ペンタゴンが本物のC-3POを開発か、すべての種類の言語を理解できるロボットを研究中
by Andres Rueda
これまでにもアメリカ合衆国の国防総省「ペンタゴン」は莫大な時間と予算を費やして完全な翻訳装置を作り上げようとしてきましたが、また新たに型破りな研究を始めていることが明らかになりました。それはまるでスターウォーズに出てくるC-3POのような「すべての種類の言語を理解できるロボット」の研究だそうです。
なお、上記写真はC-3POのものです。
詳細は以下から。Military’s Newest Recruit: C-3P0 | Danger Room | Wired.com
先日、ペンタゴンの中でも軍隊で使用するための新技術開発および研究を行う機関である「国防高等研究計画局(DARPA)」が、「幅広い言語翻訳が可能なシステム(BOLT)」を研究すると発表しました。このBOLTは、長期に渡って活躍し続ける軍用の翻訳ガジェットもしくはアルゴリズムです。
米軍は非英語圏で戦闘を行うことが多い傾向にありますが、アラビア語のような難解な言語を大規模な軍隊へ覚え込ませるのは時間がかかるので実用的ではありません。そこでDARPAは今年、1500万ドル(約12.7億円)もの資金を議会に要請して「スターウォーズのC-3PO」のように行動し、敵地で難しい翻訳をこなせるシステム「BOLT」を作ろうとしているそうです。BOLTは、現在使われているPDA風の携帯通訳機「フレーズレーター」よりもはるかに成果を上げると見なされています。
by Andres Rueda
BOLTは「習得した言語で仮説を立て、その推論に基づいて行動する」ことができるように言語だけではなく、視覚や触覚での入力も使用するといい、DARPAの発表によると最終的には「250種類のオブジェクトを認識することができる視覚と触覚センサーを持ったロボット」になるそうです。また、複雑なコマンドを実行できるように「100の動作の結果」を理解できるようになる予定とのこと。
翻訳の種類としては「人間対機械」と「人間対人間」という2種類の翻訳を行う予定で、「人間対機械」のケースでは、人間が話す英語とアラビア語の方言を理解できるようにするそうです。また、人間同士の会話では「バイリンガルの人間同士の会話」のように、英語とアラビア語の間で90パーセントもの成功率で翻訳ができるようになるとのこと。そして中国の標準語やアラビアの方言などを、会話の音声やテキストメッセージなどの区別無く翻訳します。
これまでにも米軍は戦場でいろいろな翻訳装置を試してきました。しかし、現在使われているフレーズレーターのように音声応答翻訳には限界があります。口に出したい言葉が翻訳できないので、その代わりに戦場で役に立つ現地語の主要な語句や言葉を音声で発する方法を取っています。この装置を使ったぶっきらぼうな音声では複雑なコミュニケーションが取れないので、ペンタゴンは兵士のためにお金をつぎ込み、新しくBOLTのような洗練されたデバイスを開発するというわけです。
なお、ペンタゴンは「ロボットの音声による自動翻訳機(RATS)」のための資金も議会へ要請しており、2010年度の予算よりも900万ドル(およそ7.6億円)多い2100万ドル(およそ17.8億円)を今年の予算としています。このRATSは指名手配犯の照合技術である音声認識技術を使用しており、「ノイズや劣化した信号」が混じった会話からでも言語を識別することができるそうです。
見た目がC-3POソックリになるかどうかは別として、ロボットによる音声応答翻訳が実現する未来はそう遠くないのかもしれません。
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