不老不死の霊薬「エリクサー」が現実のものになる可能性が浮上
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「エリクサー」と聞くとFINAL FANTASYシリーズに登場する回復アイテムを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、その元ネタは錬金術における不老不死の薬。不老不死というのはあくまで伝承に過ぎなかったのですが、細胞の老化を逆行させることのできる薬品が開発されたことで、本物の「エリクサー」を生み出される可能性が浮上してきました。
The forever young drug: Scientists make sick and ageing cells healthy again | Mail Online
米国政府の健康研究所に所属し、ヒトゲノムを解読したCollins博士は、全身の老化が異常に進行する早老症疾患で、12歳までに老衰により命を落としてしまうことの多いハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群の子どもたち3人の皮膚細胞を用いて「rapamycin」という薬品の効果を確かめるために実験を行いました。世界的に有名な科学者であるFrancis Collins氏を含むアメリカの研究者チームは、今回の発見がこの病気の新たな治療法を確立することを期待しています。
この病がどれほど深刻なものかというのは、Hayley Okinesさんの例を見ると分かりやすいかもしれません。健常者の8倍の速度で老化が進行しているために、12歳ごろにはおよそ96歳に相当する老化が進行してしまっており、身体的に寿命を迎えてしまうのではないかと危ぶまれていました。しかし今年1月に13歳の誕生日を迎えることができたため、各方面から注目が集まっています。
ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群の患者の体内では、突然変異した有毒なタンパク質「progerin」が体中すべての細胞で増殖するために、急速な老化が引き起こされます。患者に対して「rapamycin」を投与したところ、その有毒なタンパク質を細胞から追いやって、細胞を正常な状態にすることに成功。しかも、細胞自体の寿命も延びたということが「The journal Science Translational Medicine」誌上にて発表されました。
ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群の症状と一般的なヒトの老化プロセスにはいくつか共通項があることが知られています。患者と比べれば微量ながらも、健常者の体内にも有毒なタンパク質「progerin」は存在し、老化を引き起こす物質の1つと考えられているため、「rapamycin」を使えば老化を食い止めることができ、寿命を延ばすことができる可能性も浮上しています。
ここまでの話からすると「rapamycin」は奇跡の新薬のように聞こえますが、すでに臓器移植の際に免疫系の働きを抑えるために使われていて、イースター島の土壌から見つかったバクテリアから作られているものです。まずは病気の治療という用途にて開発が進められていくものと思われますが、今後一般向けの利用についても研究が進められ、老化を食い止めることのできる薬が登場するのかもしれません。
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