DNAから犯罪容疑者の髪の色を特定できるように
by House Of Sims
これまでの法医学では、犯行現場に残されたDNAから容疑者の髪の色が特定できるのは、犯人が赤毛の場合に限られたそうです。赤毛は16番染色体にあるMC1R遺伝子の突然変異による劣性遺伝で、世界の人口の4%ほどしかいないと言われています。
オランダとポーランドの科学者たちがDNAから赤毛以外の髪の色も高い精度で予測する方法を発見し、近い将来犯罪捜査に生かされるようになると期待されています。
詳細は以下から。Hair color of unknown offenders is no longer a secret
ロッテルダムのエラスムス・メディカルセンターのManfred Kayser教授らは、膨大な数のヨーロッパ人の遺伝子のサンプルと髪の色とを照らし合わせ、髪の色にかかわる11の遺伝子にある13タイプのDNAマーカーを特定しました。論文はHuman Genetics誌に掲載されています。
これにより、そのDNAの持ち主が赤毛かどうかは90%の精度で、黒髪の持ち主かどうかもほぼ同程度の高精度で、ブロンドとブラウンの場合はそれぞれ80%の精度で予測できるそうです。黒・ブラウン・ブロンド・赤毛というおおまかな分類だけでなく、例えば「赤毛」と「赤みがかったブロンド」や「ダークブロンド」と「明るいブロンド」の違いまでわかるとのこと。
すでにDNAから高い精度で予測できる「目の色」や、同じKayser教授らにより以前発表された血液から年齢層を特定する方法と合わせると、まったく目撃情報などが無い場合でも容疑者の外見がある程度絞れることになります。今後は犯罪捜査の現場での実用へ向け簡便な検査方法の開発を進めるとのことで、法医学にとっては大きな一歩と言えそうです。
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