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デジタル社会において「デジタル眼精疲労」から目を守る方法とは?


普段の生活や仕事、趣味などでスマートフォンやPCのスクリーンを見続けている人は多いはず。そのような人たちが悩まされがちなのが「デジタル眼精疲労」です。イギリスのプリマス大学で目の疾患に関する研究をしているダニエラ・オーリング氏が、デジタル眼精疲労の症状とそこから身を守る方法を解説しています。

How to protect your eyes in the digital age – expert in eye and vision science
https://theconversation.com/how-to-protect-your-eyes-in-the-digital-age-expert-in-eye-and-vision-science-252280


2018年の論文では、コンピューター使用者の50%以上がさまざまな眼および視覚の症状を抱えているため、デジタル眼精疲労は「コンピューター視覚症候群」とも呼ばれています。症状としては目の乾燥、涙目、かゆみ、熱感、かすみ目、さらには複視などを特徴としており、単に目に違和感があるという問題ではなく、生活の質や生産性に重大な影響を与える可能性のある慢性的な問題として考えられています。

デジタル眼精疲労の傾向は、新型コロナウイルスのパンデミックにより著しく悪化したことが示されています。2020年の研究では、オンライン授業の学生688人、オンライン授業の教師45人、一般人口208人からの941件の回答を分析したオンライン調査が実施されました。結果として、デジタル眼精疲労の有病率はオンライン授業を受ける学生で50.6%、一般の人々で33.2%と大きく開きがあり、またパンデミックによってスクリーンタイムが大きく増加したことから、デジタル眼精疲労の悪化が警告されています。

オーリング氏によると、デジタル眼精疲労の原因としてはまず、ディスプレイに焦点を合わせたときの「まばたきの回数」が減ることにあるとのこと。また、近くの対象に長時間焦点を合わせ続けるために目が疲れて、軽い刺激から慢性的な乾燥まで、一連の眼の問題を引き起こします。デジタル眼精疲労の症状は多くの場合潜行性で、目の疲れやかすみ目などのわかりやすい症状から、頭痛や首の痛みなどの目から離れた症状までさまざまです。


デジタル眼精疲労の原因としてよく指摘されるのは、ディスプレイが発する「ブルーライト」です。しかしオーリング氏によると、ブルーライトは目の疲労を招き睡眠パターンを乱す可能性はありますが、永久的な目の損傷を引き起こすデジタル眼精疲労の主な原因ではないそうです。デジタル眼精疲労の決定的な原因は、人間工学的に不適切な作業、長時間の近距離作業、まばたきの減少にあります。

デジタル眼精疲労から身を守る方法として、オーリング氏は「20-20-20ルール」を挙げています。​「20-20-20ルール」は、アメリカの検眼医であるジェフリー・アンセル氏が1991年頃に提唱したコンピューター使用による視覚的ストレスを軽減する方法で、「20分ごとに、20フィート(約6メートル)先を、20秒間見る」というものです。アンセル氏は1998年に「Visual Ergonomics in the Workplace(職場における視覚人間工学)」という書籍を出版しており、本の中で示された目のケアのためにできる環境的、物理的、視覚的な改善の多くは、多くの眼科専門家や健康機関が推奨するものになっています。


スクリーン使用中に目を疲労させすぎないためには、環境を整えることが重要です。適切な照明、十分な湿度、良好な空気の質は、目の健康に大きく影響します。そのほか、首の負担を軽減するために画面を目の高さより少し下に配置したり、目を細めるのを最小限に抑えるためにフォントサイズを大きくしたり、適切な背もたれで椅子が良い姿勢をサポートするようにしたりと、人間工学的な調整も重要になります。

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近年では、新たな治療法によりデジタル眼精疲労を軽減できる可能性が高まっています。「TRPM8」と呼ばれる薬剤は、目の表面にある冷却受容体を活性化することで、ドライアイの不快感を軽減する効果が期待されています。また、目の下にパッチとして装着したりコンタクトレンズに取り付けたりできるバイオセンサーにより、涙の量や質をリアルタイムで監視できる技術も研究が進んでいます。

オーリング氏は「このデジタル時代では、視力を保護するための対策を講じることが重要です。デジタル眼精疲労の兆候を認識し、保護策を実施し、適切なタイミングで専門家のケアを求めることで、スクリーンに依存するライフスタイルに伴うリスクを軽減できます。デジタル眼精疲労の課題は克服できないものではないため、目の健康に対する認識、教育、取り組みがあれば、視力を損なうことなくデジタル技術のメリットを活用し続けることができます」とデジタル眼精疲労の問題をよく知って対策することが重要だと語りました。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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