100年前のロシアの色を鮮明に記録しているカラー写真
以前、約100年前に撮影されたカラー写真という記事中でも取り上げた、100年前のロシアで撮影されたフルカラーの写真が大量に紹介されていました。
この写真を撮影したのは、ロシア帝国時代の写真家・セルゲイ・プロクジン=ゴルスキー(1863~1944)。カラーフィルムが発明される以前に撮影されたということが信じられないほど色鮮やかな景色がそこには収められています。
詳細は以下から。森に1人たたずむアルメニア人の女性。1910年ごろに撮影されたものと見られています。民族衣装のビロードの質感まで再現されていて、とても100年も前に撮影されたものには思えません。
ユダヤ人の子どもたちと、サマルカンドの教師。当時はこんな風に勉強を教わる子どもたちの姿が多く見られたのでしょうか。
写真を撮られるにあたって、きちんと姿勢を正している女性。女性の右側あたりの景色の色の出方が独特で、まるでこの世ではないような雰囲気すら感じさせます。
中央に写っているのがNikolaevskii大聖堂。周りの建物とはまったく異なる、真っ赤な壁面が青い空によく映えます。
製鉄所で作業に励む男性たち。
おだやかな川のほとりに女性がたたずんでいます。
現在のカラー写真とはやや色の出方が異なりますが、それはカラーフィルムがまだ無い時代にセルゲイ氏が編み出した、赤・緑・青の3枚のカラーフィルターを通して撮影した画像を組み合わせ、フルカラーを再現するという手法を使っているから。
少し暖色寄りの色の出方が、ノスタルジックな雰囲気を出しているように感じます。
当時ロシア帝国の保護下にあったKhan国のIsfandiyar Jurji閣下。いわゆる偉人の肖像写真です。
アップの写真だと、帽子の質感や肌色などがより鮮明に感じられます。この写真は彼が統治を始めた1910年に撮られた物だと言うことです。
野原に座り込む男の子。物語の中の1ページのような幻想的な風景です。
トルクメニスタンの水力発電所の巨大な施設のアップも。セルゲイ氏は、ロシア帝国最後の皇帝・ニコライ2世のサポートを受けて写真撮影を行っていたからか、風景や肖像写真だけでなく、こういった構造物も記録していたようです。
100年前のロシアであっても、集合写真の取り方は今の日本と同じような感じでどこかほほえましい。
山肌にそびえたつ住宅地。
66年間もの間仕事を続けている水門の管理者、Pinkhus Karlinskii氏の肖像。その貫禄(かんろく)と、フィルターの具合によって生み出されたと思われる水面の虹色がミスマッチで、かえって強い印象を与えます。
川のほとりに座っているのが、これらの写真を撮影したセルゲイ・プロクジン=ゴルスキー氏。
彼が当時いたところは、現在Google mapで見ると分け入っても分け入っても山!といった感じ。これまで紹介してきた写真ものどかな山間地域で撮影されたものですが、100年前の美しい景色を見ていると、ロシア各地で起きている山火事がこれ以上広がらないことを願わずにはいられません。
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ほかの写真は下記リンクから見ることができます。
Russia in color, a century ago - The Big Picture - Boston.com
また、セルゲイ・プロクジン=ゴルスキー氏の作品はいろいろなところで紹介されていて、下記リンクにも多くの写真が掲載されています。
Авторские галереи - Прокудин-Горский Сергей Михайлович
Prokudin-Gorsky Color Database
Prokudin-Gorskii Images
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