリーズでは、さまざまなミッションや敵のタイプに対応するため、自由とは言っても機体にはある程度の汎用性を持たせる必要がありましたが、チームでの戦いとなったことにより、さらに個性の際立った機体が活躍できるようになりそうです。

◆新要素「壁蹴り(ブーストドライブ)」を使った超高速戦闘、操作もシンプルに


ブーストを駆使した超高速戦闘は、アーマード・コアの重要な魅力のひとつでもありますが、シリーズをプレイしたことが無い人に対しては「アーマード・コアは操作が難しい」というイメージを与えてしまう要素だったかも知れません。

しかし実際にVのクローズドベータをプレイしてみると、今作ではかなり直感的な操作が可能になっているようです。特に、これまでのシリーズには無かった壁を蹴って高速移動するアクション「ブーストドライブ」は、見た目も操作もシンプルで、初めてアーマード・コアをプレイする人でも高速戦闘を楽しめる、革新的な要素となりそうな可能性を感じさせます。

Vの特徴として、AC自体のサイズの設定も従来の10m程度から5m程度と小さくなっており、自機よりも立ち並ぶビルのほうが大きくなっています。ジャンプと通常のブーストで上昇できる高度も制限されており、ビルの上に登るためには、壁を蹴ったりして登る必要があります。


上昇できる高さの制限は、初心者の参入のハードルを下げる効果もありそうです。これまでのシリーズでは、空中にフワフワと浮きながら、ブーストのエネルギー残量を計りつつ、テクニカルな操作でミサイルをかわす必要がありましたが、これは初心者にとって大きなハードルでもありました。

しかし、今作は機体自体のサイズが小さくなったことから、小さなビルでも後ろに隠れるだけで敵弾を防げたりするため、ビルや高台などの地形の重要性が極めて大きくなっており、複雑なブースト操作よりも「いかに有利な地形で戦うか」という戦略が重視されるようになりそうです。

ブーストドライブで壁を蹴って高く上昇し、上から敵砲台を強襲するAC。チーム戦では指定された砲台やヘリなどをすべて破壊することで勝敗が決着するようになっているため、必ずしもすべての敵ACと戦う必要はありませんが、砲台の発射する弾の威力が尋常ではないほど強化されており、軽量タイプの機体だと、一撃食らっただけで瀕死の重傷を負ってしまいます。それだけに、安全な角度や位置から砲台を攻撃する戦略やテクニックが極めて重要になってきそうです。


さらに今作では新たに「キック」ができるようになりました。これまでのシリーズでは、接近しての格闘を行うためにはどちらかの腕に「ブレード」などを装備する必要がありましたが、今作では両手に銃を持っていても接近戦が可能です。


◆さまざまな機体特性


アーマード・コアの最大の魅力はその豊富なパーツにあると言ってもよいほどパーツの種類は充実していますが、パーツごとの特性がゲーム中にはっきりと表れるのも、アセンブル(組み立て)の面白さを格別なものにしている要因です。

頭部パーツのデザイン。頭部パーツは外部の情報を分析する機能が集約されており、ロック機能などに影響を与え、接近戦に向いたパーツや狙撃に向いたパーツなどがあります。


アーマード・コアでは、脚部パーツが極めて重要な役割を果たすため、ACを指して「あの逆足が」「あのタンクが」など、しばしば脚部の種類でACの種類が大別されます。脚部には「二脚」「逆関節」「タンク」「四脚」の4種があります。

二脚タイプは、積載可能なパーツ重量によって軽量、中量、重量に区別され、軽量は積載可能なパーツの総重量は少ないもののスピードが速く、重量は動きが遅くなりますが多くのパーツを搭載できます。下のデザイン画は二脚の中量タイプのため、「中量二脚」と表現されています。


これは重量二脚タイプ。


逆関節タイプは、二脚タイプに比べて装甲が薄く、積載量も多くありませんが、ジャンプ力に優れます。特にアーマード・コアVでは、ジャンプが極めて重要な要素となっており、高台に登るには壁を蹴って登っていかなくてはならない他のタイプに対し、高いジャンプ力で素早く高所に陣取る事ができる逆関節の活躍の場は広くなりそうです。


タンクは分厚い装甲と極めて高い積載量が特徴。動きは遅いものの、構えモーション無しで大威力のキャノン砲を撃てるなどの強みを持っており、拠点の防衛戦には必須とも言える存在になりそうです。今作では武器の威力にも幅があり、2~3発でACを撃墜できてしまうような威力の武器も用意されています。実際にクローズドベータでも、トンネルを抜けた瞬間にタンクの砲撃に撃ち落とされるというシーンに何度も出会いました。なお、今作では歩くとキャタピラが回ります。


四脚タイプは非常に安定性が高く、射撃の精度やリロードが向上するので、重火器での狙撃に向いており、高所に隠れて、砲台のように狙撃する戦いが可能です。今作では狙撃時に地面にアンカーを打ち込むなどの特殊なギミックが用意されており、その特徴的なフォルムから、シリーズを通して根強い人気を誇るタイプです。


キャノン系の武器を装着すると、タンク以外のタイプは発射時に「構え射撃」になります。


構え射撃モードでは、視点が切り替わってズームアップし、より正確な射撃ができるようになります。クローズドベータではステージがあまり広くなかったため、効果的な狙撃は難しかったのですが、四脚タイプの安定性が際立っており、四脚で高所に陣取って十分な距離を確保すれば、かなり当てることができました。


今作のブレードは、機体の前方から横に炎が出るようなイメージで攻撃します。クローズドベータで使用した感覚では、攻撃範囲が広く、かなり当てやすくなっている上、攻撃力もだいぶ強力です。両手にブレードを装備すると、クロス斬りのようなモーションで超強力な攻撃を繰り出すことも可能。


なお、今作では肩部に「ハンガーユニット」として武器を装備しておき、状況に応じて左右の腕に持った武器と持ち替えて使用することができます。これにより、さまざまな武器を装備しておき、敵の属性を見抜いて効果的な武器を使用するという戦術を取ることも可能です。


◆武器の属性


Vでは武器に属性が付与されています。パーツによって、実弾に強いかわりに化学弾に弱いなど、弱点の概念が導入されています。武器の属性は以下の3種類。

・KE(Kinetic Energy):物理的な衝撃を利用した武器。実弾を使用する。
・CE(Chemical Energy):化学反応によって生じるエネルギーを利用した武器。化学弾を使用する。
・TE(Thermal Energy):熱エネルギーを利用した武器。光学弾を使用する。

下の武器は実弾兵器。一番上の「攻撃力」の項目に「KE」と表示されています。


クローズドベータでの感覚では、属性の影響はかなり大きく、攻撃力の高い実弾兵器でもなかなかダメージの通らない相手も、光学弾を使うことであっさりと破壊できるなどの顕著な違いが感じられました。これにより、相手の武器によって機体の強さは相対化されるため、「ベストなアセンブル」というものが存在しなくなり、チームの組み方にも工夫の余地が大きくなっています。

「バトルライフル」はCE属性(化学弾)の武器。距離による威力減衰が少なく、KE属性(実弾)が効きにくい相手にも効果を発揮します。


TE属性(光学弾)のうち、一部の武器はチャージショットが可能。武器の種類によって多彩な戦法が可能です。


◆領地の整備


Vのチーム戦では、敵マップへの侵攻時の勝利条件は、敵ACの破壊ではなく、制限時間内に指定された砲台やヘリなどのターゲットの破壊することとなるため、侵攻側は積極的に攻めかかる必要があり、防衛側は逃げ回っていると砲台が破壊されてしまいます。

チームの領地には砲台などの防衛施設を設置することが可能で、これにより防衛戦を有利に進めることができるようになります。下の画像は砲台等設置前の領地。


要所に砲台を配置。


砲台を設置した領地。クローズドベータでは領地のカスタマイズは出来ませんでしたが、砲台による攻撃の威力は極めて強力なので、ひとつ砲台が増えるだけでも十分なプレッシャーになるだろうと想像できます。


◆チーム対戦ではプレイヤー同士の連携が重要


Vでは武器の威力が高くなっていることもあり、複数のACから集中砲火を浴びると一瞬で自機が撃沈してしまうことも少なくありません。こうした状況を回避するために必要なのが、チームで連携し、いかに有利な状況を作り出すかという点。対戦時にはAC4機に加え、オペレ―ターが1人参加可能となっています。

オペレーターは戦場全体の状況を把握しつつ、味方に的確な指示を与える役割を担っており、索敵可能な「RECON」をマップ上に打ち込み、敵がどの位置にいるかを把握することができます。


同じチームのプレイヤー同士はボイスチャットが可能で、クローズドベータをプレイした印象では、ボイスチャットが有れば、敵の集結している地点への突入タイミングを合わせて前後から挟撃するなどの作戦も可能で、驚くほど有利に戦うことができます。

オペレーターは戦場の状況や自軍の各機が現在どのような状態にあるのかをリアルタイムに把握することが可能。うまくオペレーターが機能すれば、さまざまな戦術を駆使することが可能になります。


オペレーターはマーカーを打ち込むことで、声を介さなくてもメンバーに指示を与えることができますが、クローズドベータではまだプレイヤーたちが慣れていないため、指示がうまく伝わらないこともしばしばありました。


シンボルチャットなどの機能はクローズドベータでは実装されていませんでしたが、プレイ中と待機中の声を介さないコミュニケーション手段をもう少し増やしてもらえると、1人でのプレイでも不利を感じずに済むのではないかという印象を受けました。

◆ストーリーミッションはよりスムーズな進行が可能に


今回のクローズドベータでは、ストーリーミッションを1つだけプレイすることができましたが、これまでのアーマード・コアシリーズに比べて、キャラクターのセリフが格段に多くなっており、登場するキャラクターの数自体も増えている印象です。


これまでのシリーズでは、あまりにマップが広いためにどこに行ったらいいのか分からなくなることもしばしばありましたが、目的地が指定された場合はガイドが示されるため、かなりスムーズにストーリーが進んでゆく印象を受けました。


なお、今作ではミッション中に特定のポイントで武装の換装を行うことが出来るようになっています。これまでのシリーズでは、ミッションを開始してから「このマップはこの武装じゃ無理だ」と諦めて一度リタイヤすることも少なくなかったのですが、今作ではこうした足踏みも少なくなるかも。換装時には仲間がヘリで降りてきてくれます。


今回のクローズドベータは体験版という扱いではなく、開発段階のゲームの試験運用に一般ユーザーが参加するという形だったため、ミッション中の画面はすべて暫定的なもので、プレイムービーなどをここに掲載することは出来ませんが、上に画像で掲載しているようなACたちが超高速でグリグリと動き回っていました。

クローズドベータでは細部にまだ荒削りな部分も目立ちましたが、革新的なロボットアクションゲームになりそうな雰囲気を十分に感じさせる内容で、クローズドベータをプレイしたテスターたちにとっては、10月の発売が待ち遠しくてたまらなくなっているのではないでしょうか。


「アーマード・コアV」は7800円(税込)、2011年10月20日(火)発売予定です。

アーマード・コアV公式サイト

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in レビュー,   ゲーム, Posted by darkhorse_log

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